位階:活性
位階:不活
位階:活性
位階:成熟
位階:放出
位階:完了
「これは俺じゃあもう模擬戦は出来ないな」
ルゥの動きを見てマリウスが呟く。
三世は機嫌の戻ったルゥを連れて壊れた首輪の情報を奴隷商に回そうと思った。
その前に今のルゥの強さと調べようとマリウスが言った。
最後の瞬間不意を突かれたとは言えマリウスが反応出来なかった為強くなったと思ったからだ。
そして実際に動きを見ると明らかに変わっていた。
一足で数メートル移動する。
その動きは早すぎて目が付いていかない。
打撃用の的を素手に殴るだけで重い音が聞こえる。
ハンマーで叩いたような衝撃が辺りに響く。
「実際どのくらい強くなったのでしょうか?」
三世の言葉にマリウスが渋い顔をする。
「正直難しいな。技術がおいついてないからまだ俺でも圧倒出来る。ただ……」
「ただ何でしょうか?」
「速すぎる上に強すぎる。模擬戦をするなら俺はもちろんルゥ本人やヤツヒサも事故で大怪我しかねない」
それに三世は頷いた。
ルゥの動きをいつも見ている三世は今までなら予測が出来て連携が取れた。
しかし今はルゥが早すぎて目がついていかないことがある。
「どうしたもんか。正直相手するのが怖いぞ」
ルゥは奥で大盾を持って遊んでいた。
自分が身体が全て隠れる金属の大盾。
とある職人が作ったは良いが重すぎて実用的で無く、
マリウスが買ったはいいが使えずずっと倉庫に放置されていた。
それを軽々と扱う。
「今アレで思いっきり殴ったらイノシシ砕け散るぞ」
マリウスの言葉に三世は驚く。
「けっこう頭硬かったですよね?」
「そうだな。頭蓋骨ごと粉砕出来るだろうな」
「師匠の指導のおかげですね」
「いやいや。お前の優しさがルゥを強くしたんだよ」
お前のせいだぞ何とかしろと師弟で責任を押し付けあう。
非常に見苦しい展開をしている時にシャルトが来た。
「たぶんですがなんとかすること出来ますよ?」
「「よし任せた」」
息の合った師弟の言葉にシャルトがため息を付く。
ルゥは非常にしょんぼりと、そして珍しく不満を口に出すほど不快感を顕にしていた。
「あーあー。せっかくヤツヒサがくれたのになー」
今ルゥは三世の作った首輪を外していた。
最初は嫌がって外そうとはしなかったが必死の説得の末不承不承だが首輪を外した。
「驚いた。むしろ元より弱いくらいだな」
マリウスは驚愕した。目に見えるほどの変化だった。
確かに本人の気持ちの面もあるがそれだけでは説明つかないほどだ。
目に見えてわかるほどルゥが弱く、遅くなっていた。
三世でも十分目に追える。
それでも三世よりはよほど運動能力が高いが。
「ああやっぱり。たぶん首輪の有無でルゥ姉は自分がペットかどうか判断してるんだと思います」
「というと?」
三世はシャルトの言葉に説明を求めた。
「首輪があると自分がご主人の所有物だと思えるのだと思います。だから今は自分が野良の状態だと思っているのだと」
「ふむふむ」
「そして強化の原因ですがご主人のスキルの効果だと思います。といっても私はそんなに強化されていないのでまだまだわからないことが沢山ですが」
「いや。たぶんそうだと思う。確かに言われたらルゥとの繋がりが今薄く感じる」
「普段の私よりも首輪をつけたルゥ姉のほうがご主人との繋がりが深くてちょっと私悔しさを感じますけどね」
口を尖らせるシャルトの頭を三世は優しく撫でた。
「二人とも大切な家族ですよ」
「知ってます。だから拗ねるだけにしてるんです」
ぷくーと膨れるシャルトを微笑ましく見守る三世。
ほっとかれてぷくーと膨れるルゥが乱入するまでそう時間はかからなかった。
「というわけで模擬戦の間だけ首輪無しでいけばまだ俺が訓練してやれる。俺の訓練が終わる頃には一端の鉄級相当の腕になるだろうからそれまではがんばれ」
「はい。これからもお願いします」
「るー。嫌だけど我慢するよ」
「模擬戦は出来ませんがご指導お願いします」
三人は個人個人でマリウスに感謝を示した。
三世はこれだけ出来るマリウスが鉄級相当の腕だとはちょっと信じられなかったが。
その日の午後にコルネが来た。
事情を説明して奴隷商に連れて行ってもらおうと思った所、コルネから意外な申し出が出た。
「ちょっとルゥちゃん私と模擬戦しない?ルゥちゃんは本気で」
ルゥが良くわかってなかったがコルネが望むならと了承した。
マリウスの立ち会いの元、一対一の模擬戦をすることになった。
ルゥの武器は片手の金属バックラー。ただし重量増加耐久増加のエンチャント付き。
本気で殴ったら岩くらいなら軽く粉砕する。
防具も本気で手にはレザーボスガントレットを装備。
残りも革中心にフル装備だ。
一方コルネの方は木製の練習剣のみ。
刃を潰した片手剣をマリウスは渡そうとしたが断りそれだけを持った。
防具こそ普段の騎士団装備だが基本軽装の金属鎧。
攻撃が当たったら大怪我ではすまないのが予想出来る。
「師匠。大丈夫なんですか?」
「わからん。だけどあの年で中隊長になってるのなら。心配するのはルゥのほうだ」
「え?」
試合が始まった。
ルゥは良くも悪くも正直だ。
全力で来いと言われたから全力でいく。
バックラーを持った手で全力でぶん殴る。
それをコルネは素手の方の左手で軽く受け流す。
「師匠。素手であの攻撃止められます?」
「ガントレットつけていてもしたくないな」
三世に至っては既に目で追うのも怪しくなっていた。
「おおー。早いし強いね。どんどんきて」
コルネは楽しそうに笑った。
「るー!わかった!」
軽いやりとりの後ルゥの速度が更に速くなり、攻撃が鋭くなる。
ただし一度も当たらないが。
コルネはそれらを全て受け流し回避している。
しかも一歩も動かずに。
「攻撃はこんな感じか。じゃあ次はこっちから行くから防いでね」
コルネが木製の剣で攻撃を始める。
片手だけの軽い攻撃だが速度が尋常じゃなく剣を持ち上げたら既に下の位置に。
剣で突いたら音だけしか気づけない。
ルゥはそれを必死に防いでいる。防げていた。
縦横無尽に飛んでくる斬撃。
それを盾で必死に防ぐルゥ。
最初に違和感に気づいたのはマリウスだった。
「何で木製の剣が当たり負けて無いんだ」
何の変哲も無いただの木製の剣に、鉄の盾が叩きつけられているにも関わらず、全く折れる気配が無かった。
ルゥの力が加わった盾の殴りつけなら、鉄の剣でも十分破損させられる。
それを何合も打ち合って木製の剣は、傷一つついていなかった。
「んー?ただの技術だよ。今はスキルも特に使ってないし」
軽口を叩きながらも斬撃は休まない。
ルゥが衝撃を殺しきれず後退していく。
そしてそれにあわせて前進するコルネ。
最終的に足が縺れてルゥがしりもちをついた。
「はい。終わり。お疲れ様でした」
「るー。ありがとうございました。なんだろ。よくわからないけど凄かった」
立ち上がってお互い一礼した。
「うん。ヤツヒサさん。本格的に騎士団入隊しない?今のこの子と一緒なら結構な地位もらえると思うよ」
「うーん。ルゥがしたいと言うなら」
「うーん。なんかめんどそう」
「そっかー。しょんぼり」
「なんかすいません」
「いいよいいよ。まあ興味持ったら私に言ってね。この子クラスの実力あれば出世街道まっしぐら確定よ」
「そんなに強いですか?」
「強いというより怖いね。この子が武術を習得し終わったら間違いなく人間じゃ勝てなくなる。それ位怖い」
「獣人というのは本当に強いんですね」
「というよりルゥちゃんが強いのね。よくわからないけど」
ルゥが会話に混ざってきた。
「なんかねー。ヤツヒサからぎゅいーんって力が来るの!」
「ということで急成長が怖いので奴隷商の後にギルド長に会いに行くことは可能でしょうか?」
三世の問いにコルネが頷く。
「そうね。ちょっと見てもらいましょう。色々と」
マリウス以外のメンバーはそのまま城下町に移動した。
「ところでコルネさん。ちょっとお尋ねしたいことがあるのですが」
城下町を歩いている時に三世が尋ねた。
「ん?何々?騎士団の入隊試験なら君達なら免除できるよ」
「いえそれは遠慮します」
「えー。しょんぼり。それで何?」
「はい。何か移動手段って手に入りませんか?城下町に行く時毎回頼るのも悪いですし普通の馬車だと時間がちょっと」
「あー。そうねぇ。今はちょっと思いつかないわね」
「そうですか。何かあると良いのですが」
「こっちでも考えてみるわ。ただあまり期待しないでね」
「いえいえ。ご迷惑おかけします」
「いえいえ。それなら騎士団に」
「それは遠慮します」
コルネがため息を一つ付く。
人数不足なのだろうか。
「というわけでこれを見てください」
裏口から奴隷商に会いに行った。
セッティングは全てコルネが行ってくれて既に奴隷商も客室で待機してくれていた。
脂ぎった汗を拭きながらせっせとお茶の用意をする奴隷商。
砕け散った首輪を見て驚く奴隷商。
「これは……通常なら絶対にありえませんね」
事情を説明する三世。
「ふーむ。一応獣人に命の危機が訪れた時は破損するようになってますが今回その機能も発動してませんね」
「つまり?」
「申しわけないですが原因不明です」
「そうですか。これによる何か不利益とかありますか?」
奴隷商は首輪とルゥを見比べる。
ルゥは奴隷商に笑顔を浮かべていた。
「んー。無いですね。断言出来ます。ただ奴隷じゃなくなっただけです」
「なるほどなー。じゃあはい」
ルゥは三世に金貨を五枚渡した。
「これは?」
「私の代金。これで奴隷じゃなくなるんでしょ?」
「そうですね」
三世はそれを受け取った。
「これからはペットってことでいいんだよね?」
ルゥが心配そうに尋ねてくる。
「もちろん。そう望むなら」
優しくルゥを撫でる。
ルゥは喉をならして甘えてくる。
「それとはいこれ」
受け取った金貨をそのままルゥに渡す三世。
「んー?何これ」
「私の借金です……何か申し訳ないですが」
ちなみに端数だがまだ借金は残っている。
「るー。気にしないでいいのに」
「そうも行きませんから」
二人のやり取りを満足そうに見守る奴隷商。
「うん。いい関係が築けていてなによりです」
ちなみにシャルトは最初から最後まで無言を貫いた。
奴隷商が良い人とわかっていても苦手らしい。
「何を話したらいいかわからなくて」
別に奴隷商だけでなく、知らない人に話しかけられたら未だに挙動不審になる所があった。
「まあゆっくり治していこう」
三世の言葉にシャルトは申し訳無さそうにした。
次はルーザーの所に行った。
相変わらずコルネが事前準備してくれているため裏口から直接入ったらいいだけだった。
「失礼します」
「ああ。問題無い。入れ」
中に入るとルーザーがニコニコして待っていた。
「うちのギルドメンバーの奴隷、いや仲間が急成長したと聞いてな。いやはやうちのギルドも安泰だ」
「ぐぬぬぬぬ」
横でそれを聞いて悔しがるコルネ。
「はいはい。分かってますよ!騎士団は人が少ないですよ。じゃあちょっと外でてるね」
三世達のスキルのことを聞かないようにコルネは部屋を出て行った。
ちょっと寂しそうに。
「ああ言ってるが騎士団は基本的に一騎当千の化物そろいだ。人材不足どころか場合によっては軍ごと制圧出来るぞ」
「当の本人が尋常じゃなく強いので知ってます」
「ああ。戦ってる所を見たんだな。つまり気にしないでいいぞ。あれは、ただヤツヒサ達と一緒に仕事したいだけだから」
「るー。ちょっと可哀想」
「今度騎士団との合同クエスト準備しておこう」
なんだかんだいってルーザーもコルネには甘いようだ。
「さてさっそくだからルゥ。ちょっと失礼するぞ」
ルーザーがルゥを見て感嘆の声を上げる。
「ほぅ。確かにこれは成長してるな」
「筋力4素早さ5賢さ2器用6魔力1耐久4精神2体力とても高い。ベースは変化無し」
「ただしヤツヒサのスキル補正で筋力素早さ器用耐久が全部倍になっている。まるで一流冒険者のような能力だな」
つまり今のルゥは
筋力4(8)
素早さ5(10)
賢さ2
器用6(12)
魔力1
耐久4(8)
精神2
体力とても高い。
こうなっていた。
「これは冒険者ならどのくらいの能力ですか?」
「一概には難しいな。結局目安程度だし冒険者でも弱くても階級高い奴はいる」
「そうなのですか?」
「ああ。信用が高くて仕事を果たせるなら弱くても問題無いからな」
「確かにそうですね」
ギルドに朝かけこむガラの悪い連中を思い出して三世は納得した。
「強いて言うならその道の一流は能力15が最低ラインだな。専門職の場合は」
「なるほど」
「じゃあ次はシャルトを見させてもらう」
「お、お願いします」
前回怯えたからかしっかり気を持って励むシャルト。
目を見た瞬間また声をあげて怯えたが。
「ふむ。筋力1素早さ8賢さ4器用4魔力5耐久1精神1体力かなり低い」
「そして補正として器用が8耐久が2そして体力が僅かに増えている」
「ありがとうございます。うーん。あまり変わってないですね」
「そんなことないぞ。数字の1の差は非常に大きい。特に素の数字の賢さと器用が上がっている。それは君の努力だ。むしろ誇っていい」
「ありがとうございます。ただ先ほどのを聞いた後だとどうしても……」
「ああ。まあ気持ちはわかる」
「私とルゥ姉。一体何がそんなに……胸ですか!やっぱり胸があるほうがいいですかご主人は!?」
「落ち着いて下さい」
三世はシャルトの頭を軽くはたいて叱る。
「むぅ。私も何とかご主人との繋がりを強くしないと」
「では今度はそのヤツヒサのスキルを見てみよう。何かヒントがあるかもしれない」
そしてルーザーは三世を見つめるとぷるぷるしだし、そして噴出した。
「ぶはっ。くっ……くくく」
顔を下にして必死に笑いを堪えるルーザー。
「あの……何か?」
「ちょっと待て、今落ち着く」
肩を震わせながら息を整える。
数分かけて調子を戻したルーザーはお茶を飲んで一息ついた。
「またせたな。自分のスキルは自分で確認できるはずだから見てみるといい。とうとう第二スキルに名前がついたぞ良かったな」
三世はその言葉を聞いて最近スキルと向き合ってなかったのを思い出した。
自分の中にあるスキルと会話するように自分と向き合う。
それは自分の過去の経験。
獣医としての生涯をスキルとして表現したもの。
自分の過去の人生の表れ。
そのスキルがついに開花した。
三世は自分の中にある二つのスキルを確認した。
一つはクラフター。
そしてもう一つ。今までより大きな力となっていた。
緑の光のイメージを持ったそれを注意深く見る。
「えっと……これ名前ですか?」
三世は確認して文字列を名前として認識できなかった。
それを見てルーザーがまた噴き出す。
「ああ。名前だな。多少長いがそんなもんだ」
「ええと。でもこれ土地名というか施設のような」
「止めろ。そういう言い方するな。ツボに入る」
「るー。どんな名前なの?」
ルゥが待ちきれず尋ねて来た。
「ええと……『わんにゃんふれあいランド』でした」
どうやら自分の生涯は動物と触れ合う毎日を望んでいたらしい。
いや合ってたわ。三世は心の中で自分につっこみを入れる。
「うーむ。医者としての技術ではなくお前の本質は一緒に遊ぶことだったらしい」
ルーザーが笑いを堪える為に微妙に震えながら言葉を紡ぐ。苦しそうな態度と打って変わり、顔はとても楽しそうだ。
そんなルーザーを三世は無視して、自分の中のスキルと……わんにゃんふれあいランドと会話を試みる。
①自分が動物と認めた一部の亜人と動物の治療を可能にする。その際必要な道具はその場で生み出せる。治療の際自分の体験した最高の環境を擬似的に再現出来る。
②治療が必要と確認した場合。そのペットの生存能力に関わるものに補正をかける。その分三世本人は体力を消耗する。
③ペットの能力で自分を強化できる。ただし強化できるのは一匹で一種類である。そして優れたペットでないといけない。
④自分の優れた能力でペットを強化出来る。
⑤犬と猫が自分のペットの場合能力を強化する。それは繋がりが深いほど強化の数値が増える。
「なんか一つのスキルに能力多いですね」
「ふれあいランドだからな」
「自分のことながら犬と猫だけ特別扱いなんですね」
「わんにゃんランドだからな」
「ギルド長、なんか楽しんでません?」
「わんにゃんふれあいランドを楽しんだらいけないのか?」
「楽しむべきですが楽しむのは私だけです」
「一人わんにゃんふれあいをお前の二つ名にしてやろうか?」
「すいません勘弁して下さい」
二人の漫才のような掛け合いの間にルゥが入ってきて質問した。
「るー。私犬なの?」
その質問に三世は考え込む。以前診た時は分類上は狼に近かった。だが、獣人にそう分類して良いのかわからない。狼と犬で見た目と性格のイメージなら人なつっこいルゥは犬に似ているとも言えるだろう。
「わかりません。ですがどっちでもルゥはルゥですよ」
三世はそう言いながらルゥの頭を撫でた。ただのごまかしに近いが、ルゥはそれで満足なようで、それ以上の追求を止めて頭の感触を楽しんだ。
「まあ楽しむのも良いが少しは真面目に仕事をしようか」
ルーザーが真面目な顔に戻った。
「まず誤解しやすいところは5番目の繋がりだ。これはヤツヒサとペットの繋がりではなく、スキルとペットの繋がりだ」
「だからこれが深いから愛していて浅いから愛してないわけではない」
シャルトの方に向かってルーザーが話した。
「そうですね。平等に愛していただけてるとは思ってますが少し不安でした」
シャルトの言葉に三世が不安にさせたことに気づいた。
帰ったらしっかり構ってやらねば。
「それと犬と猫なのは今ペットが犬と猫だからそうなってるだけで増えるなら状況も変わるだろう」
「でもわんにゃんふれあいランドですよ?」
「スキル名言うの止めてくれ。また噴き出す」
ルーザーが咳払いをして自分を抑えた。
「そう言えばギルド長は犬とか猫とか知っているのですね」
三世は気になった疑問を尋ねる。犬も猫もいないとコルネから聞いている為、この世界にはいないと思っていた。
「ああ。異世界人の書物で見て知った。だが実際に見たことは無いから良くしらないぞ」
三世はルーザーの言葉に納得し、そして少しがっかりした。もしかしたらこっちの世界でも犬や猫に会えるかと少しだけ期待していた。その期待は叶いそうに無かった。
「前に少し話したがスキルは位階がある」
「そして最終位階に上がるまでに名前は最低一回は変わる。人によるし最終位階まで上がらない人のほうが多いが」
「なるほど。つまりペットを増やしたら名前が変わるのですね?」
「たぶんな。本人の生き様が強く反映されるからどう変わるかわからないが」
「るー。ヤツヒサのスキルなら次の名前は想像しやすいけどね」
三世以外の全員が頷いた。
「そうですか?じゃあルゥはどんな感じになると思います?」
「どうぶつふれあいランド。またはわくわくふれあいランド」
ルゥの言葉に、三世も思わず納得してしまった。
「あくまで予想だがルゥのほうからスキルに無理やり接触したのだろう。話を聞く限りだが」
ルーザーは頭を捻っていた。
ルゥは特に覚えてないそうだが。
「つまり私もこの感じる繋がりからご主人の繋がりに求めたら良いのですね!」
むむむと唸りながら必死に何かをするシャルト。
「はい。全くわかりませんでした」
そして諦めてがっくりと肩を落とした。
「急がないとゆっくりしていこう。ゆっくり成長すればいいんだから」
三世はシャルトを慰める。
その日は帰らずに宿泊施設に泊まった。
明日遊んだ後帰るという話になったからだ。
三世はシャルトはもちろんルゥとも楽しくお話をした。
二人共大切な家族だと言う様に。
そして三人で一緒に寝た。
三世は少し恥ずかしいが、二人は一緒に寝るのが好きだった。
この世界で唯一自分を無条件で助けてくれると信じられる年上の三世。
父性というものを受け取ったことのない二人には三世が神にも見えていた。
ありがとうございました。
思ったよりも土日忙しくなかったので毎日投稿なんとか続けられました。
どこまでいけるかわかりませんががんばってみます。
内容と文章力低い分せめて数で楽しんでいただけたら幸いです。