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異世界ぼっち酒 ~クエスト調査官リュウジの事件簿~  作者: 九重七六八
第1話 グレイウルフの森全滅事件
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魔法トラップ その2

「ドーンだにゃ!」

 リュウジと寧音がそう叫ぶと同時に「きゃうううん!」と2頭の悲鳴が森中をこだました。

 左右には違うトラップ魔法が仕掛けてあったのだ。

 それは魔法で出現した虎ばさみであった。するどい歯に足を挟まれた2頭のグレイウルフは、身動きできない。苦痛で黄色い吠え声をあげていた。


「これで残り5頭」

「来るにゃ、下に一頭」

「了解した」 


 罠を突破して、枝にぶら下がったリュウジの下からジャンプして噛みつこうとしたグレイウルフに向かって、バゼラードを突き立てる。

 口から脳髄を貫き、地面に着地してリュウジは残り4頭といい、さらに短剣を鞘へ納めると、携帯した小型のボウガンを向ける。

 これは小さな矢を5本連続で打ち出せるものだ。


「リュウジ、左斜めから突進してくにゃ」


 グレイウルフは賢い。先ほどから、リュウジの左から攻撃を仕掛けてくる。おそらく、リュウジの左目があまり見えていないことを知っているのであろう。

 しかし、リュウジは落ち着いている。寧音の指示に冷静に対応する。


「了解!」


 シュバ、シュバ、シュバ……。

 短い射出音5発した。左後方の茂みから飛び掛かって来たグレイウルフの脳天に突き刺さる。体を痙攣させて絶命する。


「これで残り……3頭」


 リュウジは立ち上がる。その3頭が左、右、正面から低いうなり声を上げながら、ゆっくり近づいてくる。ここまで順調に来たが、いよいよ追い詰められた。リュウジの背後には大木。逃げるスペースはない。


「リュウジ、この状況はヤバいにゃ」

「ああ、ヤバい……」

「こういう時は開き直りが必要にゃ」

「開き直りね……」


 リュウジはにやりと笑って、バゼラードを構えた。


「さあ、来いよ。この短剣はお前たち専用じゃないが刺されば痛いぞ……」


 リュウジはそう言って、短剣を振り回しわざと威嚇する。振り回せば、振り回すほど、残念ながら弱っちく見える。

 これはグレイウルフを油断させる演技だ。動物と言えど、弱ったところを見せると油断する。 

 そしてそれは注意不足を誘発する。


「ぎゃうううん……」


 左右同時にグレイウルフは悲痛な声を上げた。

 前足を踏み込んだとたん、地面に違和感を覚えたのだ。しかし、その瞬間にもはや手遅れであることも分かる。

 麻で編んだ網が体全体を包み込み、いっきに空中へと体を持ち上げたのだ。


「はい、かかったにゃ!」


 魔法トラップである。

 効果は『スパイダーウェッブ』。出現した網で動けなくするものだ。

 

「これで残り1頭……」

 

 リュウジは顔を上げた。前方からゆっくりと近づいてくる黒い塊。残り1頭になったが、最後に残ったのはボス。通常のグレイウルフよりも2周りも大きく、右耳が半分千切れているのが特徴である。


「リュウジ……真打登場にゃ」

「そのようだな……しかも怒り心頭だ」


 『ロボ』と名付けられたこの集団のリーダーである。

 グレイウルフは賢い動物であるが、そのリーダーはさらに賢く、仲間に指示を送って集団で狩りを成功させる。

 そして、人間の作戦を看破して、それを逆手に取ることもある。

 ロボはさらに賢く、これまで討伐に出た人間の冒険者を何度も撃退した。

 今回は要塞化した砦での戦闘で多くの仲間を失うことになったが、グレイウルフがここまで冒険者を苦しめたのは、ロボの能力の優秀さがあってのことだろう。

 そしてこのリーダーは、単独の戦闘力もかなりのものであった。リュウジは一目見て、まともに戦ったら危険だと判断した。


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