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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
2章 天才数学者、魔法学校に通う
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番外編7 お嬢様、駄菓子屋の少女と語りあう


Side シェーラ・キース


朝にレオと結婚について話したその日の午後。体育でカティアとペアを組み、練習中に怒られない程度に話していると、自然と朝にレオと話した結婚の話題になる。


「それでね、レオが『結婚相手を自分で選ぶのは常識なのか』なんて聞いてきたのよ。もう本当に分かってなさすぎて」


 私が火球を的に向かって打つ。ごお、と音が鳴る。


「あはは。レオらしいのです」


 カティアが火球を放つ。ぼふ、と音が鳴る。


「やっぱりレオは変わっているのよ。それで、カティアは結婚について考えている?」


 火球が的に当たり、弾ける。


「分からないのです。まだ先のことなのですし…」


 さっきより小さい火球が的に当たって消える。


 カティアはあまり自分に自信が持てないタイプだからか、魔法を撃つのにもあまり力が入っていないように見えるし、ちょっとしたことですぐ火球が小さくなりがちなのよね。あんなに可愛くて思いやりのある子なのに。いや、だからなのかしら。いい所でもあるけど、同時に悪い所でもあるわね。


「まあ、そうよね…まだ入学したばかりだしね」

「そうなのです」

「カティアのご両親はどうやってであったの?」

「うーん…聞いたことないのです」

「きっと参考になるんじゃない?」

「確かに。聞いてみるのです」

「カティアのご両親も平民?」

「そうなのです。二人とも隣の領の同じ地区で、結婚して王都にお店を構えたのです」

「へぇ。素敵ね」

「お母さんは、魔法学校の卒業までにいい人を捕まえなさいって言っていたのです」

「せっかく魔法学校に入れたんだから貴族の人と結ばれたいわよね」

「そうなのです。でも、カティアは知らない人に話しかけるのは苦手で…」

「そうなの?ユウ君ともすぐ仲良くなっていなかったっけ?」

「自分から話しかけるのは出来ないのです。シェーラかレオが一緒の時に話すくらいで、二人で話すことはないのです…」

「あら、そうなのね。でも、焦ることはないと思うわ。少しずつ話せるようになりましょ。カティアならできるわよ。私も応援するから」

「シェーラ、ありがとうなのです。カティア、頑張るのです」


 この日一番の火球が的を大きく揺らした。


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


 体育が終わり、教室に戻る時、向こうでレオとユウ君が仲良く話しているのが見える。あの二人はよく一緒にいるわね。どうやらまたレオがユウ君をいじっているようね。


「あっそうだ、シェーラはレオと交際してるのです?」

「うえっ、な、ななな何よ急に」


 カティアから思いもよらない単語が飛び出してきて、面食らってしまった。


「あれ、違うのです?毎日一緒に登下校しているから、てっきりそうだと思っていたのです。それに今もずーっとレオのことを見ていたのです」

「い、いや、私とレオの間にそういう関係はないわよ。私もレオも結婚願望が薄いし、同じ寮で同じクラスだからっていうだけよ」


 レオのことを見てたのではない。いじられて可愛いユウ君を見ていたのよ。ええ、そうよ。


「そうだったのですね」

「…どうして急にそんなことを聞くのよ?」

「カティア、今朝一人で教室に座っていたら、近くから聞こえてきたのです。『シェーラとレオは交際しているんじゃないか』『私達もレオとお近づきになりたいけど、あの天才コンビに割って入る隙間はない』とか」

「えええ!?私、周りからそんな風に思われているの?」

「カティアが聞いたその3人だけかもしれないのですけど」

「私とレオが交際しているように見える?」

「うーん…分からないのです。カティアは誰かと交際したことがないし、何をしたら交際なのか分からないのです」

「…それもそうね。そもそもどうしたら交際になるの?お友達とは何が違うの?」

「分からないのです。でも、少なくともシェーラとレオはとても仲良しなのです」

「確かにかなり仲良しね。でも、カティアもレオも同じくらい大切に思っているわ」


 そういってカティアの手をとって握る。カティアもすぐに握り返してくれる。


「ありがとうなのです」


 そもそも私は誰かを好きになったことはないし、恋愛感情がそもそもよく分からないわ。それに、誰かを好きになったところで、卒業したら知らない貴族に嫁がされるだけだから…


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


 魔法技術の授業。いつも通りレオの隣で授業を受ける。日に日に授業が加速している気がするフーコー先生の話に必死にくらいつきながら、先生が静かになった一瞬、ふと横を見てしまう。

 確かにレオはすごい人だけど、色々と決定的なところが欠けていたり、独特な考え方をするのよね。友達としてとても大切だとは思うけど、交際ってなると…

 そんなことを考えていると、こちらの視線に気づいたレオが振り向き、一瞬目があう。ずっと見ていたことを気づかれたのがなぜか恥ずかしくなって、視線から逃げるように前を向いてしまった。


「何かあったか?」

「いや、何でもないわよ。ほら、フーコー先生が話し始めるから」

「お、おう」


 あくまで落ち着いて、余裕を装って答える。

 なんでレオはいつも余裕そうなのよ。ずるいわ。



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