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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
2章 天才数学者、魔法学校に通う
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35 数学者、授業を受ける③


Side レオン・カール


 入学してから最初の土日休みが終わった。土曜日は勉強会をし、日曜日はずっと研究をし、非常に充実したと言える。理論上魔法陣につかう紙のサイズを最大で40%小さくできるはずだという研究成果を生み出すことができた。そしてまた月曜日、学校が始まる。

 マリーさんと食堂で朝食をとり、身支度をして学校へ向かう。今日もシェーラが一緒だ。朝は一緒に登校するのが決まりとなってきたな。


「土曜日の勉強会、楽しかったわね。またやりたいわ」

「そうだね。その時はカティアも一緒に」

「もちろんよ。あぁ、カティアにくずもちが気に入ってもらえて嬉しかったわ」

「カティアはよっぽど甘いものが好きみたいだからね。俺もくずもちは気に入ったよ」

「本当?キース領はいいものを作るでしょう?もっといろいろなお菓子があるのよ」

「へぇ。次の勉強会が楽しみだね」

「ええ。でも次の勉強会は私の部屋か分からないわね…セバスにどこまで隠し通せるか分からないし…」

「ああそっか。じゃあ俺の部屋とかになるかな。シェーラが部屋からお菓子を持って来て」

「うん、それができるならそれの方がありがたいわね」

「まあ、詳しいことはカティアと相談していくか」

「そうね」


 校門をくぐり、第一クラスの教室に入る。カティアとユウもいつの間にか話すようになっていたようで、四人で固まって座って話す。


ガララララ…


 ランプ先生がいつものように入ってくる。全員がそろっていることを目視で確認し、連絡事項を伝える。


「連絡は以上ね。今日から新しい週になって、勉強もどんどん本格的になっていくから、頑張るようにね。じゃあ最初は体育だから移動してちょうだい」


 うっ。前回の初回が地獄だったあの体育か。二回目以降はそこまで激しくないとは聞いているが、どうしても怖いな…。覚悟を決めてユウと更衣室に向かう。


「レオン君。お互い生き残ろうね…」

「あぁそうだな…死なないことを祈ろう…」

「あの先生、ガーフィー先生だっけ?絶対あの人ドSだよ…」

「うん。絶対そうだな」

「もしもの時はまた回復魔法お願いね?」

「分かった」


 時間になり、ガーフィー先生が現れる。練習メニューを書いたボードか何かを持っている。ガーフィー先生は俺たち生徒全員の目を見てから、ニカッと笑って話す。


「よーしお前ら!逃げずに授業に参加したことをまずは褒めてやるぞ!今日からはきちんと魔物と戦うための訓練が始まるから気を引き締めていけよ?じゃあ準備体操からだ」


 準備体操をして軽くグラウンドを走らされる。ここまでは普通の体育だな。本当に地獄のように厳しいのは初回だけのようだ。


「魔物と戦闘をするにあたり、基礎的な魔法が使いこなせる必要がある。特にこのクラスの人達はその種族において魔力量が多い人ばかりだ。それを生かした戦い方を身に着けるのが大切だ。

さあ、二人一組になってくれ。組になったやつからこっちに来てくれ」

「レオン君!一緒になろう!」

「そうだな。よろしく頼むよ」

「うん!先生のとこに行こう!ほら」


 ユウは俺の腕を引っ張って先生の元へ連れていこうとする。俺と一緒になれたのが嬉しいのかと思うとこちらも嬉しくなってくる。


「よーし、全員二人組になれたみたいだな。こっちの倉庫から一組一つずつ魔術的(まじゅつまと)をもっていってくれ」


 魔術的(まじゅつまと)とは、魔法の練習に用いる的のことであり、魔法を当てた時にその魔力で自己修復するように設計された、半永久的に使える魔道具である。設計したのは魔法技術のフーコー先生らしい。懐中時計を作ったりと、多才な人だな。


「この的なら魔法を打つのによい練習になる。必ず的に向かって魔法を撃つように。決して人に向けて撃たないないようにな!」


「レオン君は回復魔法が使えるけど、他はどう?」

「基本的に全属性いけるらしいぞ。鑑定雲は白だったし」

「ええっすごいよ!確か10万人に1人くらいじゃなかったっけ?」

「そうなんだ。まあまあいるんだ」

「いやいやいや、すごく珍しいんだよ」

「そうか。ユウは?」

「この後だと言いにくいけど…ボクは火水風と召喚の4つだよ。これでも多い方なんだけどね…」

「どれくらい珍しいんだ?」

「小人族だと召喚魔法が使えるのはボクだけだね…まだ召喚魔法を成功させたことはないけどね」

「へー。そもそも召喚魔法ってどういう魔法なんだ?」

「魔物と意思疎通ができるとか、友達になれるとか聞くけど…詳しいことは分からないんだ。召喚魔法が使えるっていうのも、入試で初めて知ったし…」


「さぁ、おしゃべりはそろそろ終わりにしろ!それぞれ的に向かって魔法の練習をするぞ!まずはファイアから!」


 ユウと交互に魔法を撃つ練習を積んだ。だんだん楽しくなってきて、ばれない程度に全力でやったが的は全く壊れなかった。なかなか面白い魔道具だなと感心した。


「この魔道具、壊せないかね?」

「えっ…レオン君、危ないことはしないでよ?」

「魔術的の挙動を見る限り、ぶつけた魔法から自己修復の魔力を取り出すのが追い付かないくらい高密度の魔法をぶつければ…あるいは…」

「なにぶつぶつ言ってるの?変なことしないでよ?」

「ファイアを収束させて熱線として放射し続ければ…」

「わわわ!ファイアでこんなに熱くなるの!こんなに離れているボクでも熱を感じるよ!」


 勢いが強すぎるあまり白く輝く熱線を浴びせ続ける。感触的にはこれくらいの密度を十分当てれば…


バコン!


 やがて浴びせた魔法の魔力変換が追い付かなくなった的が壊れる。


「うそ…」


 ユウが信じられないような目で真っ二つに割れた的の残骸を見る。


「いけたな」

「いやいやいや何普通に『いけたな』なんて言ってるの?レオン君!?」



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