2話
アイツは、ある日突然やってきた。
キーンコーンカーンコーン。
朝のHRを告げるチャイム。
ざわつく教室で、ぐったり疲れた少女が1人。目元には・・・隈。
「空ーどうしたのー珍しく元気ないけど。」
「美樹ー!!聞いてよ!岡田っちのヤツ、『俺に勝ったら補習ナシ』とかいってたくせに負けたらいきなり『やっぱ補習アリ』とか言いやがった!補習の残った分宿題になったし・・・もうサイアク!」
「まーまー・・・岡田っちも悔しかったんじゃないの?ちっちゃい頃から野球やってたって言ってたし・・・」
「マジありえないしーーー!」
「ちょっと・・・空ー。聞いてる?」
「岡田っちのばーーーーーーーか!意地悪!鬼!ハゲーーーっ!」
「馬鹿っ!そんなに叫んだら聴こえるよ!・・・しかも岡田っちハゲてないし・・・。」
「いーの!細かいことは!でも・・・今日は岡田っち遅いなー・・・いつもはチャイムと同時に『ハイ着席ー!』ってはいってくるのに・・・ショックで泣い」
言い終わらないうちにガラガラと教室のドアが開く。
「潮峰。」
・・・・・・・・・。
クラス全員が静まり返る。
一人固まる、空。
「後で職員室来い。」
「・・・・・ハイ。」
「さ、話を変えよう!今日はいい報告がある。編入生だ!」
一気に賑わう教室。
「空ー。編入生だって。珍しいねー。」
「・・・・もうほっといて・・・。」
空を置き去りにして、教室という世界は廻る。
「それじゃあ編入生、入っていいぞー」
ガラガラーーーー。
・・・・・・・・。
再び静かになる教室。
そして、
再び固まる・・・空。
「・・・編入生の御空 晴季です。ハルでいいです!ヨロシク!」
再び、どっと賑わう教室。
理由は簡単。
さらさらの髪。すっきりした目鼻立ち。人懐っこい笑顔。
編入生がかなりの美形だったから。
浮つく女子と動揺する男子。
そして・・・ひどく驚いたような、戸惑ったような、泣きそうな空。
・・・理由は簡単。
編入生が、あまりにも『彼』に似ていたから。
その日から、全てが動きはじめた。
ぽかぽか、笑う太陽はただ、彼女達を見てるだけ・・・。