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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
1章 天才数学者、転生する
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番外編1 母親、愛を確かめる


Side クレア・カール


カール家に二人目の男の子が生まれた。

名前は前からライナーと相談して決めてあったレオンに。


生まれた時からあまり泣かず、よく寝てばっかりだった。

食欲はあるみたいだけど、エドガーの時と比べると明らかに少ない。


寝ている間に医師に診てもらったときのこと。


「この子は魔力量がかなり多く、まだ体になじんでいないようです。赤ちゃんは基本的に生まれてから1ヵ月くらいで魔力が完全になじむのですが、この子はもう生まれて3ヵ月ですよね?もしこのまま魔力の同調がうまくいかなかったら、この子は魔法がうまく使えず、体も弱くなるかもしれません」


 そういわれて、ショックで一週間くらい体調を崩してしまった。その間はメイドが代わりにレオの面倒を見てくれたのだけど、

レオの顔が見れない

魔力の同調が終わって元気な姿が見たい

そう思って非常に心細かったわ。






レオが無事に1歳の誕生日を迎えた。


安心した。


赤ちゃんは1歳になるまでが一番なくなりやすいと言われていたから。

そんなレオだけど、好奇心旺盛な子だった。

気になる物を指さしては何て言うか聞いてくる。


新しいことばをすいすい覚えるから、こっちもうれしくなってたくさんの言葉を教えたわ。






レオが一人で歩けるようになってすぐのこと。

まだちゃんと喋れないレオは屋敷を一人で探索したかったみたいで、誰にも気づかれずこっそり部屋を抜け出してあちこち散歩していたみたい。

でもある日、料理をしていたのだけど、階段の方から大きな音がしてまさかと思ってみると、レオンが階段から滑って落ちたのを見た。

私はたまらず悲鳴をあげて、そしたらメイドたちがすぐやってきて手当てをしてくれた。

その間も一切レオは泣かなかった。

「階段から落ちるなんて経験、はじめてだろうから痛みよりもびっくりしたのが勝ったのでは」とマリーは言っていたけど、やっぱり心配。

1歳になるまで魔力の同調がなかなかうまくいかなかったのもあるし、レオは体があまり丈夫じゃない気がする。


大きなけケガをして欲しくないわ。






エドガーは朝に素振り、そのあとは日によって別館で勉強か戦闘訓練など、まちまち。

レオはたいてい屋敷を探索してなにかに触って、また探検してを繰り返しているから基本的にエドガーとレオが一緒になるの食事の時間くらい。

エドガーがレオに「一緒に素振りしないか」と誘って、それをレオが「気が向いたら」と答えているのが最近の夜ご飯の出来事。


レオは外で体を動かすより、家でおもちゃで遊ぶ方が好きみたいね。

母親としてはもう少し運動して体も丈夫になって欲しいわ。






レオがまたケガをした。

玄関に飾ってある甲冑の置物を触ったら頭の上から甲冑の頭が落ちてきたらしい。


頭のてっぺんに大きなたんこぶを作って、それでも大声を挙げなかった。


でも目にうっすら涙を浮かべていて、こっそり拭っていたのを見た。

もしかしてこの子は私に心配をかけさせないようにしているのでは。

そう思うようになった。


レオはちょっと好奇心旺盛で危なっかしいところはあるけど、信頼して自由にさせてあげるのがいいんじゃないか。

そうライナーと話し合って決めた。


でもケガはして欲しくないわ。






レオがどんどんしゃべれるようになった。


たまに自室でメイドと会話の練習をしていたのは知っていたけど、こんなに丁寧な言葉遣いができるとは思わなかった。

メイドの誰に聞いても「ここまでの言葉遣いは教えていない」と言っていたし、不思議だわ。


どこで学んだのかしら。





「レオ、あなたお父さんの書斎に入ったそうね」

「勝手に入ってしまってごめんなさい、もしかして入ってはいけなかったのですか?」

「うーんダメってわけじゃないけどね、あそこはお父さんが仕事をする場所だから。お父さんの仕事の書類とかをレオがうっかりダメにしちゃうといけないから入らない方がいいわ」


レオが文字を勉強したいと言い出した。

エドガーの時はほぼ5歳になるタイミングで文字を教え始めたのだけど、レオはわずか3歳で。

これにはライナーも私もびっくりした。


エドガーに文字を教えたマリーに頼むことにしよう。

マリーはかなり物知りだって聞くし、レオにぴったりだわ。



最近レオはライナーの書斎にあったガイアの歴史本をひたすら読んでいる。

レオは将来学者になれるかしらね。

うれしい反面、母親らしいことがあまりできていないんじゃないかと、ちょっと不安。

私が見ていないところでよくケガをするし、意味が分からない言葉を私に聞かずにまず辞書で調べようとするし。


私ってあまり必要とされないのかしら。

母親として信用されていないのかしら。


ライナーに相談したら「気にするな。したいことはちゃんとしたいって言ってくるじゃないか」と言ってくれた。


そうね。少し気が楽になったわ。






今日はレオが魔法の練習をしたいと言ってきた。

まだちょっと早いような気もするけど、マリーなら任せられるわ。


マリーが血相を変えてやってきた。

話を聞くと、レオが生み出した炎でやけどしたらしい。


大変よ!やけどはちゃんと治療しないと肌の色が変わってしまう。


すぐに行かなくちゃ。




「お母様、マリーさん、落ち着いて最後まで聞いてください。実は…」


レオからの話を聞いた。


信じられない。そんなはずが。最初はそう思った。

でもよく考えてみるといろんなことが納得いく。


生まれてから魔力の同調がなかなか進まなかったこと。

好奇心旺盛だったこと。

異常にはやく言葉を覚えて、魔法も覚えたこと。


そして前の生活では両親がいなくてずっと孤独でいたこと。


ああ。

だからレオはなんでも一人で片付けようとしていたのね。

急にレオが大人になってしまったような気さえするけど、


「なるほど…分かったわ。でもレオは確かに私の愛しい息子よ。正直に話してくれてありがとう」


それでも大切な大切なかけがえのないレオ。

正直に話してくれてありがとう。


これからも母親をしっかり務めないとね。


番外編はこのような他者の心情描写を主に描く予定で、文章のスタイルも変えることにします。


見切り発車なので、何の前触れもなく変わるかもしれませんが(汗)

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