第一八頁
とりあえず、僕たちは蜜花ちゃんが時折、彼女と情報交換もしつつ川口正人の情報を一つ一つ集めて言った。川口正人の人柄や過去などは、不良君仲間からの情報を集めてきてくれて話してくれた。
まず川口正人の今の高校生としての態度は、基本的にセフレなどという関係を築いている女子生徒たちが複数人いるそうだ。他校の女子たちとも関係を持っているらしい。
しかも、セフレたちに金を貢がせているそうで、どこぞの屑系なホストを連想させる。
いや、ホストのイメージがそういうわけではないが、作品の中で基本的にホストはまともなのもいれば、心の底から屑と罵りたくなるような奴もいる。その点については、どの役職でも言えた話だが……だが。
「うん、屑だね」
「ああ、屑だな」
僕たちはホテルで情報を整理しながら互いに口にした。
はぁ、と重たい溜息が零れる。
まだ依頼者の彼女が川口正人に妊娠させられて転落人生を過ごす、というところまでいってないあたりがみみっちい。そこだけは学生としての範囲に収まっているようだが、セフレにピルを飲ませてヤリまくっているという情報もあったが……いや、やはり屑以外の何者でもないな。
「とりあえず、蜜花ちゃんに知られたら彼を殺しかねないね」
「そうだな」
「けど、多少は知っているからこそのあそこまでの啖呵を切ったんだろうさ……はぁ、今回はまた、色々と暗躍していそうなヤツがいそうだ」
「……なぜだ?」
僕は不良君に渡された写真を目にする。
冴島宥子が全裸にさせられているのはもちろん、尿を催しているところを取った写真や、肌に落書きされている写真まである。
……しかもこの写真は、川口正人の友人たちが持っている写真なのだから、これが彼女にとっての弱みの一つなのは間違いない。
だが、気になるのはそこだけじゃない。
「女子生徒の反応がおかしいんだよ。話しかけたら、特定の話題になると目をとろんとさせて、洗脳されたように目が死ぬんだ……これは何かがあるよ」
「それは、確かに怪しいな」
「とりあえず、まず一旦確認をしようじゃないか」
僕はポケットからスマホを取り出して、とある人物のアドレスでスピーカーモードにした。
「……キャサリン、少しいいかな」
『ハニーじゃない! どうしたの? アタシと一緒にデートしてくれるのかしら』
「あはは、ごめんね。聞きたいことがあるんだ」
『あら、つれなぁい……今度アタシとデートしてくれるなら考えてあげてもいいわよ?』
「はは、そう来ると思った。いいよ。今度の休み、デートしようか」
『嘘ついたら、針千本とハリセンボンを一緒に飲んでもらうから! そのつもりでいてよぉ?』
「あはは、僕は嘘はつかないだろう? 大好きなキャサリンがしたいこと、叶えてあげるから手伝ってくれるかな」
『ええ、わかったわ。愛しのハニーのためですもの。色々教えて、あ・げ・る♡』
「……俺の主人を誘惑するな、スパイ女」
甘ったるいキャサリンの言葉に苛ついたのか、クリードは罵倒になっていない罵倒を吐く。
『え!? ハニー、ドブガラスとまた一緒にいるの!?』
「ああ、仕事でね。キャサリンが今回の依頼者の話を聞いたんじゃないのかい?」
『少し前まで任務だったもの、聞いてないわ』
じと、と僕はクリードを見る。
あの、クリードが聞き出した……? 本当に?
少し眉をハの字にして、困った顔をしているクリードは静かに言った。
「……俺だって成長はするんだぞ、エル」
『アンタの成長度合いなんか興味ないわよドブガラス!!』
「うるさいぞ、スパイ女」
『全然罵倒になってないのよ! もう少し、罵倒の語彙力付けなさいよ!!』
「……あはは。わかったから、あんまりクリードを挑発しないであげてくれるかな? キャサリン」
『はーい……じゃあ何してほしいの?』
「ああ、川口正人って子を誘惑して陥落してほしいんだ。できるかな?」
『つまり落せってこと?』
「そういうことかな」
『……どんな男?』
「君が大嫌いな屑男だよ」
『いいわぁ、やってあげる。ハニーの頼みだもの……後でご褒美頂戴ね?』
「もちろんだよ、とりあえず依頼者の子はクリードが案内するから、少し待っててくれるかな?」
『はーい、ハニー♡ それじゃ、また後でねぇー!』
プツンと、通話は切れる。
僕はふぅと、溜息を吐きつつ、僕はパチンと指を鳴らす。
すると、ホテルの最上階のこの部屋の出口である扉が僕の図書館の扉へと変わった。
「それじゃ、行ってくる」
「うん、お願い。僕は情報の整理をもう少しやっておくから、二人とも喧嘩はしないでよ?」
「……できる限り務める」
「うん、行ってらっしゃい」
僕は扉の向こうに消えていくクリードを見ながら改めて今まで集めた情報の整理を始めた。




