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第四頁 依頼内容の確認

「それじゃ君のことは、これから依頼者と呼ばせてもらうけれど、問題ないかな」


 司書は宥子に笑顔で尋ねる。

 宥子は不思議そうに首を傾げた。


「え? う、うん……? 名前とかでは呼ばないの?」

「秘密保持、というのは探偵にはあるのさ。必要になった時のカードとしておくほうが美点だろう?」

「司書なのに探偵なの?」

「それはね――――」

「……あまり突っ込まないでやってくれ。探偵と読んではいるが、基本的にエルの趣味だ」

「しゅ、趣味……?」


 司書が自慢げに言おうとするのを従者であるクリードが遮る。

 クリードが司書の代わりに答えるとエルエスは困ったように微笑んだ。


「あはは、否定はできないね。けど、その表現だと気まぐれだと思われてしまう気がするから、僕としてはあまりよろしくないな……ところで、依頼者さんの今回の依頼は?」

「……いじめっこの主犯格を学校側と生徒側に情報を晒すこと、その周りも調べてばらしてくれるなら、なおいいわ」

「わかったよ」


 絞り出す言葉の節々に像を感じさせる宥子の言葉に司書は苦笑した。

 次に司書は片手を宙に向けると、魔法のような鱗粉が舞いエルエスの手に白いコートがかけられる。

 宥子は唐突に立ち上がった。


「え!? い、今のって……魔法!?」

「そうだよ、詳しいね依頼者さん」


 宥子は突然の出来事に驚愕していた。

 ……いや、確かに自殺しようとしたのにこんな場所にいる自分は、魔法で連れてこられたようにも受け取ったっておかしくないと彼女はそう思考した。

 宥子は、腕を組むと裏返りながらも言う。


「そ、それは……日本人だし? まぁ、コンテンツには詳しい方だよ」

「そうか、それじゃ私は一度外に出るからクリードは後から来てね」

「わかった……気を付けろよ」

「ああ、もちろん」


 司書は席から立ち上がると、コートをを着る。


「それじゃ、しばらくの間暇かもしれないだろうから、クリードに聞いて読める本を教えてもらうといいよ」

「わ、わかった」


 宥子は頷くと、エルエスはにっこりと穏やかに微笑んだ。

 エルエスは疑似再現の庭を抜けて、玄関の方へと向かって行く。

 扉の近くでいる老人に声をかけた。


「おお、主様。どこへお向かいになられるので?」

孤狼(ころう)。留守番は頼んだよ」

「承知したぞ、主様」


 独島孤狼(ひとりしまころう)は、地球のパラレルワールドに孤立していた剣豪だ。

 まあ、地球での現代器具も楽々こなすスマートさには自分としても評価したい。


「ああ、それと主様よ」

「ん? なんだ――――」


 孤狼は一人、冷静に落ち着いて言葉を選びながら説明しようとすると、先に動いたのは孤狼だった。


「これを一応受け取っていてほしい」

「…………っと、これは?」


 孤狼から受け取ったペンダントにエルエスは違和感を抱く。

 悪い気と言うわけではない、逆にこの図書館の主である自分に心配してくれているという上での気遣いだろう。一体、()()()は何を作ったのやら。


「ああ、安心なされよ。決して、食い物ではないが、もしもの時には使ってくだされ」

「わかった、それじゃ行ってくるよ」


 小さいこのペンダントは一体なんなのかな、と、期待で胸を広がせている場合じゃない。

 とりあえず、下の方に下りて行こう。

 僕は一人で目的地へである扉へと向かった。


「さぁ――――――行こうじゃないか、君たちの世界へ、僕を招いておくれ」


 僕がそう尋ねると、扉は開く。

 僕は扉の中へと入っていき、白い光に包まれた。

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