気がつくとそこは闇の中 2
というか、続きの話だった。どう考えても僕が作るなんて無理なんだけど。
――魔法の存在する世界で教師をしている魔法の使えない先生の無双物語。話は闇の組織が主人公の受け持つ生徒を攫ってしまう所で終わっている。
……実をいうと、僕はこの話がそれ程好きではなかった。
最初からここではない全く別の魔法がある世界が舞台。となるとこちらとは何もかも常識が違うに決まっている。なのに石造りのお城やら馬車なんかが当たり前の様に出てくる。そこが僕には疑問で仕方ない。
“魔法があるから中世みたいな雰囲気になる”というのは、元を辿れば魔法というものを描いた作家が住む国の歴史観からそうなっただけで、物語を楽しむ上で必要となる基礎や風土からくる感覚の土壌が圧倒的に日本と違う。とはいえ、寧ろそれは時代を経て逆説的に古典になったと言える“かも”しれない。
が『魔力ゼロですが魔法の教師やってます』なんて意外性とは、かけ離れた様式美だ。
そして、それら世界観を説明するフレーバーテキストは多くない。
主人公からして常識の外れた存在なのに、世界観はまるで定型文の様に中世のそれと同じ……というのが僕から見ると、その様に形作られた世界はあくまで中世の歴史の延長上でしかなく、なので主人公だけが浮いて見えていた。
だからこの主人公は物語の上を歩いていない、となる。
物語というのは歴史で、それを作ってきた人達の線上に伸びているものだ。だからこの主人公は僕にとって、嘘の様にしか思えない。
つまり中途半端だ。真実味が無いともいえるし、物語に引き込む要素が薄くも感じる。
とは言いつつも何故全巻を揃えているのかというと、僕がラノベにはまり始めた頃は人気であった事や他にめぼしいものが無かった、中に入っていた広告で大きく推していたとか色々な理由と惰性で買っていただけだった。
そんな大して好きでもない作品の続きを、うーん。
……いや、いや、こんなんじゃ前に進まない。好きじゃないとは言っても別に嫌いでもないし、最後どんな状態で終わってたか覚えてる程度には印象に残ってはいるんだ。それに、主人公が生徒を助けるっていう最終目標も分かってる。後はその間を埋めるだけなんだよなぁ。