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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
2章 天才数学者、魔法学校に通う
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23 数学者、寮生活を始める①


・姓名について その2


 ザビンツ国建国と同時に、初代国王のお触れにより全ての国民が姓名を持つことになった。ほとんどの国民は自分の姓を、当時使われていた言語で縁起の良い言葉や、住まいの場所を表す言葉などからとってつけたとされる。

 ガイアにおける新生児の命名は先代の名前から文字を借りるのが一般的である。


―大神学 (カール・レオン)『地球とは異なる異世界について』p.16


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


Side レオン・カール


「おかえりなさいませ、レオさま」

「うん、ただいま…って、寮の部屋が朝見た時と全く違う!?」

「はい。私なりに考えまして、レオさまが研究されやすいように模様替えをさせていただきました」

「おぉ、嬉しい」

「案内します。こちらへ」


 尻尾をゆらゆらさせながら先導するマリーさんについていく。尻尾の毛並みが美しい。


「こちらのスペースは研究されるときにお使いください。これまでの研究内容はこの棚に保管しております」

「へぇ、すごい」


 マリーさんが『いい仕事をした』と言わんばかりの表情をしているので、研究内容が分野関係なくバラバラに並んでいることは指摘しないでおこう。日付順に並べてあるようだから、マリーさんなりに考えて並べたのが分かる。まあ日本語も数式もほとんど読めないから仕方ない。後でこっそり直しておくか。


「戻りまして、玄関からすぐのこの部屋は応接間です。お客様をお招きする場合はこの部屋で応対します」

「応接間ね。屋敷にもあったけどあまりなじみがないんだよねぇ」

「向こうがキッチン、その隣が浴室、そしてトイレです」

「そっちは使う時に確認すればいいや。マリーさんありがと。さっそく研究スペースで研究してみるよ」

「かしこまりました。お茶をお入れしますね」


 マリーさんがキッチンに向かう。食堂があるのにどうしてキッチンがあるのかと思ったけど、こういう場面のためにあるのか。




 研究しているとマリーさんがやってきて、食堂で顔合わせが始まると教えてくれた。管理人さんから寮のルールに関する説明もされるとのことなので、すぐに準備をして食堂に向かう。


 寮の顔合わせは全員が軽く自己紹介をするだけですぐ終わった。シェーラ以外に男女三人ずつ入寮者がいたが、全員自分とはクラスが違ったため、これからもあまり交流することは少なそうだ。また、付き人を従えていたので、全員それなりの身分であると思われる。

 そのまま管理人さんからの説明が始まる。従者がいるからといって生徒本人がおろそかにしないように、という前置きをして、いくつか話を始める。


「…次にこの食堂ね。朝は7時から8時半、夜は19時から20時半まで空いているから、この間の好きなタイミングで来てくださいね。こっちに鍋やパンのバスケットをこんな風に置いておくから、各自でよそって食べてください。あ、そうそう、従者さんもこの時間にここで食べてください」


 これには各従者が少し動揺を見せる。このルールだと生徒とメイドが横に並んで一緒に食べることになるだろうが、やはり通常ありえないことである。まあうちのマリーさんはホテルで一度一緒に食べているし、大丈夫だろう。


「最後に、みんな仲良く、喧嘩しないことね。昔大喧嘩が起きたときに魔法を放って建物の壁に大きな穴をあけた人が他の寮でいたらしいんだよね。まあ、この寮はみんないい人だと聞いているから、大丈夫だと思っているけどね」


 喧嘩で魔法を使うとは…使う魔法によっては簡単に死人が出てしまうのではないか? 


「じゃあ管理人の私からの説明は以上。今日は初日ということで、いつもより豪華なメニューを用意したから、みんなで一緒に食べましょう。さ、従者のみなさんも席に座ってくださいね」


 管理人さんがうきうきで奥の調理場に消える。唐突に座るよう言われた従者たちが戸惑いを見せ、騒がしくなる。


「じゃあマリーさん隣ね」

「いえ、レオさまの隣はさすがに恐れ多いですが…」

「まあいいから。座って」

「…はい」


 こういう時は半ば強引にお願いしないと進まないということは少しずつ学んだ。たぶんメイドは形式的に一度は断らないといけない、という決まりがあるんじゃないかと勝手に推測している。

 俺が当たり前のようにマリーさんを隣に座らせたのを見て、他の従者もぽつぽつと座りだした。そこに管理人さんが料理を運んでくる。


「おや、今年は皆さんお座りになるのが早いですね。素晴らしいです。従者だからといってぞんざいな扱いをしてしまう人がいなくて安心しました。

さあ、この寮では毎年最初にこれを食べるのがお決まりなんです!ワイバーンのから揚げ!」

「「「おぉ…」」」


 黄金に輝くから揚げを前に、誰もが目を奪われた。周りの反応を見るにかなりのごちそうらしい。ワイバーンの肉が食べられるなんて、と夢見心地な従者もいる。俺はホテルで一度ワイバーンを食べたが、から揚げとして食べるのは初めてだ。

 料理はとても家庭的でおいしかった。従者含めて20人近くの食事会となったが、世間話やお互いの情報交換などもありつつ、楽しい時間となった。管理人さんもみんながおいしそうに食べるのを見てにこにこしていた。





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