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星の真理は切なくて、全てを滅するバ火力魔法!  作者: オマエもネコだニャ
第二章 変態どもへ捧ぐ、幻痛の天象儀
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5 紙袋は万能!

「さあ。えんりょなく。好きなトコ座っていいよ」


 きっと私たちは疲れていたんでしょう。明らかに怪しい人物に誘われるがまま、これまた怪しい建物の中までついて行ってしまったのです。

 …………だって、寒かったんですもん。


「ここ……喫茶店、でしょうか?」


 不審者に案内された場所は、薄暗いけど飲食店の体をなしていた。

 等間隔に並べられた六つのテーブル。二人用の椅子が向かい合わせに置かれているので、単純計算で二十四人のお客さんを収容可能と思われます。

 テーブルの上にはメニューと思しきリーフレット。あとはナプキンと……煙草を吸う人用の灰皿。店の奥にはキッチンらしきスペースも。

 壁には何やら前衛的な絵画が掛かっていて、店内の薄暗さも相まってちょっと不気味。それ以外の調度品は年季入った(アンティーク)風でなかなかセンスあるのに、あれ一つで全体の調和が台無しになっていた。

 ……誰でしょう、あんなキモ……変な絵飾ったの。


「あ、あれ? あたしが買ってきたやつ。お店で見て一目惚れした。ビビッときたの。飾ったらなんかキモくて失敗したなぁって」

「いや外せよ……」


 手近な椅子に座るルミナさまのツッコミにも動じない女性。さすがにもう紙袋は被っていない。

 私たちを言葉巧み(?)にここまで連れてきた不審者さんは、ぱっと見二十歳くらいの薄紫色の髪の女性だった。

 あんまり手入れしてないのが丸わかりなセミロングの髪。見る人を脱力させるほど垂れ下がった眉と、こちらは濃度高めな紫の瞳。全体的に気力というものが感じられず、口調もなんだか投げやり……というか抑揚がない。

 有り体に言って。なんか変な人だった。


「そういえば名乗ってなかった。あたし、ミモリ。ミモリ・フェンネル。よろしくね。君たちの名前、教えて?」

「あ、えっと、私は――」

「ちょっと待った」


 名乗ろうとしたところをルミナさまに制止される。


「んー? どうしたの? 名前、わかんないと困る。可愛い君とカワイイ君って呼ぶしかなくなるよ?」

「なんだその呼び方。他にあるだろ。いやそんなことはどうでもよくて。……さっき言ってたこと、どういう意味なのかまだ聞いてない」

「さっき?」


「だから。オレたちをアンタの家に泊めてくれるって話」


 そう。つい先刻、町の通りで声をかけてきた女性――ミモリさんはそう言って、私たちをここまで連れてきたのです。

 正直、怪しいことこの上ない。それでもここまでついてきたのは、ひとえに町中で野宿は勘弁という切実な願いと、何かあっても私たちならすぐ逃げられるから、という理由。ミモリさんの誘いに乗る前に、二人で相談して決めたのです。

 そして、ルミナさまの質問に。


「――――――――」


 ミモリさんは何故か、固まってしまった。……あれ? やっぱりヨコシマな考えを……? と、少し警戒していたら。


「――――――オレっ娘だ」

「は?」


 ユルユルたれ目をキラキラさせて、ミモリさんはルミナさまにガバッと詰め寄った。な、何事!?


「すごい。君、オレっ娘なの? 初めて見た。初めて出会ったよ。すごいすごい。レアリティ高い。あたし、すごく感激してる」

「え、いやちょっ、ちがっ」

「ねえねえ、サインちょうだい? こんな可愛くてキレイなオレっ娘に出会ったって、みんなに自慢してくる」

「一瞬でフードをはがれた!? 自慢ってなに言ってんだ――てか、手を掴むな!」


 さっきまでの無気力さはどこへやら。ルミナさますら面食らうほどの機敏さで、フードの下のお顔を拝みつつその手を掴んでいる。

 ――――私の、ルミナさまの、手を。


「ああ、でも色紙ないや。どうしよう……そだ、この紙袋に書いてもらおう」

「………………」

「紙袋って便利。顔も隠せるし、サインも書いてもらえる。……もしや、万能アイテムなのでは?」

「……………………」

「ん、なんか入ってる。果物と野菜? 誰、こんなの入れたの。邪魔。……よし、全部出た。それじゃあ君、ここに――」

「…………………………あの」


 片手で紙袋から中身を取り出しつつも、ルミナさまの手を離さない不届きもの。ついに私は我慢出来なくなり、


「――――いい加減、その手を離して下さい」


 抑え込んでいた魔力を解放した。


「ひい!?」

「ちょっ、フィオレ!?」


 瞬間、竦みあがるミモリさん。でも手を離してくれない――どころか、ルミナさまにしがみついて――!?


「あ、あわわわわ……」

「く、くっつくなアンタ! 離れろ! フィオレも、落ち着いて……そ、そのままだと窓、割れる!」

「――――――はっ」


 ルミナさまの指摘に我に返る。確かに私の魔力に共鳴したのか、窓ガラスがビリビリと震えていた。慌てて魔力を抑え込む。……ゆっくり、震えが収まっていく。

 あ、危なかったです……窓が割れてたら冷たい風にひゃう! ってなるところでした。深呼吸、深呼吸……ふう、落ち着きました。

 いつの間にかミモリさんもルミナさまから離れている。まったくもう、気をつけて下さい。


 次、そんなことしたら……どうしてくれましょう?

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