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星の真理は切なくて、全てを滅するバ火力魔法!  作者: オマエもネコだニャ
第二章 変態どもへ捧ぐ、幻痛の天象儀
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7 ウェイトレスルミナさま、爆☆誕!

「――――いらっしゃいませーーー!! 喫茶エルディオへようこそ☆」


 耳をくすぐる何とも愛らしい声が店内に響き渡る。


「二名様入れまーす! お席にご案内しますね☆ ……こちらがメニューとなります。ご注文がお決まりでしたらお声がけください! ――どうぞ、ごゆっくり☆」


 声の主は、見る人全てが恋しちゃうくらいの輝く笑顔(つくりわらい)と、聞く人全てが蕩けちゃうくらいの媚び媚び声(うらごえ)と、世界中の老若男女は全部自分のトリコ☆ と言わんばかりの愛嬌マシマシの仕草(ヤケクソ)で、来店するお客様たちを魅了していた。

 ――――――――つまり、私のお師匠さまだった。


 喫茶エルディオは初めて来たときの薄暗さが嘘のように華やかです。

 店内を明るく照らす魔機具(マギア)の照明。笑い合う人々。和やかな日常の一時――と呼ぶには少し、忙しなさ過ぎる風景。

 そんな中を、店の制服に身を包んだ激カワ男の娘が縦横無尽に乱れ舞う。


「フィオレー! オーダー、日替わりランチ二つとフルーツ盛り合わせ二つね!」

「は、はい! かしこまりました!」


 普段よりも幾段か高い声。私への声掛けもそのトーンを維持している。すごい。蕩けそう。もっと聞きたい。出来れば二人きりの時に、いえそういう時はやっぱりカッコイイ系の声で――――っていけない! 早く注文を処理しないと!


 慌てながらも、仕込みを終えていた料理をお皿に盛りつけていく。ちらりと盗み見るルミナさまの働きぶりはまさに一騎当千。

 老いも若きも。

 男性も女性も。

 お友だち同士も初めましてさんも。

 次から次へと空いた席に叩き込みオーダーを強奪し、流れるような配膳で仕留めていく。


「オーナー! コーヒー三つはー!」

「い、今持ってくぅ~~!」

「こ、転ぶな――じゃなくて転ばないでね!」


 オーナーであるミモリさんも配膳をこなしている。正直、今にも転びそうで危なっかしいことこの上ない。実際、最初の頃は大惨事を引き起こしていた。うう、いつ見ても冷や冷やします……!

 私たちが喫茶エルディオで働き始めて一週間ちょっと。お店は瞬く間に大盛況となりました。

 もともとこの喫茶店は歴史あるお店らしく、ミモリさんのおじいさんの頃から常連さんが通い詰める隠れた名店的ものだったみたいです。

 なので営業を再開したことを耳聡く聞きつけた常連さんがお店に来て。


 ”な、なんかめっちゃ可愛い二人組が働いてるーーーーー!?”


 と周りに言いふらしたようです。あれ、隠れた名店だったのでは?

 あれよあれよという間にウワサは広まり、今では店の外に行列ができるくらいになってしまった、というワケです。

 ただいま喫茶エルディオは満員御礼。六つある四人掛けのテーブルは、お客さんでギュウギュウ詰め。さらに。

 窓の外、この寒空の下で今か今かと順番を待ち続ける人々を見るとウンザ……いえ、とても、うれしくおもいます。


「ルミナちゃーん! オーダーいい?」

「はーい、ただいまー!」


 接客を担当してるルミナさまは特に大人気です。その類まれな美貌と愛嬌たっぷりの笑顔で男性陣だけではなく、女性にもファンが出来るくらい。私のルミナさまなのにー。

 ちなみに私は調理担当です。やっぱり人見知りの私に接客は荷が重いというのと、もう一つ。

 

「ご注文は以上で――――んんっ!?」

「おっとすまねえルミナちゃん。おれの不自由な手がお尻に当たっちまった。いや昔、肘に魔術を受けちまってな。上手く動かせなくてなぁ。許してやってくれ、こいつも悪気があるわけじゃないんだ」

「…………そうですかー☆ なら仕方ないですねー。じゃあその右手さんに言ってください。

 ――――次やったら細切れに裁断して魔獣のエサにした後、その傷口を炭化するまでじっくり燃やしてやる――――って☆」

「お、おう…………わ、わかったよ…………」


 私にはああいうのは、ちょっと無理です。

 なので基本、キッチンに引きこもっているんですけど……


「……み、見えた。見えたぞ……! 一瞬だけ、あの可憐な花が……!」

「マジかよ! くっそぉ、俺も見てぇのに……ウワサによると、小柄で……が大きいんだろ? ルミナちゃんも可愛いけど……が小さいからなぁ」

「ウワサだとどこぞのプリンセスってハナシだぜ! なんでこの店で働いてるんだろう……」

「待てよ……よく考えたら。――――俺たちは今、そんな可愛い子の手料理を食べているんじゃないか?」

「!!!! ――――おかわりしよう。特段美味しくはないけど」

「ああ。味は、まあ普通だけどな」


 うるさいですね。おかわりするなら最後尾に並び直してください。

 どうやら私目当てのお客さんもいるみたいです。街に出る時はちゃんと顔を隠そう……


「あの制服やっぱり可愛いーー! あたしも着てみたいなぁ」

「いやあんたじゃダメでしょ。あれはルミナちゃんだから着こなせてるんだって!」

「でもさー。こんなに繁盛してるのに接客がルミナちゃんと、調理が謎に包まれた女の子と……」


「お、お待たせしました~~……うあぁ!? …………せ、せーふ」


「……あのオーナーさんだけじゃねぇ……」

「だねぇ……人手、増やさないのかな? 募集あったら応募したいなー」


 ミモリさんの思惑通り、この店で働いてみたいという人も出てきた様子。良い傾向です。そして……


「……………………」


 キッチンからちらりと、接客で飛び回るルミナさまの姿を盗み見る。

 言い忘れてましたけど、というか、皆さんお察しのことかと思いますけど。皆さんて誰でしょう? とにかく。


 ――――ルミナさまは今。

 めちゃくちゃプリティでキュートな制服に身を包んでいて――――有り体に言って、ウェイトレスなメイドさんなんです! 皆さんにこの尊いお姿をお届けできないのが本当に、本っ当ーーーーに、残念です! 皆さんて誰でしょうね!

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