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友達

キッチンへと入って行くと、一敬と一弥が女子達と話していた。

それを、横で大都と勇佑、理人が見ていて聞いている感じだ。

皆の前には食べ終わった皿がまだあって、こちらは食事を終えたようだった。

「よう。みんなもう食べたのか?」

太月が声を掛ける。

亜佳音が答えた。

「うん、パスタ食べたわ。冷凍だけどおいしかった。選び放題だから、食べる物には困らないわねって話していたところ。」

千隼は、冷凍庫に歩み寄って中を見た。

種類が多すぎて選ぶのも困るぐらいだったが、とりあえず手近なパスタを手に取って、それを電子レンジに放り込んだ。

終わるのを待つ間テーブルの方を見ると、太月が続けて話した。

「あのさ、みんな誰と仲が良いんだ?珠緒ちゃんや亜佳音ちゃん、奈央ちゃんのことは聞いたけどさ。」

一弥が言う。

「オレは一敬と小中高と同じで、オレは就職して一敬は大学に行ったんだ。ずっとネットゲームしてたから、繋がってた感じ。成人式は、だから一緒に行ってたんだよ。ちなみに勇佑も、ネットゲーム仲間だ。」

一敬は、頷いた。

「タブルカズとか呼ばれてな。家も近いから。こいつ、働き出してから羽振りが良くてさあ。課金しまくってめちゃ強くなってやがるの。」

二人はずっと友達だったのか。

祐吏は言った。

「オレは大都とネットゲーム友達だよ。だから一弥と一敬とも時々ネットで会う仲だったよね。だから成人式でその話をして盛り上がったから、一緒に飲もうってなったんだ。」

千隼は、後ろから言った。

「オレは由弥と大都と友達だから、リアルで遊んでたんだよな。だから、成人式も一緒に来た。」

太月は、頷いた。

「オレは地元を離れてたから、なかなかみんなに会う機会がなかったし、成人式が久しぶりだった。眞耶が声を掛けてくれたんだ。」

眞耶は、頷いた。

「そう。オレは涼太郎と光祐と同じ大学だからな。同じように地元離れてるから、太月に声を掛けた感じ。」

理人が、重い口を開いた。

「オレは…秀一と幼馴染みなんだ。秀一は地元を離れてたけど、時々会ってた。オレがネットで一弥と一敬とよく会うから、それで声を掛けられた感じだ。だから、この中で秀一が仲が良かったのはオレだけかな。」

そういう事だったのか。

何やら、目が開かれた感じだった。

いや、待てよ、じゃあ楓馬は?

「…楓馬は誰の友達だったんだ?」

皆が、顔を見合わせる。

涼太郎が、言った。

「…あいつからオレに声を掛けて来て。久しぶりだなって話してて、そのまま一緒に飲む話になっただけ。あいつは外で就職してたから、地元にはあんまり帰ってないからって言ってたな。」

巻き込まれた形なのか。

そう思うと、何やら不憫な気がした。

由弥との決戦に負けたのは、友達が少なかったからなのかもしれないのだ。

だとしたら、楓馬は白だったのだろうか?

それも、分からなかった。

太月も、恐らく共有でなければヤバかったのかもしれない。

役職に助けられている感じだった。

「…こうして聞くと、投票には、特に初日はいろいろ友達関係も関わってる気がしてきた。一概に陣営がどうのないかもしれないな。」と、太月は、ため息をついた。「午後からの会議、今日は14時からにするよ。もう13時近いし、慌てるだろ。ちなみに、申し訳ないけど朝の様子から今夜の投票指定は眞耶と奈央ちゃんにする。後は、占いで。寡黙位置から今夜は選ぶ。」

奈央が、口を押さえた。

「え、私?!」

みるみる涙ぐむ。

眞耶が叫んだ。

「何でオレ?!オレは村人なのに!」

太月は、苦渋の表情で答えた。

「昨日は発言の対立しているところだったから、今日は寡黙位置から吊りたいんだ。他はなんやかんや言って自分から議論に入って来てた。理人も疑ってたけど、今日は除外して占い指定先に入れる。すまないが、昼の議論までにこれまでの自分の考察をまとめて来てくれ。話を聞いて決めるから。」

そう言われても、動揺していてそれどころではないようだ。

奈央も、涙を流して亜佳音に慰められている。

千隼も両方共村人だったらと思うと、胸が痛んだがこればかりはどうしようもない。

絶対に誰か吊らなければならないのだから、計画的にグレーを潰して行くよりないのだ。

一気に暗い雰囲気になってしまい、太月もいたたまれないのか冷蔵庫からサンドイッチを取り出して、それを手にキッチンを出て行った。

千隼はパスタを前にしたが、味を感じることはなかった。


昼の議論は、14時から行われた。

全員が暗い表情で集まったが、命懸けなのでこればかりは避けて通ることはできない。

千隼も席につくと、太月が淡々と言った。

「じゃあ、さっき挙げた二人に話を聞きたい。考えて来たか?」

すると、奈央が顔を上げた。

「…私は、初日に夏菜ちゃん真の意見が出る中で、最初にわからないと発言したわ。光佑さんが噛まれているんだから、夏菜ちゃんは偽だったって事でしょ?仲間なら、皆に合わせておけば良かったと思うの。何も見えてない村人の証だと思う。」

それに、眞耶が反論した。

「あの時点では、仮に夏菜ちゃんが人外だとしても狼には分からなかったはずだ。狼でなければね。珠緒ちゃん以外誰も庇わなかったのを見ても分かるだろ?夏菜ちゃんは人外だとしても狐か狂人だ。だからそれは白要素にはならないと思う。」

太月は、眞耶を見た。

「じゃあ眞耶の白要素は?」

眞耶は、一瞬怯んだが、答えた。

「…オレは色が見えてないからこそあちこち怪しく見えるんだと思って欲しい。人外の数を把握というより、みんな怪しく見えるんだ。あちこち疑わないと、怖いからつい、考え過ぎてしまう。」

由弥が、言った。

「あちこち黒塗りするのは、誰が吊られても他を後からまた黒とおき直して吊れるからだって考えもあるよ?狼はそうやって布石を打つからね。君は昨日、僕に投票してるから、僕から見たら怪しく見えるんだ。楓馬の色はわからないけど、僕は白だと自分で知ってるからね。どうして昨日は僕に入れたの?」

眞耶は、顔をしかめた。

「由弥は何考えてるのかわからないから怖いと思ったんだ!お前って前から笑ってるけど黒い事考えてるような奴だったじゃないか。生き残りたいって気持ちも強いから、敵だったら怖いと思った。それだけだ。」

太月が、言った。

「それで奈央ちゃんは、どうして昨日楓馬に入れたんだ?」

奈央は答えた。

「私はどっちなのかわからないから、とにかくよく知らない楓馬さんに入れただけよ。由弥さんには時々駅で会ったりしてたし、その時も無視しないで挨拶してくれたりしたの。だから残しておこうかなって、単純に思った。」

やっぱりそうなるよね。

千隼は、思った。

普段の関わりが、初日の投票に反映されていただけなのだ。

眞耶は、言った。

「奈央ちゃんは何も考えずに投票してるんだぞ?オレはしっかり考えてる。そりゃお前らから見たらあんまり考えてないと思うかもしれないけど、オレはオレなりに必死に考えた結果なんだ。適当に入れたわけじゃないからな。それで、奈央ちゃんよりオレに入れる人が居たら、絶対そいつはおかしいと思う!」

そうは言っても、眞耶のあちこち向けて黒塗りする姿勢は黒いし、相手はまだ白か黒か分からないのに相手の黒要素ばかりを挙げ連ねている様は、どうしても黒く見えた。

何しろ、奈央は眞耶を攻撃するような事は言っていないのだ。

それに追い打ちをかけるように、奈央が言った。

「私…二人指定した太月さんには悪いけど、この中に黒って居るのかなって思う。私は少なくとも白だし、眞耶さんだって占われたわけでもないからどちらか分からないわ。最悪、村同士で争っているなら、不毛だなって思うの。他に黒い所は無いの?まあ、私から見ても、今のグレーで怪しい位置って見えないから、困ると思うけど…。」

一敬が、言った。

「…確かにそうなんだけど…昨日と同じように、これは時間稼ぎみたいなもので。占い師が黒を見つけてくれるか、もっとグレーを狭めてくれる時間を稼いでるんだ。こうしてグレーを狭めて行けば、占い師も占い先が狭まって来るから。縄に余裕があるうちしか、できない事だからね。もちろん、そんな事も続けて行けないから、明日は狩人を詰める事になると思うけど。」

千隼は、頷いた。

「仮に囲われていたとしたら、どう頑張ってもグレーからはなかなか黒が出ない可能性があるしな。」と、太月を見た。「両方の占い師目線からのグレー位置っていうの、書いて行っておいた方がいいんじゃないか?」

太月は、頷いた。

「そうだな。ここに書いておこう。」と、ホワイトボードを振り返った。「ええっと、じゃあ涼太郎目線だな。占ったのは大都と亜佳音ちゃんだけだから、今残ってる人達の中で涼太郎のグレーは9人。珠緒ちゃん、奈央ちゃん、眞耶、千隼、由弥、祐吏、一敬、理人、勇佑だ。一弥目線のグレーも同じく9人。大都、亜佳音ちゃん、奈央ちゃん、眞耶、千隼、祐吏、一敬、理人、勇佑。なので、完全グレーは奈央ちゃん、眞耶、千隼、祐吏、一敬、理人、勇佑の7人で、今夜この中から一人吊って、二人占うから完全グレーは四人になるが、もしかしたら残った中に役職が居るかもしれないので、明日一気に狭まって来る可能性があるんだ。だから、あまり悲観してない。楽観視もしてないけどな。」

由弥が、言った。

「その中に役職が居るかもと思ったら、狼は黒を打ちづらいよね。それで破綻して偽確定したら吊られるからさ。それにしても呪殺が出ないなあ。もう狐は居ないのかな?」

「それとも狼が知らずに囲ってしまってるかだよね。」祐吏が言った。「本来狼だったら狐だと思ったら、黒を打って村に吊らせなきゃならないけど、初日とか今朝に囲ってしまってたら無理だしね。夏奈ちゃんが狐だった可能性もあるけど…あの子の色が全く分からないからなあ。」

千隼は、頷いた。

「光祐が少なくとも狼でも狐でもないのが分かってるのが救いかな。光祐が狂人でも、多分知らずに狼が噛んでるってことだろ?夏奈ちゃんがあれだったから真は切ってるけど、まだ秀一が真だった可能性もあるし、難しいところだ。」

一敬が、言った。

「とりあえず、人外は1は落ちてるから。両方人外だったらラッキーぐらいに思っておくのが良いかもしれない。後6縄だろ?今夜の噛みで狩人が破綻するかもしれないし、まだ縄に余裕はある。光祐を噛んでくれて良かったんだよ。明日のために、今日はグレーの二人から吊るのがやっぱり一番良いんだ。」

眞耶が、言った。

「だからどうしてオレなんだよ!黙ってたのなら、勇佑だって理人だってそうなのに!一敬も最初はあんまり話してなかったのに、ここへ来て積極的に話てるのがおかしい!なのにオレなのが、太月まで怪しく見える!」

だから、太月は唯一見えてる確定村人なんだってば。

そんな眞耶が狼だから焦っているのか、それとも単に村人で、吊られるのが怖くて混乱しているのか、本当にそう思って言っているのか分からないまま、昼の議論は進んで行ったのだった。

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