表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/29

第21話 ギャンブルでコインを倍に!

 遊園地兼カジノには、ぞろぞろと人が集まり、入り口に吸い込まれていく。

 どのくらいの広さがあるのだろうか? かなり大規模な施設だと見受けられる。


「鳥居は、どこにあるんだ? 」


 俺が、額に手を当てて、じっと目を細める。

 しかし、どう頑張っても、鳥居らしきものを発見できない。

 そもそも、遊園地エリアにあるのか、それともカジノにあるのかすらわからないのだ。


「そうだね。まずは、遊園地で探そうか」

「私も行く」


 短く、リーチェが言う。

 確かに、この子は頭が良いし、もしかしてカジノの超攻略法とかも知ってたりして!? と、期待する。


 入り口まで来ると、今度は、簡単な身体検査とチケット料金について説明された。

 ……なんだか、俺の胸や尻を軽くタッチするたびに、門の警備員たちがにやつくのが、少し気味悪かった。


「チケット料金は、大人5000イェンに子供4500イェン」


 だるそうにチケット支払いの管理人が、説明した。

 俺も、魔界の通貨の相場などわからないが、かなり強気の値段のようだ。


 それから、管理人は言った。


「遊園地に遊びに行くならば、カジノのメダル100枚が必要になります」

「ほ? 」


 俺が、素っ頓狂な声を出すと、「なるほどねえ」とニーヤンが顎に手を当てる。


「つまり、こういうわけだよ。『カジノで稼いで、子供を遊園地に行かせる』って名目で、ギャンブルができるってわけ。元々、この辺にはギャンブル文化があまりないからね。でも、一度射幸心を煽られてしまったら、ギャンブル依存症の入り口、『いらっしゃいませ』ってことだよ」

「シャコーシン? 」

「射幸心。つまり、幸運などによって思いがけない幸せを得たい、という気持ちだ。ギャンブルでは、テクニックもそうかもしれないけど、大半は運の世界だからね。ちなみに、この射幸心を持っていないのは、猫だけだという話もあるよ」

「へー」


 俺はそう納得して、カジノの入り口を見る。

 カジノは開放的で、開け放たれている入り口には、何人もの警備員が配置についていた。


 ニーヤンは、「大人2枚に子供1枚」と受付に申し出ていたが、ふくれっつらのリーチェにガンガン足を蹴られていた。


「痛い痛いよリーチェ。……はい、これ入場チケットね」

「紙製なんだな。意外」

「紙製のチケットは、今では珍しいわ。皆、手の甲にスタンプしてもらうのが当たり前だからね。でも、魔界では色んな種族がいるし、リザードマンなんかは鱗でスタンプできないでしょ? 」

「むう。それもそうか」


 そして、俺たちはカジノの方に足を踏み入れた。




――

 回るルーレット台。やかましい音のパチンコ機。ポーカーやブラックジャックなどのカードゲームも取りそろっている。


 カジノでは、それこそ様々な種族が、めいめいに自分の好きなゲームに興じていた。

 しかし、その誰もが、魔王に気付いた気配がない。


「……魔王って、もしかして、面割れてないの? 」

「まあ、地上遠征に行ってない種族もいるしっ! 直属の部下以外には顔見せてないしっ! ぜんっぜん心が痛くはないもんね! 」

「……はあ」


 俺は、正直に言うと、これほど人望がないニーヤンに、いささか同情すらしてしまった。

 しかし、よくもまあ、顔も知らない『魔王』とやらについていった奴らがいるもんだ。


「で、どーする? メダル100枚……だっけ。金で買えるのなら、買っちゃった方が安いんじゃねえか? 」

「買えるならね。受付でちょっと聞いたんだけど、俺らブロンズクラスの客の買えるメダルの上限は50枚」

「ブロンズクラス? 」

「会員の等級だよ。初めて利用すると、ブロンズクラス。そこから通っていくと、シルバー・ゴールドって上がっていくみたいだ」

「……ってことは、遊園地に行くまでには、あとメダル50枚をギャンブルで稼ぐ必要があるのか」

「そゆこと」


 俺たちは、きょろきょろと一旦ギャンブル場内を見渡す。

 ……鳥居は、ない。やはり、遊園地エリアに鳥居は置かれているようだ。


「じゃーまあ、50枚、稼ぎますかねえ」

「まず、5000イェンから両替しますか」

「ん? そんなに必要か? ニーヤン、ギャンブルしたくて騙してんじゃねーの? 」

「静かにしなさい」


 そう言われ、リーチェにすねを蹴られる。

 俺は、うめいてがくんと座り込んだ。


「こっ……このガキ……! 弁慶の泣き所はマジで痛いんだぞ……! 」

「メダル1枚100イェンで、50枚買ったとしたら、値段は5000イェン。間違ってはないわよ」

「ぬう……」


 俺は、半分の25枚を貰い、「さーてと」と、ギャンブル場内を徘徊した。

 ニーヤンには「付いていかなくて大丈夫? 迷ったりしない? 」と、田舎のばあちゃんくらいに心配されたが、子連れで固まっているようなところではない。


 黄色く灯るシャンデリアに、金ぴかの内装。

 なんだか、本当に、「ギャンブル場らしいギャンブル場」である。


「初心者でもとっつきやすくて、頭の中で計算とかしなくて良くて、しかも簡単にメダルを倍以上にできちゃうギャンブルは……と」


 と、紳士淑女の皆さんのやっているギャンブルを、ざっと見物する。


「ポーカーは意味わかんねえし、ブラックジャックも計算が危ういしなあ。カードゲームはなしってことか……」


 俺は、「うーん」とうなって、のろのろと歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ