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異世界ぼっち酒 ~クエスト調査官リュウジの事件簿~  作者: 九重七六八
第2話 御曹司のダンジョン転落死事件
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ランクAの冒険者

 リュウジの背後が明るくなった。ボボボ……と燃焼する音と熱せられた空気を耳の後ろに感じる。

 リュウジはとっさに身をかがめた。自分を避けるような軌道で炎の玉がグールとリザードゾンビに着弾する。

 

 グゲゲゲ……。

 

 凄まじい炎で焼かれる。さらにそれは2発、3発と繰り返される。さらに疾風のごとく青白く光る剣を手にしたものがリュウジの傍らを駆け抜けた。

 そのスピードはリュウジだからかろうじて見えたものだ。普通の人間ならば、つむじ風が抜けて行ったとしか認識できなかったであろう。

 前方でグールの首が2,3空中に舞った。そして死霊の騎士がもつ大剣と剣が打ちつけあう。

 戦っているのは剣士。白い軽装鎧が暗いダンジョンでは映える。圧倒的に剣士の方が押している。死霊の騎士はやがて首を飛ばされて消し去られた。

 戦った剣士は何事もなかったように剣を腰に収める。

後ろからウィザードローブを着た老齢の魔法使いとダンジョン全体を照らす強力な明かりの魔法を付与した杖をもつ神官。

 狭いダンジョンに合わせた短い柄のバトルアックスを両手にもった戦士。そして黒装束の男。


「いやあ……あなたはクエスト調査官ですよね」


 死霊の騎士をいとも簡単に消し去った白い剣士がそうリュウジの方を振り返って言葉を発した。

 まだ若い男の剣士だ。だが、その戦闘力はリュウジをはるかに凌駕する。アオイが言っていたランクAの冒険者に違いない。


「初めまして。僕はアンリ、アンリ・ルフェーブルと言います。ランクはA。聖騎士をしています。そして、後ろにいるのは僕のパーティ。ディスティニーのメンバーですよ」


 そう言ってアンリと名乗った剣士は、リュウジに自分のパーティのメンバーを紹介した。魔法使い、神官、戦士、アサシンの5人パーティである。

 魔法使いの老人もランクA。賢者と称えられ、人間が解明して使用ができるとされる攻撃魔法の8割を使いこなすことができた。

 神官の男はランクB。神殿で神官長をやっていた人物である。戦士は筋肉隆々の体つき。強靭な肉体を見ても強そうだ。このパーティでは唯一のランクBであるが、それは経験が不足しているだけで力量は十分にランクAに達していた。

 そして黒装束の男。顔はマフラーで見えないが、体つきから男だと分かる。アサシンとは、暗殺者のことだが冒険者でアサシンの役割は大きい。スカウトやレンジャーの上位職種。

偵察やトラップ察知能力に加えて、戦闘力も高かった。特に静かに近づき、一撃で敵を倒すことができる能力があった。

 驚異的な身体能力と毒を用いた武器が特徴のスペシャルジョブである。この男は名前がない。パーティの仲間にも教えていないのだ。

 ランクはAであるが、余計なことは一切話さず、偵察任務やトラップ解除、トラップ設置などの仕事を淡々と果たしていた。

 戦闘力もかなりのもので、先行して敵の集団に突入し、敵のリーダーを一瞬で殺すこともでき、その殺しのテクニックは一流であった。

 そして戦士の大男。ダンジョン用にカスタマイズされた戦斧を装備している。鋼の胸当てで大胸筋は見えないが、割れた腹筋と肩の筋肉を見ればかなり強いと思われた。

 実際、この戦士の男は闘技場で活躍した元チャンピオン。アンリに敗れるまで256勝を重ねた猛者であった。ランクはAである。

 

「クエスト調査官のリュウジだ……。感謝する」

 

 そうリュウジは礼を述べた。もし、彼らがこの場に現れなかったら、ここで命を落としていたかもしれない。


「クエスト調査官は一人で行動するのですか。勇気がありますね」


 アンリの言葉には多少、皮肉が込められている。単独ソロで行動する冒険者はいるが、危険の伴うダンジョンでソロで臨む者はほぼいない。


「モンスターを殲滅する必要ない」

「そうだとしても、今のような状況だと単独は危険ですよ。仲間がいれば、その相乗効果で何倍にも戦闘力は上がる。ソロでは限界がありますよ」

「……」


 アンリの言うことは最もな意見だ。だが、リュウジが単独で調査に当たることは理由があってのことだ。


「それでは僕たちは、5階の調査をして下へ降りますから。調査官はこの階での調査が仕事ですよね。まあ、強敵は掃討しておきますので、さっきのような危険はないとは思いますけどね」


 そう言ってアンリたちは、先に進んでいった。彼らの能力ならば、この先も楽勝であろう。


(噂には聞いていたが、ランクAというのはすさまじいものだな)


 意気揚々と地下6階へ降りて行くアンリたちを見送るリュウジ。

 死霊の騎士を一撃で倒した剣技はリュウジも驚いた。それに持っている武器の意欲もだ。ランクAは本人の技量もさることながら、使う武器の性能も重要な評価要素となる。

 アンリがもつ剣は、魔法で強化された魔法剣。岩もバターのように切ることができ、さらにアンデッドのようなこの世に非ざるものをも切って捨てることができた。

 使用するには相当な精神力と剣技が必要である。使う者の技量が高くなければ、鞘から抜くこともできないものだ。

 アンリだけでなく、それをフォローする魔法使い、神官も侮れない。高度な魔法での攻撃、防御、ダメージを回復。アンリをサポートする戦士やアサシンも練れのようであった。


「だが……奴らの前では、強力な仲間は足手まといになる……」


『奴ら』とリュウジは表現した。


 それはリュウジの運命を変えたモノであった。


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