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命題:数学者は異世界で生き残れるのか?  作者: kmath
2章 天才数学者、魔法学校に通う
11/168

10 数学者、高級宿を満喫する


・ガイアの気候、農作物について


 ガイアの気候の特徴は日本の気候と類似しており、四季が存在し、夏は湿潤し、冬は乾燥する。しかし年間雨量は約600mmと、日本に比べて少なく、また一年を通して気温の変動はあまりないので、比較的快適な気候と言える。

 ガイアでは小麦が主食として広く育てられている。農耕具は(すき)(くわ)など、地球とほぼ同じものが存在するが、先端に金属または魔物の素材、またはそれらを組み合わせた素材が用いられているなど、ガイア独自の発展がみられる。


―大神学 (カール・レオン)『地球とは異なる異世界について』p.8


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


Side レオン・カール 10歳


 

「えぇ~何この豪華な部屋!!」

「素晴らしいお部屋ですね」

「見てくださいよマリーさん!このソファ、イギリス王室とかにあるやつですよこれ!…え!このシャンデリアも宝石…いや魔石の数すごいですよ!」

「ふふ。『いぎりすおうしつ』が何かは分かりませんが、レオさまがここまではしゃぐ姿、実験以外で久々に見ました」

「いやー、さすがに地球でもここまで豪華な部屋は億万長者でないと泊まれませんからね…ベッドでかっ」

「これはクイーンサイズのベッドですね」

「どの向きで寝転んでもいけますよこれ、いやーこんな贅沢な部屋、地球にいるころからの夢の一つでした」


 地球でも最高級ホテルと呼ばれるであろう豪華な室内に年甲斐もなくはしゃいでしまった。いや、今は10歳だから年甲斐ではないのか?ん?前世は17歳と同時に死んだから合計して27歳扱いなのか?


「レオさま、急にベッドの目の前で立ち止まって、どうされましたか」

「いや…マリーさん、私は何歳なんでしょうか」

「それは当然10歳なのでは?」

「この肉体の年齢は10歳でしょうが、精神年齢は違うんじゃないかと」

「精神年齢とはなんでしょうか」

「ええと…私は地球で17歳まで生きていて、その記憶を引き継いで生まれたので、体は10歳でも、10歳以上のことを考えることができるじゃないですか」

「はい。レオさまが天才と呼ばれる所以でございます」

「いや、自分では天才だとは思ってないんですけど。まあ置いといて、その…思考レベル、知能の発達具合と言えばいいのでしょうか。これは何歳相当と考えればよいのか、と思いまして」

「難しい質問ですね…単純に合計して27歳相当とするのは少し違う気がします、かといってガイアに合わせて10歳とするのも…ガイアと地球で高い方にそろえて、17歳相当とするのが良さそうですが…どうでしょうか」


 マリーさんが耳をペタンと倒すのを見て、いきなりこんな問答をやりだしたら迷惑か、と気づいた。地球でもいきなり立ち止まって思考の海に潜ることはよくあったが、あれは一人暮らしだから許されていたんだな。


「すみませんマリーさん、突拍子もなく変な質問をしてしまって」

「いえ、構いませんよ。これまでも何度かこのようなことがありましたが、そのたびに新しい見方、考え方に触れることができてうれしく思います」

「お世辞でもうれしいです。マリーさんはけっこう知識欲ありますよね」

「はい。ですからレオさまの実験もいつも楽しんでおります」

「いつもありがとうございます。これからもお手伝いお願いしますね」

「はい。このマリーにお任せください」


 そう答えるマリーさんの耳はピンと立ち、目は心なしか輝いていた。本当に好きなんだな、この人も。


―∽―∽―∽―∽―∽―∽―∽―


 夕食の時間になり、従業員が部屋のドア前まで料理をワゴンで運んでくれた。それをマリーさんが受け取り、机に並べていく。並び終わるのを待ってから、口を開く。


「せっかくだからマリーさんも一緒にどうですか」

「いえ、わたくしはメイドですから。主人と同じテーブルにつくわけにはいきません」

「まあまあ、今日ぐらいはいいでしょう。誰も咎めませんし、マリーさんにも楽しんでもらいたいんですよ」

「そこまでおっしゃるのならば断る方が失礼ですね。では恐れながら同席させていただきます」

「はい。おいしいごはんは一緒に食べた方がよりおいしいですからね」



「そういえば、あの屋敷のメイドさんたちはいつご飯を食べているんですか?」

「レオさま方がお召し上がりになった後で、メイドや料理人で集まっていただきます」

「そうでしたか。言われてみれば調理場の鍋はやたら大きかったですし、あれで全員の分を一度に作っていたのですね」

「その通りです。私たちも同じ料理をいただいているのですよ」

「そうだったのですね。…あ、これおいしい」

「むぐむぐ…ごくん。それはワイバーンのソテーでございます」

「あはは。そんなに焦って説明しなくてもいいですよ。今はメイドをせずにいいですから」

「そうでしたか。ありがとうございます」

「ワイバーンの肉、初めてだな。うまい」

「ワイバーンは狩猟が難しく、市場にあまり出回らない高級肉とされています」


 いままで気にしなかったが、異世界には異世界の食肉があるのだな。異世界ではどんな生物の肉がうまいとされているのだろうか。


 おいしいごはんを普段決して一緒になれないマリーさんと食べられて満足した。ちょっとだけ昨日までやっていた研究の続きをやって、そのあと明日の入試勉強をして、寝よう。

 夕食の後片付けは屋敷にいたころと同様マリーさんがしてくれるそうなのでお願いして、自分は寝室に移動して、ベッドの脇に置いてある小さな丸テーブルに持ってきた計算用紙を広げ、数の世界への旅を始めた。



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