プロローグ 星夜の今際
人は死んだら、夜空のお星さまになる。
そんな、子供だましみたいな、おとぎ話を聞いたことがある。
「フィオレ? どうしたのですか、そんな、かおをして……」
私は泣きながら、冷えていく手にすがりつく。
「なにか、かなしいことがあったのですか……?」
こんな最期の時になってまで、私は愛しい人を心配させたままで。
「なにか、こわいゆめでも、みたのですか……?」
為すすべもなく、大切な人が夜空に瞬く星のように、手の届かないところにいくのを見守っている。
「だいじょうぶ、です……――は、ここにいますよ……」
思えばこの数ヶ月、多くの死と向き合った日々だった。
父のように慕っていた人を失い。
化け物が死神にさらわれるのを見守り。
岩の巨人の火葬を見送り。
助けた命を残酷に奪われ。
永遠を目指した不滅の求道者の終着を見届けた。
そして今まさに消え去ろうとしているこの人に、私は、なにができるんだろう。
どうしたら、安心させてあげられるんだろう。
「――――フィオレ」
その声に、背中を支えられる。
できることなんて、とっくにわかってる。
この人は間違ってなかったって、示してあげればいいんだって。
あとはただ、私が頑張るだけ。いつもと同じように、一生懸命に。
「………………」
今日までの出来事を振り返る。その眩しさに力をもらいながら、胸を張る。
――――さあ。今こそ、証明の時。
惜しみない愛を注がれ育った、花開くような笑顔を見せてあげないと――――




