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今までの昨日。新しい明日

 三世は基本的に臆病で事前に全ての準備を終わらせるタイプだ。

 石橋を叩いて叩いて、それでも不安を忘れない。

 だからこそ、三世は準備をしっかりしてきた。


 シャルトが薬を飲み始めて一月ほどが経過した。

 一月で完全に治癒が終わっていた。

 コルネにも見てもらったが問題無しと言われた。

 その間にルゥと三世も十分な訓練をした。

 未だにマリウスから勝ちは取れないがそれでも速攻で倒されることも無くなった。

 粘って粘って最高で三十分戦い続けたこともあった。

 二対一だがそれでも十分だった。

 装備も全身レザー中心の低価格エンチャント。

 防御力を重視したエンチャントを重ねに重ねた。

 ガントレットだけは特別製だが。

 シャルトは魔法こそ使えないままだが持ち前の視力と一月練習を続けた為弓は十分に使えるものと化した。

 ルゥの盾だけはマリウスから買った。

 金属製のラウンドシールド。耐久力と頑丈性をとことん追求した物。

 師匠の倉庫に眠っていた在庫をルゥが買い取った。


 準備も終わった。

 初めての三人での冒険が始まる。


「というわけで作戦会議です」

 ぱちぱちぱちぱち。

 小さい拍手が二つ聞こえた。

 ルゥとシャルトだ。

「思ったより早く冒険に出れそうで嬉しいです」

 シャルトが本当に嬉しそうにしている。

 獣人の治癒力と現代医療の効果に魔法の治癒。

 組み合わせたからか半年が結局一月で完治した。

「るー。私もシャルちゃんと一緒で嬉しい」

 えへへーと二人で見つめながら微笑む。

 ルゥに変な緊張も見られない。

 前回のトラウマは完全に克服できたようだ。

 マリウスに三世は感謝した。

「ということで今回特別に作戦会議に参加して下さるコルネ隊長です」

 三世の言葉にまた小さい拍手が聞こえる。

「どうもどうも。がんばる子達を応援するコルネお姉さんだよー」

 にこにこと話すコルネ。

「ああ。こちらこの前のお詫びと約束の品です」

 三世は丁寧に頭を下げながら箱を渡す。

「ああどうもどうも。さてなんでしょー」

 コルネは箱をガサガサ上げて中を見て顔を赤くする。

「忘れてたわ。指輪お願いしてたんだったね」

「はい。右手中指用のものを用意させていただきました」

「ありがとうね。本当に綺麗ね。器用なものねー」

「師匠がいいもので」

「本人の努力もあるわよ。ありがとうね。大切にするわ」


「良かったねコルネ!」

「ええ。そうですねコルネ様」

 二人がコルネに言葉をかける。シャルトは少し邪気が混じりながら。

「なんか二人に見られてるとちょっと恥ずかしいわね」

 コルネは赤面を誤魔化すためにそっぽを向いた。


「さて真面目に行きましょう。今回は二つほど依頼の候補があります。コルネさんの話を聞きながら皆で相談しましょう」

 三世は紙の束をテーブルに置いた。

「まず一つ目は瘴気の攻略です」

「これはルゥちゃんとヤツヒサさんが発見した時の瘴気です。未だに攻略がなっていないので人手を募集しています」

 コルネが言葉を足す。

「質問です。私達の実力で足りる難易度ですか?」

 シャルトの質問にコルネが答える。

「足りないわね。ただ攻略班では無く調査班。それも他のパーティーも沢山居る状態よ」

 調査班とは周囲の調査は魔物の位置情報調査、斥候の代わり。

 攻略班は魔物討伐を優先する本隊のことである。

「それでも戦闘は必須ね。最高で中位の魔物との戦闘が待ってるわ」

「中位の魔物との戦闘は私達だとどうですか?」

 シャルトの質問をルゥが付け足す。

「中位が複数出た場合だとどうなる?」

 コルネが頷く。

「そうね。中位3体くらいなら逃走出来る。中位一体ならいい戦いになると思うわ。相性によって状況は変わるけど」

 三世が纏める。

「つまり中位からは逃げる。下位以下との戦闘をしつつ周囲の安全確保をするのが仕事です。中位が出た場合は出た場所をマーキングするだけでいいです」

「そしてメリットはうまくいけば一回で鉄級の冒険者になれます」

「瘴気を攻略したなら評判も上がるしリスクも今の実力ならそこまで無いわ」

 コルネも補足する。

「特に今は要塞化もしてないし」

「要塞化ってなんですか?」

 シャルトが尋ねる。

 それにコルネが答える。

「瘴気が多く貯まると砦だったり要塞だったり何かしらの建造物が突然生まれるの。そうなったら攻略が一気に面倒になるわ。場合によったら魔族が居る可能性も出てくるわ」

「要塞化した場合は即座に依頼を中止します」

 三世の言葉に二人は頷いた。



「もう一つはただの護衛依頼です」

 新しい紙束を三世は取り出す。

「本当にただの護衛依頼なので大したことないです。場合によっては盗賊等が出ますが」

 人間を殺せるかという質問だがルゥもシャルトもよくわかってなかった。

「ヤツヒサさんは人を殺すことが出来るかって尋ねてるの。聞くまでも無いけど」

「うーん。この村の人を殺すのは嫌だなぁ」

「そうじゃなくて悪いことをする人よ」

「だったらどうでもいいんじゃないの?」

 本当に良くわかってない顔のルゥ。

 奴隷上がりで色々な物を見ているからこそ常識の齟齬がある。

 シャルトに至ってはもっと分かりやすい思考をしている。

「ご主人を危険に晒す存在なら私にお任せを」

 積極的に撃つ気でいた。

「うーん。殺伐として頼もしい。まあルゥちゃんもシャルちゃんも私も似たような生き方してたしね」

「問題無いなら大丈夫でしょう」

 むしろ三世は自分が一番不安だったが。


「護衛依頼自体が重要でなく行き先です。別の王国に行き、そちらとこちらで交易をしようと思っています」

「その辺りは私はあまりわからないのよねー。というわけでヤツヒサ先生教えて下さい!」

「「せんせー。教えてー」」

 コルネの言葉にルゥとシャルトも悪乗りする。

「いいですよー。といっても基本は簡単。安く買って高く売る。それだけですよ」

「何を売るのー?」

「ルゥ。いい質問ですね。今回はこれを売ろうと思います」

 三世はメープルシロップのビンを見せた。

「幸いここが産地。非常に安価で買えてかつ他の王国だとあまり数が無いもの」

「調べたらどこでもメープルはあっても質はやはりラーライル王国が一番。なのでこれを売ろうと思います」

「そして向こうで安い物を仕入れてこちらで売る。それで終わりです」

「メリットはかなりのお金になることが期待されます。デメリットは非常に時間がかかることですね」

「なるほどねー。行き先はここでいいの?」

 コルネはテーブルにある紙を一枚とって見せた。

 ガニアル王国と書かれていた。

「そうですね。観光にも良さそうだったのでこの国にさせてもらいました」

「そうね。ここなら比較的安全だしいいと思うわ」


「ということでルゥ。シャルト。意見を下さい。どちらにしたいですか?」

 十分ほど雑談を交えながら相談した結果。


 次の依頼は護衛依頼で初めての外国旅行となった。




3章はいつもと変える予定でした。

対して変わりませんでした。

なんかすいませんこれで3章終わりなんですよ。


読んでくださりありがとうございます。

これより更に投稿が遅れるかもしれません。

単純に構成とか設計とかに時間かかるもので。

基本遅い人間なんですいません。

それでも少なくても三日は空けないようにします。

では再度ありがとうございました。


冒険への期待感。

新しいドキドキ。

そんなのを表現出来たらいいのですが。

出来なかったらすいません。

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