巫女さんの事情(下)
「まぁそんな訳で、こちらの神様とお話したあと、身体を造って貰ってここにいます。実年齢は16歳ですけど、魂の兼ね合いもあって、12、3歳位の身体に成ってますから、こちらでは13歳ですかね?」
「う、うん…16は無理があると思う…」
まぁ身体的にはむしろ新品ピカピカ、ゼロ歳だけど。
あ、そうだ。
「それで、聖さんがフォローの必要がない、と判断した段階で、私は少々眠らなきゃいけません。…ちょっと身体が合わなかったらしくて」
「え?」
うん、本当なら同郷として一緒に居てあげたいのは山々なんだけど、魂と身体が思った以上に馴染んでないんだよなぁ
「かんなちゃん、身体は大丈夫なの…?今も辛いの…?」
「あぁいえ、今は力を使いにくい位なんですが…後々困るそうなので。聖さんを遺して眠るのは心苦しいんですが…」
ここで私の心配をするとか、聖女サマだなぁって思うよね。
「ううん、かんなちゃんの身体のが大事だもん。私には彼…アレクもいるから。」
「…お任せ下さい、巫女様」
おーおー、見つめ合っちゃって、お熱い事で。
「それに、起きたらまた会えるでしょう?それまでに色んなお話を集めておくね!」
「あー…ええと、多分それは無理…ですかねぇ…?」
「え…」
いやぁ、起きるのって、多分、聖さんが思う以上に先だと思うし。
「私が眠るのは、多分…最低でも100年とか…長ければ1000年なので…」
「せんねん!?」
せんねん。うん、長ければ。
流石に生きてないよ…ないよね?こっちって長命種も居るはずだけど…
「確かに、それでは再び言葉を交わす事は難しいでしょう…眠られている間はどうなさるおつもりですか…?」
うん、流石にね。
眠りの間は、神様が護ってくれるらしいから…この湖が1番かなぁ?
「出来れば、この湖に沈んでいようかなぁ、と?」
「神の泉に沈む…んですか…」
「…ふやけない?」
王子様は普通に驚いてるけど、聖さん、気にするのはそこなんだ…?
「聖さん、それより呼吸の問題からツッコミません?」
「いや、その辺はなんか不思議パワーかなって…」
「…それよりも神の泉は神域だって事に気付いて欲しいんだが…」
いや、だって神様が護ってくれますし。神域のが護りやすいかなって。
「聖さんは正解ですね。…神様が護って下さるらしいので、私としては神域のが良いかなぁと思ったんですけど…やっぱり宗教的に不味いですかね?」
「いえ…神々の思し召しでしたら我々人が口を出すことでないので…」
なら別にいっかな。神域なら保護もいらないし。場所の確保完了ー♪
「…さっき、別に困ってない、って言っちゃったけど…かんなちゃんはすぐに眠っちゃう…?」
ああ、せっかく同郷の者が居るのに、すぐに離別は寂しいよね。
…聖さん、色々あったらしいし、まだ19だもんねぇ
「そうですね…こちらの常識等も知りたいですし、半年程は起きててようと思います。」
「!やった!お話したい事が沢山あるの!!」
「ふふ、はい、聞かせて下さい。それでちょっとご相談なんですが…」
そりゃあ、突然異世界に来たんだから、色々話したいよねぇ。常識も違うだろうし、やっぱり共通の認識があるのと無いのとじゃ違うもん。
「なんでしょう?」
「…住む場所とか、お金とか…援助していただけません?」
いや、ここに居ればその辺は心配ないんだけどね?
…文化的な生活、したい。