第12話 琉球王国
魔術師がアズサワ目掛けて襲ってくる。
「赤い流れ星」
大きな火の玉が目にも止まらぬ速さで魔術師に命中する。
「大丈夫?」
「助かったよ。フレイヤ」
フレイヤのおかげで魔術師の攻撃を当たらずに済んだ。当たっていたら死んでいたかもしれない。
「君達とは今戦っても得は無いしね。むしろクライアントに怒られちゃうから。バイバイ。また会おうね」
魔術師は消える。
「今は帰りましょう。きっとカミシマさんが多くのプレイヤーを集めてくれたはずです」
「確かにそうだ。今は体制を整えなければ」
俺達はワープし首里城に着く。
やがて二時間が経つ。カミシマがプレイヤーを引き連れて戻ってきた。
「見ろ、このプレイヤーの数を」
「ってかたったの二人じゃんか」
しかもどちらも女性プレイヤー。たったの二人に二時間掛かるって事は……
「ナンパか」
「ギクッ」
何してんだ。こんな忙しい時に。今は一人でも多くのプレイヤーが必要なんだ。そうしなければ未知なる敵に備えることが出来ない。それを一番知ってるのはカミシマ自身のはずだ。
「とりあえず君達二人のレベルや名前などを教えてくれ」
「私は雌々」
「私は妹々」
「よろしく。俺はアズサワだ」
「「よろしくお願いします。アズサワさん」」
二人共礼儀正しい。これからも上手くやってけそうだ。でも見た目は幼稚だが何歳なんだ。
「アズサワさん、実は………」
「どうした?」
カミシマの背後を見ると、まだ幼い子供達が大勢いた。十や二十どころじゃない。60人はいる。全員プレイヤーでは無さそうだ。カミシマの子供に対する感情が分かってきた気がする。
「勿論助けるに決まってるだろ。子供達にはまだ未来がある。子供達に世界を託す。俺達が変えた世界を託す。」
「だったらもっと集めないとな」
出来ればプレイヤーを集めて欲しいのだが………
「次は何をするの?」
「フレイヤには子供達の面倒を見て欲しい」
「カミシマは俺とプレイヤーを集める」
「管理人ならプレイヤーマップくらい有るだろ」
「魔術師との戦い以来使えなくなった。プレイヤーマップだけじゃなく、他にも多くの能力が封じられた」
「それはすまなかった」
とにかくプレイヤーが集まっていれば良いのだが、なかなかそういう所は無いだろう。プレイヤーは全員混乱してるだろうし。
「とにかく探すぞ」
「人が集まりそうな場所は……」
「「首里城!!」」
「ここで待ってればすぐ来るだろ」
「良い意見だ。カミシマ」
日が落ち始める。それに合わせてプレイヤーが続々と首里城に向かってくる。予想道り……だが死んでしまった者が多くいるのか、100名程しか来ない。それに多くの者が絶望の表情を浮かべている。
俺は首里城に向かってくる絶望しきったプレイヤー達に呼び掛ける。
「皆、よく聞けお前達。今から我々は……"国を創る"。」
プレイヤーの歓声が琉球王国全体に響き渡る。