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番外編 彼女の裏話

明けましておめでとうございます。

たくさんの好評ありがとうございます。



 

これはまだ幹也が戦場で戦っていた時の彼女の話。




 朝、目が覚めると私には必ずすることがある。


 それは今、海外の戦場に特別派遣されている彼氏からのメッセージを確認することだ。



 「今日はない・・・か」

 


 時差の関係でこっちが夜だとあっちが朝になるらしいから、決まってメッセージはいつも朝起きると届いている。


 といってもメッセージが来る頻度は週に2~3回しかない。


 内容も生きているか生きていないかぐらいの軽いもの。


 べっ別に、もっと連絡してほしいわけじゃないんだからね!


 ただ私は安心したいだけなのだ。


 だって、大切な彼氏が戦場にいるんだよ?


 私が彼の生死の確認をできる唯一の方法はこの彼とのメッセージしかないのだ。


 これが来なくなった(あかつき)には発狂して敵地に特攻する自信がある。


 まぁこんなこと彼氏には恥ずかしくて言えないんだけど・・・



 「はぁ・・・会いたいよ幹也君(・・・)



 やばいっ。幹也君って言っちゃった!幹也君って言っちゃったよ~!


 私は一人でベッドの上で転がりまわる。


 だけどいつもは彼を苗字の神田君と呼んでしまっている。


 だって名前呼びなんて恥ずかしいよ・・・。

 


 とにかく!


 恋する乙女は大変なのだ。


 それが彼氏がいつ死んでしまうかもわからないとなると、尚更に。



 「よしっ」



 しかし、こんなことを考えていても埒が明かないので私はベッドから降りて今日の予定を確認する。


 彼が今日も頑張っているなら私も今日を全力で生きる!



 「げっ。今日は沙月(さつき)の愚痴を聞く日かぁ~。まぁ・・・こんな日があってもいいか!さぁ準備!準備!」



 さっそくもう先ほどの決意を軽く曲げそうになってしまったが。

 

 どうやら今日は親友の愚痴を聞く日だった。


 どうせ彼氏の話をされるんだろうなぁ~。


 私の親友は男運が少し…というか全くなかった。


 そのことに少しだけ憂鬱になりながらも私は外出する準備を始めた。



 ◇◇◇



 「だからさぁ!こっちはもっとハッキリとダメなところとか気に入らないところとかを言ってほしいわけっ!なにが『君には悪いところなんて一つもないよ』だよ!普通にキモイわ!」


 「そっそうだねぇ・・・」


 

 察しの通り、親友である沙月の恋愛話は聞いていて反応に困るものばかりだった。


 もうあれこれこのカフェに入ってから一時間は経過している。


 私は相づちを打つだけのロボットになることにしていた。


 こういう話を聞いているだけの私の身にもなってもらいたい。



 「で、ここまでが前の彼氏の話。次からは今の彼氏の話」


 「そっそうだねぇ・・・えっ?」



 マジかよ!正直言って帰りてぇ~!でっでも、沙月には幹也君とのデートのことでいつもおせわになってたし。断るにも断れない~!


 そんなことを考えている私を知ってか知らずか沙月はまた話し始めた。



 「それでね今の彼氏はさらにひどいの。ちゃんと言葉にしていた分、前の彼氏が一万歩譲ってマシ!だって今の彼氏、女でもないのにツンデレ(・・・・)なんだよ!?」


 「そっそうだねぇ・・・」


 「何が、待ち合わせの時に『べっ別に、お前のこと待つために一時間も早くきていたわけじゃない』だよ!じゃあ誰待ってたんだよ!私に褒めてほしかったの?ていうかこう・・・なんか男なのにイタイっていうか・・・もうっ!」


 「・・・・・・・ん?」



 あれっ?


 なんか身に覚えがあるような?



 「今思えば告白の時もそう。私から勇気出して告白したっていうのにあいつの返答は『まぁお前がどうしてもっていうなら付き合ってやらないこともないけど』だった。何、上から目線でデレてんのよ!自分で告白する勇気もないくせにっ!」


 「ちょっと、ちょっとストップ!ストップ沙月!そういうやつの行動ってぶっちゃけ一言でどう思うの?」


 「いきなりどうしたの?」


 「いいから!」


 「えっ?ウザい(・・・)



 私の中に衝撃が走った。



 「ごめん・・・ちょっとトイレ」


 「えぇうん。行ってらっしゃい?」



 私は急いで現実から逃げるようにトイレへと駆け込んだ。


 そして洗面台の鏡に映る自分の顔を見た。



 「酷い顔・・・」



 その顔は青白く今にも倒れそうな形相だった。



 「私が・・・私がしていたことはっ」



 もう後悔しても遅いかもしれない。


 その証拠に彼からのメッセージの返信が軽いという事実もある。


 

 「幹也君を不快にさせていただけ?」



 少なくとも私はツンデレを可愛いと思っていた。


 だけどそれは間違いだった。


 「ウザい」その一言がすべてだった。


 その言葉だけで私が今まで彼にしてきた言動が表されていた。


 ツンデレなんて二次元だけの御伽噺(おとぎばなし)だった。


 現実ではただウザいだけの女の子。



 「ははっ」



 思わず自分の愚かさに笑いがこぼれてしまう。


 もう何もかもが手遅れ。


 しかし、それで諦める私ではない!

 


 「このままだったら、幹也君に別れを切り出される」

 


 私がそう感じているならもう彼の中では決まっているかもしれない。


 だったら―――



 「私が変わればいい」



 そう。私が変わればいいだけだ。


 純粋に。


 可愛く。


 あどけなく。


 そして素直に。


 簡単な話じゃないか。



 「よしっ!」



 今後の方針は決まった。


 私はツンデレをやめる。


 私はトレードマークのツインテールをほどくと、髪留めをゴミ箱に捨てた。


 これが私の決意表明。



 「彼に、別れようなんて言わせない」



 私は歩き始める。


 新たな自分(清純派)に向かって。


 

 「本当に幹也君が好きだから」



 そう、自分の愛に誓った。





 それから彼の帰国の予定が決まったのは一か月後の出来事だった。



 

新年早々の投稿です。

自分はこれからモンストでガチャ引いてきます。


この話で書きたいことは書き終わってしまったのですが、まだまだ読者の皆さんが応援してくださるのならばそれに応えるのが作家の仕事。


なのでぜひ評価とブクマの方お願いします。


この作品をなろうでのし上げてくれぇぇえええぇええぇ~!


それではまた次のお話でお会いできることを楽しみにしています。

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