5話 魔法!!!!!!
短め
起きた、ラッキースケベはなかった。別に残念とかではない断じてない、恩人にそんな感情を抱くはずがない、そうだ!!ただ湯上りはものすごく色っぽかったです!!!
そんなことより、昨日アールブさんに渡された本に関して重要なところをばあさんに貸してもらった筆記具とメモで纏めてみた。
①魔臓をコントロールする方法は感覚である。なれないとまともに魔力を引き出せない
②魔法を使うには魔臓から魔力をひねり出して頭の中に描いた魔方陣に魔力を注ぎ込み詠唱(無詠唱でも可)し、発射口を設定し放出する必要がある
③魔法人は正確に思い描けば思い描くほど効力は強くなるがふんわりと思い描くだけでも使用可能(威力は低い)
④得意属性等も存在する
⑤魔臓から直接魔力をひねり出して体にまとわせれば身体強化ができる。注ぎ込む魔力によって強化度合いは変化する
こんな感じである、ただ俺がわかりやすいようにまとめただけなので違う点はあるかもしれないがまぁたぶん大体あってる、と思う。それと昨日寝る前に初級魔法と呼ばれている魔法の魔方陣を少し記憶しておいた。必死で書きまくって覚えた。メモ帳をばあさんに要求しまくってたらお金取られたけどまぁ別にいい、リンさんには笑われた。がこれで魔法が使えるはずである!!あぁ…バイトが終わった後が楽しみだ!!!
「おーい、タイチくーん!そろそろお店行こうよ――」
おっともうそんな時間か…時計がないから細かい時間がわからん…
「りょうかーい、着替えたらすぐ行くーー」
「はーーい」
さて、パンツ一枚の状態から服を着てっと…お金も1000マニほど持って…労働だああああ!!!
「なぁタイチ坊、お前料理できるか?」
食堂でのバイト中急に店長からそんなことを聞かれた、ものすごい唐突だな、あっもしかして厨房の人数が足りないのか?ホールスタッフは俺とリンさんの二人、厨房は店長一人…店の規模的に限界ギリギリだと思うんだが、リンさんはどうやって一人で接客してたんだ…てかなんで店員がリンさんだけなんだ…もうちょっと雇えばいいのに…
「料理なら結構好きですよ、ただ故郷の料理しか作れないんで厨房で働くのは少しきついかと…」
うん、この世界の食材がまず意味わからんからな、そこから覚えないと、あと調味料も日本ほど便利ではないだろうし
「うっそ、タイチ君料理できるの!?」
おっとリンさんやその言い方はなんだね。これでも俺は日本にいたときは料理男子で通ってたんだぞ
「できますよ、リンさんはどうなんです?」
「え゛?」
あ、これできねぇんだな、聞いた瞬間目線が泳いだぞ
「あーーリンの奴は料理センスが壊滅してるんだ、ほらリンこれ3番テーブルに持って行ってくれ」
「壊滅って何さ!!!そこまでひどくはないよ!!!」
とぷりぷり怒りながら料理もって配膳しに行った。一見クールなエルフ美少女がぷりぷり怒ってるの最高…
「さて話を戻すが、タイチ坊もしよかったらでいいんだがお前の故郷の料理作ってメニューに載せてみねぇか?そろそろ新作を出してぇんだがアイデアが出なくてな」
「なるほど…俺は全然大丈夫ですけどかなり時間かかりますよ?こっちの食材見たことないのが多いんで」
「あーー確かに遠くの出ならそういう問題もあるのか…一応1か月以内に出したいんだ…ちなみに好評だった場合はボーナス弾むぞ」
「やります、すぐやります、店の定休日に厨房借りていいですか?」
「お、おうすごい勢いだな、定休日ってと明日か、かまわねぇぜこっちが頼んでんだから自由に使ってくれよ、食材買う用の金も置いとくから、頼むぜ!」
「はいっ任せてください!!」
しゃあおらぁっ!!!!借金持ちからしたらボーナスとか神のごとき存在だぞ!!!!やってやるぜーーーーーーーーーーーーー
「おーーい、スープお替りーーー」
「はーい、すぐいきまーーす」
うおおおおおやるきでてきたああああああ!!!待ってなお客様すぐ行くぜ!!!
Side リン
「叔父さんやさいしいねぇ、タイチ君が借金してるの知ってたの?」
タイチ君が何やら気合を入れまくってお客さんのところに行ったのを確認してから私が赤ん坊の時から育ててくれた叔父さんに聞いてみた。雇って二日の人に新メニューとか頼む人じゃないしこの人
「うるせぇぞアホ娘!アールブの奴から聞かされたんだよ!!なんであいつに借金してるか知らねぇがわけぇやつが借金してるなら手助けしたくもなるだろ!」
うわぁ、いい年したおっさんがなんか言ってるよ…娘という立場としてはなんか気持ち悪くて見てられないや…
「あははは、でもさタイチ君の作った料理がおいしくなかったらどうするの?」
「知るか!俺の手助けできる範囲はここまでだ、後はあいつが気張ればいいんだよ!」
とか言いつつ絶対サポートはするんだろうなぁ…16年もこの人の娘やってたらわかるようになってきたよ…
「じゃあ私は味見係として手伝おっと」
「なんだ昨日からえらくタイチ坊に肩入れするじゃねぇか惚れたか?」
「いや全然?私より強くないとねぇ」
なーーんでいい年した大人はすぐに色恋につなげるのかねぇ…さすがにあって2日の人に惚れないよ…あと私はお金持ちでかっこよくて絶対に私のことを守ってるくれる人がタイプです。そうおじいちゃんのような!!
「ほう、じゃあお前も頑張らねぇとな、タイチ坊は俺とアールブの二人で育てるつもりだからすぐ強くなるぞ、まぁよっぽど才能がなけりゃ話は別だが」
「―――うっそでしょ!?おばあちゃんと叔父さんで!?」
「おう、アールブが魔法、俺が武術って形だな、アールブに聞く限りタイチ坊は早く強くならねぇとほんとに危ねぇからな」
あぁ、竜の魔臓関係か…おばあちゃんがそういう判断をするってことはホントに危ないんだね、ということはタイチ君に借金を負わせたのは繋がりを維持するためとかの可能性が出てきた…絶対タイチ君が強くなったら顎で使う気だ…というかこの二人に教えを乞うならタイチ君ホントに強くなりそうだなぁ…元Sランク冒険者二人がかりとは…がんばれ…私も時間があるときにBランク昇級試験受けておこう…
sideタイチ
必死で働いて働いて働きまくってようやく仕事が終わり今はアールブさんの屋敷の地下にいる。くっそデカい…なんだここ…明らかに屋敷よりでかいんだが…
「さーてタイチ君、昨日渡した本は読んできたかな?」
「はい、読みました師匠!!!」
「お、気合入ってるねぇ、じゃあ早速魔臓から魔力出して身体強化してみようか」
「おっす!!……………………師匠!!!」
「どしたの?」
「できないっす!!!!!!」
まじでできないっす、というかあの本にも感覚としか書かれてなかったからできる気がしないっす!!
「うん、だろうねぇ、じゃあこれ使って」
アールブさんはそう言ってちっちゃい玉を俺に向かって投げた。パシッとキャッチしてみると急に心臓の方からズズズと何かがこの玉に向かって流れていく感じがする…なるほどこれが魔力か…いや嘘ですそれっぽく言ってみたけどわかんないっす
「その玉はね、子供用に作られた魔力操作訓練道具だよ、持ってると勝手に魔臓から魔力が流れていくから魔力を流す感覚を覚えるのに最適なんだ」
なるほど、確かにわかりやすい、後これが魔力で合ってたうん、この感覚をしっかり覚えて、いったん玉をアールブさんに返してもう一回やってみよう、心臓の方に力を入れて…うおっきた!これだこれを体中に魔力を回して定着させ…よし身体強化完了!
「おっ、できたみたいだねぇじゃ動いてみよう」
「了解です!!」
とりあえず向こうの方まで走ってみーーーーーーーえ????ドゴンッ
「いってぇ!!!???」
「わぁ、きれいに壁にぶつかった…」
パラパラと壁の破片をまき散らしながら立ち上がってみると体のどこにも傷がなかった…えぇ…なにこれぇ今のスピードでぶつかったら一般人だと即死してるだろ…
「やっぱり、そうかぁ…これは私が教えることはほとんどなさそうかなぁ…」
アールブさんは頭を抱えながらそう言って壁にぶつかった俺の方に歩いてきた。
「タイチ君、君たぶん魔法は使えないよ…竜の魔臓が強すぎて君じゃコントロールすることが不可能だ…できて身体強化だね…」
「―――うそん…」
「どんまいだねぇ…」
こうして俺の魔法授業は一回目で幕を閉じた。ちょっと辛いので帰りますね…