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星の真理は切なくて、全てを滅するバ火力魔法!  作者: オマエもネコだニャ
第二章 変態どもへ捧ぐ、幻痛の天象儀
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プロローグ 三十六計逃げれば地獄

 撤退、とんずら、わき目もふらず。

 後退、転進、エスケイプ。


 逃走は、俺が唯一頼りとする武器だった。

 大した才能もなく、またカネもない自分が持ちうる最高の業物。

 それは軽く、鋭く、どんな敵にも負けることはない。

 生存こそが生命の本懐にして勝利と言うならば。

 これほどの性能を誇る武器はほかにはあるまい。

 振るう際の()の痛みなど無視すればいいだけ。

 惨めな死者(はいしゃ)には目もくれず、今日も俺は世界最強の凱歌を上げる。


 ……だが悲しいかな、どんな名剣であれ磨耗は避けられない。

 そして守るものの出来た俺には、それを握る資格すらなくなってしまった。

 それもまた人生か、と身の丈にあった戦いに臨み。

 身の丈にあった勝利をおさめていく日々。


 気の合う仲間たち。いつもと変わらぬ他愛のない仕事。

 人のカタチをした災害。耳をつんざく仲間の悲鳴。

 助けを乞う声と、それを無視して反転する足。

 出来の悪い喜劇のような疾走の先に見えたのは。

 逃げ続けた末に、ついに追いつかれた、報いの姿。


 ……ああ、彼女は。

 家を出る直前、なにを言おうとしていたのだろう。


             心が割れる音しか聞こえない。


 どうして嬉しそうにお腹をさすっていたのだろう。


             床がアカくてなにも見えない。


 俺にはもう、本当になにもわからなくて。だから。


 これまでと変わらず、惨めな敗北者として。

 ――――最悪の現実(てき)から逃げ出した。

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