第一二頁 不良からの情報提供
クリードは不良の手は掴んだまま、地面に跪かせる。
女子生徒は一緒にいる中、僕は体育館裏の座りながら不良に尋ねる。
「もし僕の質問に答えてくれたら、君の手を離すことも考えてあげるよ」
「ほ、本当か?」
「君次第、だよ。君が嘘をつかなければいいだけの話だ」
エルエスは不良もうっとりするほどの微笑を浮かべる。
しかし、不良にとっては恐怖の笑みでしかなかった。
「……お、俺はただちょっとからかってやろうとしただけで」
「僕は君がしたことは彼女に謝ればいいと思うさ、それだけの話――――いつ口答えしろと言ったかな?」
「っひ!!」
冴え切った目で見るエルエスの目に固まる不良は怯える。
クリードに視線でさらに彼の拘束を強めろと訴えたが、先に止めに入ったのは女生徒だった。
「あ、あの……そんなに怯えさせなくても」
「君に手を出そうとしたんだ、それくらい許されるだろう?」
女生徒は小さく隣から、彼をフォローしようとする。
日本人ならそういう優しさも美点だけど、そういうのはこういう男にはよくないことだ。
調子に乗ったら、さらに……と、あまりにも容易に想像できる。
「それじゃ、僕が聞きたいことは一つ……射越只広君と味園義男君はどこにいるか知ってる?」
「射越と味園……? 射越は別にダチじゃねえし知らねえよ。でも味園ならカラオケで女子たちと遊んでるはずだ、いつもの店に通ってると思う」
素直に不良は口を割った。エルエスは顎に手を当てる。
……どうりで学校にいないわけだ。
「そっか、ありがとう――――それじゃ、また何かあったら教えてくれるね?」
「は!? なんで――」
「教えてくれるね?」
「は、はぁい……っ」
エルエスは怯える不良に優しく微笑んだ。
女子生徒の方へと司書は振り向く。
「それじゃ、また今度会おうね」
「え? あ、貴方は!?」
「秘密の美少女、って感じかな。またどこかで会えるよ――――またね」
僕は女子生徒に背を向けたまま軽く手を振って去ることにした。
クリードは不良を開放して、僕の方へと駆け寄ってくる。
小さく、僕に問いかけた。
「……エル、あの少女からも情報を収集した方がいいんじゃないか?」
「あの状況で下手な詮索は避けるべきだよ、僕は佐伯宥子の知り合いとして来ているだけなんだから」
「……そうか」
クリードはそれ以上は言わず黙る。
少なくとも、依頼人の彼女が図書館から出て普通に学校に来ようとしていたら下手にいつまでも長居はできない。
だから、とりあえず今持っている情報をもとにカラオケ店の捜索、と言ったところか。
やることが色々とあるな、まあ――――目星はついてるけど。




