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1日目朝2

それから、大都と共に階下へ降りて行ってパンとコーヒーでささっと朝食を済ませた千隼は、リビングで皆の動きを見ていた。

リビングには、昨夜は確かになかったのに、椅子が18脚円形に並べてあって、確かに誰かがここに居て、自分達を部屋に閉じ込めている間にいろいろやっているのを知った。

キッチンにも、昨日食べたはずなのにまた新しい食材が補充されていたし、世話はしてくれるようだった。

8時に会議と太月は言っていたが、亜佳音の他の女子が起きて来たのは正にその8時だった。

起きていたもの達が、円形の椅子に座って集まっているのを見て、珠緒、夏菜、奈央は驚いた顔をした。

そして、珠緒が言った。

「え?みんな集まってるの?」

楓馬が、むっつりとした顔で言った。

「いつまで寝てるんだよ。みんな6時には出て来てたんだぞ?秀一が…襲撃されて死んでたし。」

「え!」珠緒は、口を押さえた。「死…って襲撃されたら本当に死ぬの?!」

亜佳音が、頷いた。

「そう。私は先に目が覚めて、廊下に出たら上からなんか、ざわざわ聞こえるから何事かなって見に行ったら、死んでた。っていうか、死んでるように見えた、って感じ。」

夏菜がふるふる震えている。

奈央が言った。

「見えたってどういうこと?あなた看護師でしょう。」

亜佳音は、肩を竦めた。

「後で説明するけど。とにかく今から朝の会議なのよ。座って。パン、持って来てもいいから。話が進まないのよ。」

珠緒達は、顔を見合わせてバツが悪そうにそそくさとキッチンへ行った。

大都が、それを見て立ち上がった。

「あ、オレも水取って来る。千隼は要る?」

千隼は、首を振った。

「オレはいい。」

大都は、女子達を追ってキッチンへと走った。

そして、珠緒と奈央が急いでペットボトル飲料とパンを手に戻って来ると、空いている椅子に座った。

その後に、大都と夏菜が何やら気まずそうな顔をしながら戻って来て、それぞれ椅子に座る。

…何かあったのかな。

千隼は思ったが、今はそれどころではないので何も言わなかった。

太月がホワイトボードの前に立って、言った。

「朝に話したけど、もう一度言うな。オレは共有者だ。相方には潜伏してもらう。それで、基本的に役職のCO(カミングアウト)はいつでもいいが、対抗が出た場合は必ず出てくれ。潜伏してると思考が濁るし次の日に出られても信用できないからな。真役職なら特にだ。それで偽置きされたら勝てないだろう。ということで、話を進めたいんだがどうする?」

由弥が言った。

「僕は狩人以外は出て欲しいよ。もし今夜襲撃されて居なくなったら、明日以降は乗っ取りを考慮しなきゃならなくなる。それでなくても秀一が噛まれて役欠けがあるかも知れないし。」

太月は、頷く。

「そうだな。できたら出て欲しいが、噛まれる可能性もあるからあくまでも本人の意思に任せたいんだ。この分だと、追放ってのは恐らくあの、仮死状態みたいな様子になる事なんだろう。そのまま死ぬかもとか考えたら、ちょっと怖いしオレも責任は持てない。」

千隼は、言った。

「でも護衛が入るかもしれないし。護衛無しでいきなり噛まれて村に迷惑かけるぐらいなら、出た方がいいと思うけどな。」

勇祐が言った。

「今ので由弥と千隼は出られる役職じゃないのが透けてるから、皆が言い出す前に出た方がいいんじゃないか。潜伏してても詰まって来て襲撃される率が高まるぞ。」

涼太郎が、ため息をついた。

「…出るよ。占い師だ。白先も言う?」

太月が、慌てて言った。

「待て。」と、皆を見た。「対抗は居るか?」

それには、一弥がおずおずと手を上げた。

「オレ。」と、ため息をついた。「正直今朝のことがあったから出たくなかった。」

だが、涼太郎は言った。

「一弥か。一弥と別陣営か…オレは、村に有益な情報を持ってるから早く出た方がいいと思ってた。様子を見てたんだ。」

一弥は、ムッとした顔をする。

太月が言った。

「じゃあ、後から出た一弥から結果を頼む。」

一弥は、答えた。

「珠緒ちゃん白。」

太月は、頷いてホワイトボードにそれを書いた。

「涼太郎は?」

「オレは、大都白。」

…大都は白か。

千隼は、なんだかホッとした。

とはいえまだ、涼太郎が偽で仲間を囲っている可能性もある。

同じように一弥の方もその懸念があった。

太月は、二つの結果を書いて、言った。

「…これで動きが出たな。ところでこれからなんだけど、ここの部屋の防音が凄いので、寝てると起こせないし襲撃を皆で確認することができなくなるんだ。だから、夜寝る前には部屋の内鍵は開けて置いて欲しい。どうせ夜の間は閂が嵌まってて開かないからな。今朝みたいに、起こしたいのに起こせないのは困る。その分情報共有が遅れて怪しくなるのは嫌だろう。村人なら夜はやることがないし、11時には眠れるはずだ。6時に全員起床して一度廊下に出て来る事を義務付ける。寝てたら扉を開いて起こす。あんまりにもそれを守れない人は、夜中に起きてる狼だと勘繰られて吊られるぞ?オレが死んでも相方に出てもらうから、それだけは守ってくれ。」

寝ていた三人は、またバツの悪そうな顔をした。

そう考えると人狼には過酷な気がするが、それは仕方がなかった。

太月は続けた。

「今は17人で、吊り縄は8つ。人外は狼3、狂人1、狐1で5人だ。縄余裕は3。ここはグレーを吊って、各占い師目線を詰めて行きたいんだ。今のところ、占い師が2人出ていてここに1人露出しているが、後4人。」と、ホワイトボードにせっせと名前を書いた。「グレー幅は広い。初日だからな。オレ目線じゃ相方は省かれるが、それでも役職4人、白2人で完全グレーは11人も居るんだ。」

ホワイトボードには、つらつらと名前が並んで行った。

夏菜、亜佳音、奈央、楓馬、眞耶、千隼、由弥、祐吏、一敬、光祐、理人、勇祐の12人だ。

この中に共有の相方も混じっているのだろう。

由弥が、言った。

「でもこの中に共有の相方1人と狩人1人、それに霊能者1人が混じってるよね。実際は完グレは9人なんだ。みえてないけど。」

太月は、頷く。

「その通りだ。狩人には、チャンスがあったらオレだけに話して欲しいと言っておく。オレだけは知っておけるから、結構重要なんだよ。で、つまりこの広いグレーの中から今夜は吊るから、全員話を聞かせてもらうよ。番号順に、夏菜ちゃんから。」

夏菜は、皆の視線が一斉に襲って来て怯えた顔をした。

元々臆病な性質の子らしい。

その夏菜が、おずおずと言った。

「…実は…私は、霊能者なの。だからグレーじゃないの。」

え、と皆が驚いた顔をした。

夏菜が本当に霊能者なら、確かに出て良かった。

この様子なら、狼にSG(スケープゴート)位置にされそうだからだ。

だが、光祐が言った。

「なんだって?オレだぞ。オレが霊能者だ!夏菜ちゃんが人外だ。これで5人外の内2人が露出したぞ。ってことは、完全グレーは10人、共有と狩人を抜いたら太月目線じゃ8人中3人が人外じゃないか。ローラーの縄を残して置いて、今夜は1縄使ってグレーを狭められるな。明日はもっと楽になるじゃないか。」

太月は、ため息をついた。

「そう簡単にはいかないんだ。というのも囲いが発生している可能性がある。一番良いのはお互いが占った所をお互いに占って確白を作って行くことだが、明日以降統一占いは狐が居るしできない。一日おきにそれぞれ違う所を占ってもらって次の日そこを占うか…それでも白黒パンダになった時はどうするとなる。とにかく占い師には狐っぽい所を占ってもらって早く真確定して欲しいところだな。」

千隼が、言った。

「でも…確定するのは遅れた方が良いんじゃないかな。狩人の連続護衛無しだから、確定したらすぐに噛まれてしまう。確定するまでにどれだけ結果を残しておけるかにかかってる。最初は黒狙いしてもらった方が良いかも知れない。」

それには、由弥も頷いた。

「だね。多分、占い師には狼が出てそうだもんね。狐は1人だから、強く出れないで居る気がする。狼はバレてない限り占い師を噛めないと思うけど、バレたら絶対噛んで来る。それまでに真占い師には占い結果黒をたくさん落として置いて欲しいよね。」

一敬が言った。

「でも、秀一が占い師だったとか、霊能者だった可能性は?永遠に呪殺が出ない可能性もあるぞ。それでも占い師や霊能者を残すのか?オレは…今日から霊能者ローラーを始めた方が良いんじゃないかと思うんだが。吊り縄を1つ無駄にはするが、縄余裕があるうちしかできないぞ。決め打ちできる情報はない。」

確かにそうかも知れない。

だが、そんなことを話していたら始まらないのだ。

太月は、言った。

「分かってる。狐も居るのに占い師は2人だし、その可能性もあるが今は進めて行くしかないんだ。とにかく発言で怪しい所を探そう。どちらにしろ、今日はグレーから行く。今話してた由弥、一敬、千隼の話は聞けた。他は?もっと話さないと、村に非協力的だと投票対象になるぞ。」

他のグレー達は、仕方なく口を開いた。

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