とある旅路 王都への旅立ち編2
ただ今ここまで編集済みです!
一日中歩いてやっと村に着いた頃には、とっくに日が落ちていた。リーリ村。ここは魔王城から一番近い村であり、高ランク冒険者たちの休憩地点として栄えている村だった。
魔王城からとてつもなく近いということもあり、凶悪な魔物が数多くいたため、村の周囲は鉄の壁で覆われている。僕も一度ここに来たが、この壁の何者をも通さない、まさに鉄壁を見ると2回目だとしてもすくんでしまう。
「魔王様、着きましたよ。リーリ村です」
「んぅぅぅ……もうついたぁ...…?」
あ、寝てたのか。だから暴れたりしなかったのか。ひたすら無心で肩車をしながら歩き続けた僕はすでになんらかの悟りを開いているようであった。
「早くご飯食べに行きましょう」
まだ眠たげな魔王様を下ろし、手を繋いで、壁の中へと入っていった。
「なあなあ勇者、誰かに見られてる気がするんだけど。気のせいか?」
壁に入る途中、魔王様が小さな声で呟いた。あたりを警戒しているようだ。こんなに真剣な顔をした魔王様は僕が城に乗り込んだ時以来だ。きっと嫌な気でも察知したのだろう。
「僕は何も感じませんし、周りにも誰もいませんよ。きっとまだ寝ぼけてるんですよ、ほらご飯食べにいきますよ」
もちろん僕も警戒してはいた。だが、魔王様のいう誰かに見られている気というのは分からなかった。僕も魔王様もお腹が鳴っている。
ここにくるまでほとんど飲まず食わずだったから当たり前と言えばそうなのだが。顔を赤くしている魔王は首を傾げながら、勇者とともに壁の中へと入っていった。