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プロローグ


初めて、沙条メロ♪と申します!

ダークな感じの作品を書いてみたいと思い見切り発車で投稿しました。


宜しくお願いします。

 

「うふふふふふ……!あっはははははぁぁ!」


 丘の上からそう高らかに笑いを上げる少女が見える。

 真っ黒なローブで全身を纏い、顔まですっぽりと隠れてしまっている。顔は見えないが、火の明かりで照らされたシルエットは、ローブを纏っているとはいえ非常に綺麗なプロポーションだという事がわかった。


 そして、どうやら目下の出来事が彼女の琴線に触れたらしくそれはそれは機嫌が良さそうに見える。


「血の匂い、人々の逃げ惑う声、生き物が潰れる瞬間の音、何もかもが画面の向こうじゃなくて、現実(リアル)なんだ……!」


 頬を赤らめて何やら興奮している様子のローブの女。


 そんな見た目麗しいだろう女が不気味な笑い声を上げるそのすぐ後ろに控える、小汚い1枚の布を羽織っただけの貧相な少女がそんな彼女を信じられないものを見るような目で見ている。


 そんな対照的な少女2人の反応。

 丘の下で何があったのかというと……。


 そこには地獄があった。


 大量の魔物(モンスター)が小さな町へ波のように押し寄せている。木で作られた塀はあっけなく壊され、町の中へ一気に魔物

 がなだれ込む。


「うわあぁっ!? いきなり魔物が!!」

「きゃあああぁぁぁぁっ!!!」

「に、逃げろおおおっ!」


 ゴブリン、オーク、トロール、果てはオーガまで様々な魔物が徒党を組んで町の中を蹂躙する。


 予想もしない奇襲によって人々は大パニックに陥り、誰もが皆我先にと逃げ出す。女子供や老人は置いていかれ、次々と魔物に殺されていく。


 ゴブリンは集団で人を囲み、手に持った石の斧で体に叩きつけている。


 オークは若い女を執拗に狙い、捕まえた途端に組み伏せて嬲る。


 トロールは巨大な手で逃げ遅れた人間を掴みあげ、そのまま握り潰す。


 オーガは手に持った血塗られた金棒を振り回しながら、逃げ惑う人を追いかけいる。


「た、助けオブぅッ!?」

「がはっ……」


 そして僅かにこの町にいた冒険者たちが抵抗をするが、小規模な町の為に人数は10人もおらず、1人また1人と倒れていった。


「も、もう魔力が……」

「俺が時間を稼ぐ! その間にポーションを飲め!」

「わかった、お願い……ってグフッ」

「メリル! メリーー……アガッ!?」


 ゴブリンが民家に火を放ち、町中が火の海と化した。

 家の中に隠れていた人が熱いと叫び声を上げながら、火だるまになっていく。


 そんな様子を高みの見物している2人であったが、貧相な少女がその惨状を見て、胃の中の物を吐き出してしまう。


「オエエエェェェッ……」

「ちょっとぉ、こんな所で吐かないでよね。折角の盛り上げシーンがアンタの臭いで台無しになっちゃうじゃん」


 忌々しげに地面で這っている少女を見ながら悪態をつくローブの少女。


「ご、ごめんなさい……」


 小さい声で苦しそうに謝罪の言葉を口にする貧相な少女に舌打ちをしつつ、再び地獄(てんごく)に目を向ける。


「あぁ、私これを夢見てたんだ! ずっと毎日が同じことばかりでつまらなかったけど、これからは自由! やりたいようにするのよ!」


 両手を広げて嬉しそうに宣言するローブの少女。

 燃え盛る炎の明かりで少しだけ彼女の顔がうかがえる。そこには口角を上げて半弧を描く美少女がいた。


「な、なんでこんなに酷い事が出来るんですか……?」

「ん? だって平和ってつまらないじゃない。進歩の無い生活なんて無意味、ほんの少しの刺激くらい与えてあげないと面白くないからね」


 貧相な少女がローブの女に何故こんなことをするのかと聞くと、こんな返答がされる。気が触れているんじゃないかと思うが、それは口に出せなかった。言ってしまえばこの頭のおかしい女に、今襲撃されている人々のように殺されてしまうかもしれない。


「ふふ、この世界に来て本当に良かったって心から思える。正義も悪も無い、私だけの世界(おもちゃばこ)


 ローブの女が今度はうっとりとした蠱惑的な表情をする。

 まるで新しい玩具を買い与えられたばかりの子供のように。


「人も、エルフも、ドワーフも、獣人も、魔人も、魔物も、何もかも全てが私のお人形さん。人をいきなりこんな所に拉致してきたんだもの、これくらい楽しんでも良いよね?」


 女の言葉からは思うに、現地の人間では無いようだ。

 拉致されたというワードに引っ掛かりを覚えた貧相な少女がローブの女に問い掛ける。


「あ、あなたは誰なんですか? 拉致されたって、この国の人じゃないなら帝国のスパイ……!?」

「残念ながらそんな枠に収まるような人材ではないのです! 何たって私は―――……」


 少女の当然の疑問に対し、機嫌良さそうにローブの女が答える。


「この世界に召喚された『勇者』様だから」


 そう誇らしげに勇者と名乗ったローブの女、初羅凛音(そらりおん)は涼しげに笑った。



読んで頂きありがとうございます。


もし気に入って頂けたらブックマークして頂けると幸いです。

また、ポイント評価、感想も貰えると舞い上がります!


宜しくお願いします。


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