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VRMMOの管理人  作者: 総督琉
第2章 《千年龍の巣》編
15/17

第15話 千年龍は空に吠える

《千年龍の巣》に飛び込んだ俺達は頭上を見上げる。


「思った以上に深いよ」

「思った以上に怖いよ」


雌々(めめ)妹々(せせ)は抱き合って震えていた。


「フレイヤ、灯りを頼む」

「了解です」


フレイヤが灯りを灯すと雌々と妹々は態度を切り替え、先頭に立つ。


「気を付けろよ。ここはトラップだらけのダンジョンだから」

「黙れ、コミ症」

「黙れ、ニート」


ウザいな、コイツら。


「なあ、フレイヤ。潰していいか。コイツら」

「何とも言えませんね……」


というか確かここは、上から火が降ってくるトラップが有った気が……。


「「あああーー」」

「ウォーターポンプ」


俺は黒焦げの雌々と妹々に水を掛け、救ってあげる。


「「もっと速く助けろ」」

「トラップに掛かる方が悪いんだろ」


「前歩け」

「モブ」

「ニート」

「無職」

「Youtuber」

「最後の止めてあげて」


渋々俺達は前を歩くことになった。だが俺はトラップの位置が分かっている。そんな俺を前にした後悔を味あわせてやる。


ここは後ろから岩が振るトラップ。

「「ギャー」」


ここは手を繋いでいるプレイヤーに強力な静電気を発生させるトラップ。

「「ギャー」」


ここは職業がアサシンのプレイヤーを凍らせるトラップ。ちなみに俺の職業は管理人でフレイヤは魔女。雌々と妹々はアサシン。つまり……

「「ギャー」」


「なんかさっきから私達だけトラップ受けてるんだけど…」

「偶然だな」

「あんた管理人なんだから知ってるでしょ」

「それよりも着いたぞ。千年龍の部屋」

「無視すんな」


千年龍の部屋は一面穴だらけでどこから千年龍が出てくるか分からない。それにここまで辿り着けたのはトラップに掛かる数を減らした俺の策略があってのお陰だ。


だからこそ後ろの二人が心配なんだ。対龍スキルを持っているからといって千年龍に効くほどの力かどうかは分からない。


「ヴォオオオオ」


鳴り響く龍の鳴き声。


「来るぞ、千年龍が」

「雌々」


後ろを振り返ると雌々が千年龍に咥えられ空に翔んでいった。


「翼龍召喚」


俺は翼龍という素早さは千年龍より速い龍を召喚する。フレイヤと妹々を乗せ千年龍を追いかける。


「翔べ、翼龍」

「ヲオオオ」


翼龍は千年龍を追い掛ける。だが千年龍もそこそこに速い。


「雌々は…どうなるの?」

「安心しろ。すぐに追い付く」

「無理よ。私達のHPはもうほんの少ししかない」

「嘘だ。あの時HPは満タンだっただろ」


確かに千年龍の部屋に入ってきた時は雌々のHPは満タンだった。俺はこの目で見た。だから間違いない。


「あれは見栄を張るための雌々のスキル。だから少しでも攻撃を受ければ雌々は……」

「……」


俺は言葉を失う。


「千年龍の所にワープすればいいだけの話じゃない。何でそれをしないの。また私達で遊んでるの。私達はさっきあんな態度とったから。だから助けてくれないの」

「そんな事無い。助けたいと思ってる」

「じゃあ助けて見せなさいよ。その力で……」


こんなに泣き叫ぶ妹々を見れるなんて思いもしなかった。見たくなかった妹々の涙。助けたい。だけどワープして刺激すれば千年龍は雌々を喰らう。それに管理人スキルはもう使えない。だから無理なんだ。もう……


「私に提案があります」


フレイヤは口を開く。だがこの状態をどうにかする策は無い。


「無理だフレイヤ。もうどうにもならない」

「あなたがそんな弱気でどうするんですか。それでも管理人何ですか。それでも私のヒーロー何ですか。そんなヒーロー、私は願い下げです。でもあなたが諦めないって言うのなら私達は戦う。だから諦めないでください」


そんな事言われたって……


「失敗したっていいじゃないですか。諦めてなにもしないよりは。私はあなたを信じているんですよ、アズサワ。だから諦めるなんて言わないで」


失敗したっていい。それでいい。


「やってやるよ、フレイヤ。策を教えてくれ」


待ってろ、雌々……

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