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怪しい位置は

「オレは、みんなが思うように対抗は狂人だと思ってる。狐は出るなら占い師だろうし、狼は3人しか居ないのに霊能者に出るとは思えないから。役職が無ければ吊られると思って勢い出たんじゃないかな。だから占い師は狼か狐だけど、狐は1人だしオレなら踏ん切りがつかないかな。あの出方だと、どっちが人外でも出ることを始めから決めていたように見えるから、夜中に話し合える人狼が誰が出る、と決めてたと思うよ。だから占い師は真狼だと思う。オレも印象から言うと涼太郎の方が良いんだけど、一弥の味方が居ないよね。旗色が悪いから庇えないのか、それとも味方が居ない真なのか、今のところ決めかねてる。」

良く見てるなあ。

千隼は、思った。

だが、どちらも一応庇うところに狂人目が無くはない。

それでも光祐は、村目線でもおかしなことは言っていなかった。

確かにみんな涼太郎涼太郎と言い過ぎなのだ。

千隼目線でも、大都は白だと思うが涼太郎が囲っていない人外の可能性はあるのだ。

ただ、珠緒白の結果がなんとなく腑に落ちなかった。

だからといって、珠緒が黒い要素は奈央や夏菜にも通じるので、起きて来なかったからと決めつけるのも早過ぎた。

太月は、頷いて夏菜を見た。

「夏菜さんは?どう思った?」

夏菜は、ビクと肩を震わせたが、皆の視線が集まるのがもう、怖いようでふるふる震えて言った。

「私は…よく分からなくて。みんなよくそんなに分かるなって思うぐらい。だってまだ私には結果も何もないし、ハッキリ分かってることはないの。」

太月は、うーんと首を傾げた。

「そうだな、例えばだけど、君目線じゃ光祐は必ず人外だよね?霊能者で対抗してるから。それはどう思う?」

夏菜は、チラと光祐を見たが、すぐに視線を反らした。

「どうして嘘を付くのかなって…だって、私が霊能者なのに。」

そういうことじゃない。

千隼はイライラしそうだったが、顔に出さないように踏ん張った。

だが、由弥はあからさまに顔を歪めて言った。

「嘘って、光祐から見たら君が嘘をついてるんだよ。そうじゃなくて、何に見えてるかってこと。みんなの話、聞いてなかったの?あのさあ、真だったらしっかりしてくれないと、僕達死ぬんだけど。」

命が懸かっているので、口調がキツくなるのは分かった。

だが、そんなに強く言うと…。

千隼がハラハラしながら見ていると、思った通り夏菜は大きく震えだして泣き出した。

太月が、ため息をついた。

「…由弥、気持ちは分かるが落ち着け。話が聞けないじゃないか。」

由弥は、ブスッとして言った。

「嫌いなんだよね、そういうの。光祐は一生懸命考えて話してるのに、何を聞いてたのさ。同じことでも良いから話そうとしてたら頑張ってるなって思えたよ?でもなんだよ、全然考えてないじゃないか。狂人なんじゃないの?もう居ても役に立たないから、霊能者から行こうよ。明日光祐の結果を見て真っぽかったら残してもいい。縄に余裕がある初日は、村でも良いんだからとりあえず雑音になりそうな所を吊ったら良いんだよ。」

夏菜が、更に声を上げて泣き始める。

もう、議論どころではなかった。

「…一旦休憩にしよう。」太月は、仕方なく言った。「とにかく夏菜さんは落ち着いて。でも、由弥の言う事には一利あるんだ。残しておいても結局吊る事になりそうな位置は、初日の余裕のある時に処理していかないと勝てないかもしれないからね。村なら頑張って考察を落としてくれないと。」

しかし夏菜は嗚咽を漏らしていて、聞いているのかいないのか分からなかった。

珠緒が、言った。

「ちょっと!さっきからあなた達何様なの?!寝坊したのは悪かったわ、二度寝しちゃったんだから仕方ないじゃないの!それで白が出てる私を黒いとか、そこに白を出してるから一弥さんが偽だとか!人外の思うツボよ?!夏菜は気が弱い子なの、騙りなんて大層なことできるはずがないじゃないの!みんなで陥れて、泣かせて吊ってしまうつもりんでしょ?!酷いわ!」

確かに強く言い過ぎだったと思う。

千隼は、そう思ってバツが悪い心地だった。

だが、由弥は珍しく険しい顔で言った。

「…あのね。命が懸かってるって言ったよね?勝てなきゃ海の中なんだよ?分かってるの?真でも狼に利用されるかも知れないんだよ。それとも珠緒ちゃんは狼で、村人に負けて欲しいから頼りない霊能者でも残って欲しいの?残して利用するつもりなんでしょ。違う?」

珠緒は、真っ赤な顔で立ち上がった。

「私は村人よ!勝ちたいけど、何の罪もない村人を吊ってしまおうとは思わないわ!あなたこそ、白の私を責めて吊ろうとしてるんでしょ!生き残りたいんだものね?!村人は全員殺したいんだわ!」

そう言われても、言い返せない事を由弥は言った。

千隼は思った。

由弥の気持ちは分かる。だが言い過ぎだ。

「…由弥、分かったから。言い過ぎだよ。」千隼は、言って珠緒を見た。「とにかく夏菜ちゃんを落ち着かせて来て。追放になったら大変だ。君も、あんまり叫んだら追放になるかもしれないぞ。」

珠緒は、グ、と黙って、そして夏菜の肩を抱いて、亜佳音と奈央と共にリビングを出て行った。

男性ばかりが残り、全員が大きなため息をついたのだった。


こうなってくると男子ばかりで話を進めることはできなかったが、ソファに移っても話はやはりゲームのことになった。

とはいえ、全員が残ったわけではなく、リビングに今居るのは千隼、祐吏、大都、由弥、楓馬、光祐、涼太郎の7人だった。

「太月は頼りになる。」千隼は、言った。「あいつが共有者で良かったよ。できるだけ長く生きて欲しいな。」

大都が言った。

「だな。昔から学級委員とか押し付けてたけど、あいつはさっさとこなしてたし。あいつがグレー吊りだって言うならグレーから吊りたいけど、怪しい位置なんかないんだよな。涼太郎には悪いけど、まだ占い師の真贋がわからないし、涼太郎を真らしいと言う奴が多すぎてさ。間違ってるのかと思ってしまう。」

涼太郎は、頷いた。

「村目線じゃそうだよな。オレは真だと自分で知ってるから、オレを真っぽいと言ってくる人達は白く見えるんだよ。そうなってくると四と白だらけだから、占い先に困るんだ。」

祐吏が、言った。

「オレと千隼が一弥の指定先になりそうだよね?吊られなかったらだけど。」

確かにそんな話になっていた。

千隼は、頷く。

「そうだよな。でもあの感じだとオレを占って、偽なら黒とか言いそう。それでオレ目線じゃスッキリするけど、村目線はそうじゃないよな。別に吊ってくれて色見てくれても良いけど。生きてても役に立てるかわからないからなあ。今日だって、全然グレーの人外なんかわからない。マジで困ってる。」

祐吏が、言った。

「オレは、あんまり話さない方だから。後で狼に利用されるぐらいなら、黒でも打ってもらって吊ってもらって、光祐に色を見てもらえたら良いなと思ってる。やっぱり村人に勝って欲しいからね。」

由弥は、言った。

「それは、祐吏も光祐が真だと思ってるってこと?」

祐吏は、頷く。

「…オレさ、人をめっちゃ見るんだ。いつも黙ってるのは、観察に時間が掛かるから。あの子、別に気弱じゃないよ。」

皆が、驚いた顔をする。

楓馬が、言った。

「え?これに巻き込まれる前から、なんかずっとあんな感じだったのに?」

祐吏は、頷いた。

「…そのうち分かるよ。オレって存在感ないから、別に隠れるつもりはなくても気付かれないの。成人式の会場でさ、オレだけトイレに行ったじゃん。覚えてる?」

涼太郎が頷いた。

「ああ、もう帰るから一旦解散ってなった時に、みんな一緒に駅に移動しようって言ったらトイレって。待たされたよな。その間に、珠緒ちゃん達に声を掛けられたんだった。」

祐吏は、頷く。

「そう。その時トイレ前混んでたけど、女子トイレはもっと行列でね。めっちゃ険しい顔で舌打ちして割り込もうとしてるの見ちゃった。他の知ってる女子は居なかったから、その時みんなと一緒に居たんでしょ?」

楓馬が、何度も頷いた。

「そうだよ!そうだった。珠緒ちゃん達と話してたら先に祐吏が戻って来て、その後夏菜ちゃんが戻って来たよね。あの時か。」

祐吏は、また頷く。

「そう。だから、裏の顔見ちゃったなあって嫌でね。だから、泣いて議論できないとか、ないと思うよ。もっと気が強いんじゃない?信じられないんだよ。」

知らなかった。

千隼は、まだまだだなあと思った。

女子の本性など、全くわからないのだ。

聞いた今でもいまいち信じられていないぐらいだ。

何しろ、祐吏もグレーで陣営がわからないからだ。

もしかして、光祐が狂人で早々と狼と繋がっていて、その狼が祐吏で夏奈を追い落とそうとこんなことを言っている可能性も無いとは言えなかった。

とはいえ、どうも祐吏は、狼には見えなかった。

黒を打たれて吊られても、良いと言っていたからだ。

自分も同じことを思ったので、それが素直な気持ちなのだろうな、と思ったのだ。

「…秀一は死んでた。」楓馬が言った。千隼は自分の心を見透かされたような気がして、驚いて楓馬を見ると、楓馬は続けた。「追放って、死ぬかもしれないんだ。もちろん、亜佳音さんがああ言ってるから希望はあるけど、生き返るなんて普通あるか?夏奈さんも、そう考えたとしたら、本来強い子だったら、出るよね。狂人でも狼でも、多分狐でも。」

由弥が、顔をしかめた。

「言ってることは間違ってないと思うけど、僕は狐なら占い師に出たと思うよ?そういう子ってしたたかだからね。だから気に食わなかったのかなあ。僕も結構人を見る方なんだけど、なんかイライラしちゃってさあ。本来、女の子には優しいんだよ?これで。でも、見てたらほんと、むかつくの。」

涼太郎が、笑った。

「分かる分かる。でも、まだ分からないからな。しっかり見て真贋は付けないと。性格がどうであれ、役職は別だからさ。」と、光祐を見た。「だから、まだ完全に信じてるわけじゃないけど、まあ信じてる、とだけ言っとく。」

光祐は、フンと鼻を鳴らした。

「それはお前にだって言えるっての。占い師って、大都が白いからそこに白出してて囲ってないだろうからお前は真かも、ってだけだからな。これからだよ。」

千隼は、こういった雑談の中でも、もしかしたら何かヒントになるような発言があるのかもしれないと、気楽なふりをしながら皆の話を聞いて、相槌を打っていたのだった。

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