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プロローグ きれいな はなが さいた日
がりがり。がりがり。
甘い音に誘われ瞼を開ける。白い光が目に痛い。
がりがり。がりがり。
気づけばそこは秘密の花園。白い庭師たちの、赤い庭園。
みんなみんな、狂ったように赤いお花に触れている。
誰も彼もがご執心。きっと、すごく珍しいからだろう。
手にした刃物を一心不乱に。
かける言葉は緻密の極致。
がりがり。がりがり。がりがり。がりがりと。
蕩けるような切削音を響かせて、大事に大事に剪定していく。
かくいう私も釘付けだ。情欲すら催す、そのまだら模様。
胃の中がひっくり返りそうなくらい気持ちよくて。
脳がバラバラに刻まれそうなくらいたまらなくて。
鮮やかな蜜が、キラキラと、輝いていて。
ああ――――なんて、キレイ。
庭師の仕事は終わらない。白い骨にがりがり刻んでいく。
悍ましい夜は終わらない。赤い肉をがりがり裂いていく。
「――――――――――あは」
そんな悪意を惜しみなく注がれて。
その花は愛らしく、誇るように、咲いたのです。




