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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
2章 天才数学者、魔法学校に通う
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24 数学者、寮生活を始める②


・食文化について その1


 ガイアでの食材のうち、地球と比べ最も特異なものは魔物の肉である。討伐局によって討伐された魔物は、魔石などの素材を採取されたのちに、可食部が卸される。高級食材となりうるのは討伐が難しい魔物や、生息数が少ないが非常に美味な魔物などが該当する。


―大神学 (カール・レオン)『地球とは異なる異世界について』p.18


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


Side レオン・カール


 翌朝、激痛で目が覚める。少しでも手足を動かすだけで刺すような痛みが走る。痛みに耐えながら寝返りを打っているとマリーさんが入ってくる。


「失礼します…あら、レオさま、既にお目覚めになられていたのですね」

「…マリーさん、おはよう…」

「おはようございます。いかがなさいましたか?」

「全身筋肉痛…」

「昨日の体育でございますね。私が体をほぐして差し上げましょうか?」

「うん、頼むよ…」

「かしこまりました。そのまま横になられていてください。…失礼します」

「んんっ…いてっ…」

「レオさま…ご辛抱ください…」

「…痛い痛い、そこ痛い痛い!」

「ああっ申し訳ありません」



「うん、かなり引いてきたよ。ありがとう。もういいよ」

「…かしこまりました」

「よいしょ、うん、もう歩けるね」

「お役に立てて光栄です」


 5分ほど手足を中心にマッサージしてもらい、かなり良くなってきた。マリーさんも少し疲れているようだから切り上げてもらった。さて、そろそろ7時だし食堂で朝ごはんを食べようか。


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


Side マリー


 昨晩の食事会は大変有意義なものでした。レオさまのお隣でワイバーンのから揚げをいただけたことが最上の幸せでした。他のメイドと情報交換が出来ましたし、寮での生活は穏やかで素敵なものになりそうです。

 さて、今朝レオさまを起こそうと部屋に入りますと、珍しく既にお目覚めになられていました。しかしひどい筋肉痛がするということで、私は考えるまでもなくマッサージを申し出ました。今考えますとややはしたないと思うのですが、即答で頼まれましたので、マッサージを始めました。

 手足を念入りにもみほぐして差し上げますと、役に立てているということを実感してとても幸せな気分になります。メイドは私の天職なのだと再認識しました。

 とても痛む箇所を強くもんでしまったのか、レオさまがたまに声を荒げるときがあるのですが、どうしてでしょう、申し訳ないという気持ちもあるのですが、それとは明らかに違う、しかしうまく言い表すことが出来ない心のざわつきを覚えます。このざわつきが何なのか、知ってはいけないよな、知りたいような、そんな気がして、ついついレオさまが痛がる部位を、故意だとばれないように何度か触ってしまいます。そのたびに心がざわついて、全身を鳥肌が走ります。これは…


「うん、かなり引いてきたよ。ありがとう。もういいよ」

「…かしこまりました」

「よいしょ、うん、もう歩けるね」

「お役に立てて光栄です」


 レオさまに触れているだけでも幸せだったのですが、この時間が終わりになってしまいました。またこのような時間が訪れますよう願いつつ、この手に残るぬくもりを大事に、無くさないように、こっそり両手を頬に当てました。


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


Side レオン・カール


 昨晩の料理に続き、朝食もとても美味だった。見てもどんな食材かあまり分からなかったし、そこまで興味なかったので聞いたりはしなかったが、通学中にシェーラがわざわざ教えてくれた。


「ねぇレオ、私たちの寮のごはん、とてもレベル高くない?」

「そうだね。すごいおいしかった」

「今日の朝食だって、天鶏の卵焼きよ?」

「ん?なんて鶏?」

「て・ん・け・い。知らないの?『ドラゴンと3人の騎士』にも出てくるじゃない」

「童話は全く知らないってば」

「あら、そうだったわね。天鶏は高級鶏よ。多分食堂で私とセバスしか気づいていなかったんじゃないかしら」

「ふーん」

「あまり興味ないの?」

「算術と魔術に関係ないからね」

「全く…そういえばさっきからずっと動きが変だけど、どうしたの?」

「昨日の体育の筋肉痛がひどいんだよ」

「あら、それは大変ね。そういえば昨日あんなに辛そうだったものね。大丈夫?」

「歩く分には問題ないけど、あまり大丈夫じゃない」

「すぐよくなるといいわね…あ、たしかここで曲がるのよね」

「うん、そうだね」

「私だって少しは覚えているんだから」


 シェーラはいろいろ話ながらも、しっかり道を覚えようとはしているようだ。


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