第13話 万の龍
生き残った100名のプレイヤー。今は100名。だが今後、生きている者達全てを仲間に付けなければ。
「これからよろしく。プレイヤー諸君」
「救ってくれて助かったよ」
「俺もありがとう」
これで夜は安心。
「もう夜が来るから早速決める。見張り、やってくれる人、手を挙げて」
一瞬でシーンとなる。こんなにも恩知らずだとは思わなかった。救った意味は無かったな。
「俺がやる。皆疲れてるから休ませてあげてくれ」
「任せた。名は?」
「石田」
「よろしくな。石田」
そして日が暮れ、辺りが暗くなり、夜が来る。今日がVR統一から始めての夜。何か尊く感じた。
「静かだ」
「それが一番ですよ。アズサワさん」
「心配になっちゃうよ」
「落ち着いて下さい」
ドシンドシン
地鳴りが起きているのだろうか。何にしろ危険であることに間違いはない。
俺達は首里城を出て外の様子を確認する。
首里城の周囲を何万という龍が囲んでいた。
「アズサワ」
「今の俺は強制消滅の使用が出来ない。すまない………本当にすまない」
俺の管理人スキルがあれば、あいつを、あいつらを、一瞬で倒せた。あの魔術師のせいだ。本当に情けない。管理人失格だ。
「アズサワ、落ち着いて。あなたはそんなに小さい男だったの。違うでしょ。あなたは絶望した世界から私を救い出してくれた。本当に死ぬと思った。けどあなたがいたから……あなたが助けてくれたから……」
「フレイヤ……」
「戦いましょう。私達はもう負けない。世界の元凶を倒し私達が世界を創り変える」
「フレイヤ。いくぞ」
「そんなに泣いてちゃ戦えないでしょ」
「バーか。俺は世界一強い管理人だぞ。あんな奴ら俺がぼこぼこにしてやるよ」
見とけ、フレイヤ。俺がお前にかっこいい姿見せてやるから。俺の体を預けたぞ。
「獅子を喰らい、鬼を撃て。我が手に光は明るい未来。唸れ、雷。千戦雷槍」
龍の軍団目掛けて雷の槍が降り掛かる。だが消えたのはせいぜい50や60。こんなんじゃ1万の龍に勝てるか……
「石となれ」
一匹の龍が石になる。後ろを見ると石田がいた。
「すみません。やはり一人では限度がありました」
「安心しろ。俺が一匹残らず討伐してやる」
「頑張ってくださいね。管理人」
「お前、さっきの話……」
「速く行ってこい。速くいって速く倒してこい」
「任せとけ」
ただのプレイヤーにしてはよく言うじゃないか。相変わらず最近のプレイヤーというものは、
「いくぞ、フレイヤ」
「ファふーん」
昼間に張ったシールドもいつの間にか消えている!なかなかに強いようだな。魔術師め。
俺は管理人スキル以外は多分全て使える。だがプレイヤースキルはあまり記憶に無い。最強のはずなのに最強になれない。だがここで勝たないと、この世界で生きる価値は無い。
「今、俺の全てを賭けて」
「今、私の全てを賭けて」
「全てを守る」