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異世界転移でうだつのあがらない中年が獣人の奴隷を手に入れるお話。  作者: あらまき
成長する獣人奴隷。獣離れ出来ない甘党人間
35/293

男性でもおじさんでも甘いものが好きな人は割と多い

2018/12/25

リメイク


三世回です。

着実と目的達成に近づいています。

これは異世界チート……

絶対違いますね。


 三世は半日ほどの、久しぶりの一人生活をゆったりと楽しむことにした。

 女性を意識する必要もないし子供の模範となる生活をする必要もない。

 だけど、何となく寂しいと思う気持ちがあるのも確かだった。


 親ガモの背を追う子ガモのようだったルゥが、自分の意思で自分のしたい事を見つけ、その実現を目指す。

 少々寂しくはあるが、今はその成長を喜ぼう。

 そう三世は考える事にした。





 そして、せっかくの自由時間である。

 三世も自分の夢の実現を目指す事に決めた。

 そう、自分用サトウカエデの木を入手することである。


 三世は情報を集める事にした。

 まず、この町はサトウカエデの生息地の割に暖かい。

 確かに、カエデの村は寒冷地で寒く、雪が降る日もある。

 しかし、サトウカエデの木が生息する地区だとしたら寒さが足りなかった。

 この程度の寒さだとサトウカエデは害虫害獣が酷い事になってしまいそうだ。


 メープルさんという名前のオールウェイズエブリデイでサトウカエデの天敵となっている存在もいるが、それは考えないようにした。。




 ――とりあえず、この世界のメープルについて調べてみましょう。

 三世はそう決め、村長の家に向かった。

 村の奥にあるメープル関連の施設は通行止めで入れないからだ。


 村長の家に向かい、サトウカエデやメープルの事を調べたいと尋ねた三世に、村長は『カエデの山施設許可証』と書かれた紙を紐に通して三世に手渡した。

 三世は礼を言い、その足で以前通行止めだったメープル関連の施設に足を運んだ。

 その足取りは年を感じないほどに軽やかだった。


 初日の散策のときは通行止めでいけなかった工場のような建物群の更に奥、通行止めをまたぎそのまま入っていく。




 まっすぐ歩き続け、緩やかな登坂を越えた瞬間、急に世界が凍えた。

 少し冷えたかなとかそういって次元の話ではなく、春を感じる暖気混じりの寒さから、いきなり氷点下を軽く下回るほどの試される大地を彷彿とさせるような寒気に変わったのだ。

 現に、この辺りからは地面に霜がかかり半ば凍っている。


 どこかに境目があり、それを超えた瞬間に強い寒気を味わう。

 方法はわからないが気温を下げてカエデの木の適正温度にしているのだろう。

 温度が低いなら外敵がいなくなるのでカエデの木も問題なく生存出来る。

 三世は一旦家に帰り、防寒具代わりに厚着をしてから、もう一度寒気の感じる奥に向かった。


 防寒具を着てもなお凍えそうになりながら歩き続けると、いかにもな建物が目に映る。

 それは砦のようにも見えるし城のようにも見える。

 石のレンガで出来た壁に赤い屋根。

 形だけなら中世の城が一番近いだろうか。


 防壁のようなものもありその脇には城壁塔のような先端の鋭い小さな塔が立っていた。

 そしてその塔の天辺には旗が掲げてあった。

 その旗はカエデの葉が書かれていて、色形や葉以外は違うがカナダの国旗に非常に類似している。

「なんだここは……」

 三世はそう呟き、言葉を失った。

 確かに城っぽいのだが……大きく異なる点もあった。

 それは、恐ろしいほどに小さいことだ。


 最初は酷く遠くに城があると思い、感動して近づいた。

 そして、近づいたら思った以上に近くにその城があったので少々落胆したほどだ。

 2階建ての家より少し広いくらいである。

 こういう言い方は非常に失礼だが、某大人の人用宿泊施設にも見える。




 三世は周囲を見回すが、責任者がいそうな建物はここだけである。

 少し悩んだが、三世は突入を試みることに決めた。


 入り口傍により、呼び鈴らしき物を探してみたがそれっぽい物は見つからなかった。

 代わりに三メートルを越える大きな両扉をノックしてみる。

 ドンドンと大きな音が響く。

 だが、返事はなかった。


「失礼します。どなたかいらっしゃいませんか?」

 三世は両扉を開け、中に入ってみた。

 両扉は思った以上に重かった。


 中は木造でファンタジーでよくある教会のような作りになっていた。

 入り口から入ると玄関はなく、そのまままっすぐの道だけでその先には大部屋がある。

 大部屋の左右に扉があるのでその大部屋を経由したら別のところにもいけるらしい。


 大部屋には四角いテーブルが幾つも置かれており、いたるところに実験設備のような道具が置いていた。

 木の樽、フラスコ、アルコールランプ、散乱している紙束。

 そしていたる所から強い甘い香りが広がっている。

 そう、ここはメープルの香りで満ち溢れていた。


 そして大部屋の奥に一人の男性がいた。

 なぜか立ちっぱなしで――。

 その人物は三世より一回りほど上の年齢だろう。

 間違いなく、いい年である。

 その言葉は三世にはブーメランとして戻ってくるが……。


 ただ歳であろう割にその風貌は、若々しくも映った。

 肌も皺はなく髪も白髪が見えずに真っ黒、オールバックに鋭い目つき。

 衣装は黒一色で、特に漆黒に染まった裏地が赤のマントは非常に目立っていた。

 その有様はまるでホラー映画に出る吸血鬼である。


 マントを体に纏いその男性はこちらを見ながら低い声で呟いた。

「こんな場所に何用ですか?」

 微笑んではいるが、妙に威圧的にも聞こえる。

 歓迎されているような雰囲気は伝わるが、その歓迎の意味は良くわからない。


 三世はおそるおそる言葉を発した。

「メープルのことを勉強しにここにきました。村長からこちらに責任者の方がいると聞いて――」

 男性は細く鋭かった瞳をくわっと見開いた。

 笑っていたらしき形相を変え、震える声で語りかけてくる。

「お菓子とか作れません?」

 そんな質問に、三世は首を縦に動かした。

「割と得意です」

 その瞬間、男性はにぱーっと笑顔を輝かし、右側奥の部屋に三世を誘導した。

「なにとぞお恵みをー」

 その言葉とともに案内されたのは……やたらと広い調理場だった。




「いやーすいませんね。こんなに沢山作ってもらっちゃって」

 男性はそう呟き、笑顔でホットケーキの山に貪りついている。

 三世もまさかホットケーキを、しかも二十枚という数を作らされるとは思ってもみなかった。

「いえいえ」

 何か話しかけようか悩んだが何を言っていいかわからず、三世は曖昧に答えた。


 現状についての理解は、既に追いついていなかった。

「自己紹介が遅れました。私の名前はアーケル。ここの総合管理者として在住しているものです」

「こちらこそ遅れました。一月ほど前に引っ越してきたヤツヒサと申します」

 お互い笑顔でぺこぺこと挨拶をする。


「あなたがヤツヒサさんですか。うちの従業員の間で有名になってますね」

「あれ? 私は別に有名になるようなことなんてしてませんが?」

「あれ? 新型の卵運ぶカバン作ったり獣人奴隷を解放して保護したり新しいキャラメル作ったりしていません?」

「ああ。大体合ってます……」

 思ったより有名になっている自分に三世はちょっと驚いた。

 田舎村だから自分の行動は目立ってしまうらしい。

 それでも、概ね好意的な方に目立っているので嫌な気持ちにはなっていない。

 だけど、小市民な三世は目立つ事に強い戸惑いを覚えているのも事実だった。


「良かった良かった。ですが……本当にデザート作り上手なんですねー。私は自分で作れないので食べるのはもう久々で久々で」

 そう言いながらアーケルはホットケーキの山を切り崩していく。

 既に十枚ほどはその胃袋に納められていた。


「フィツさんの所には行かないのですか? 私なんかよりよほど上手ですが」

 そう呟くと、アーケルは眉をハの字にしてしょんぼりした。

「私暑いところ苦手なんですよね。皆様は寒いと言いますが、私にはここが一番丁度いいのですよ」

 外はそんなに暖かいわけでなく、まだ肌寒いくらいの時期である。

 ちなみに、この部屋は暖房などと言うものも全く使ってなく窓も開けっぱなしである。

 三世に用意された熱いお茶にはわずか十数分という時間で氷の膜が張られていた。


「食事とか買い物とかどうしてるのですか?」

「あー。買い物は従業員にお願いして食事は自分で適当にですね。お菓子を作るなんて無理なので普段はメープル舐めるのが関の山ですねぇ。私メープルが好きでここにいるのに……」

 三世は目の前の男が、自分の同類であると確信出来た。


「普段は何をなさっています?」

「あ、一応研究者をやってます。メープル関連の。それが高じてここで責任者になりました」

 三世は奥の調理場に行き、さっとメープル入りのミルクセーキを作りアーケルに手渡した。


「メープルが好きでここまで来ました。是非私に色々ご教授下さい。お礼は要相談で」

 二人は無言で握手した。




 あの後アーケルはホットケーキをお代わりし、合計四十枚食べた後で城っぽい建造物を出た。

 妙にテカテカして嬉しそうなアーケルに、三世は聞きたかったことを尋ねてみた。

「そういえば……何故そのような格好をしているのですか?」

 その恰好に三世はずっと気になっていた。

 どう見ても吸血鬼のそれである。


「ああ。夜の見回りの時に便利なんですよ。闇に紛れる事が出来ますので。以上を考えていたのですが、従業員が悪ふざけを始めてね、それでこの格好になりました」

 アーケルは苦笑いを浮かべた。

「まあ気に入ってますが」

 そう小さく告げたした。


「じゃあ別に吸血鬼と関係はないんですね?」

「そうですね。少なくても血を吸いたいと思ったこともないですし運動神経が高いということもないですね」

 アーケルは年のせいで体力がと呟くのに、三世は深く同意した。


「という事でして、体力あるうちに最初につらいところ紹介しておきますね」

 アーケルに紹介されて来たのは工場の中だった。

 直径五メートルはあろう大なべを、従業員三人がかりで中身を回してる。

 鍋の下はもちろん大きな火がついている。煮詰めてメープルシロップにするのだろう。

 遠くのはずだがこの距離まで熱気を感じるほどだ。


 横を見るとアーケルが汗だくになっていた。

「それでヤツヒサさんはメープルについてどのくらい知っていますか?」

「あの? 大丈夫ですか?」

 柔らかい口調とは裏腹に汗だくで血走った目をしたアーケル。

「大丈夫じゃないので早く終わらせたいです」

「なんかすいません。サトウカエデから樹液を取って煮詰めるくらいならしたことあります」

「この辺りで経験者……そして聞き覚えのない名前のニュアンス。ということはあなたは稀人でしたか。遠い世界によくおいでになりました」

 ふらふらしながらアーケルが続ける。


「まあ基本はそうですね。まずは質の良い樹液。そのままでメープルウォーター」

 この前ルゥが持って帰ってきてくれたのを思い出した。

「そしてそれを煮詰めてメープルシロップ」

 アーケルは黄金色の液体の入ったビンを見せてくれた。

 いつも買っているものより色が薄かった。

「そしてそれを更に煮詰めてメープルシュガー。またはメープルキャンディになります」

 アーケルはシュガーとキャンディが乗ったお皿を三世に渡した。

 アーケルは既に口にシュガーをほおばっていた。

 三世もシュガーを口に入れてみる。

 ジャリジャリする高濃度の砂糖。

 そして確かにメープルの味がした。


 キャンディのほうはもっとわかり易い。

 シロップをそのまま濃くして固めた味だった。


「色々省いてはいますがこれが基本ですね。はい次行きましょう」

 ふらふらとしながら先導するアーケルについて行き、三世は別の工場に移動した。

 そちらは火を使っていないからか、別段熱くはなかった。


 それでもアーケルは汗をかいていた。

「ふぅ。少しはマシですね」

 三世はむしろ寒く感じるくらいである。


「次は一番売れるメープルシロップの説明ですね」

 アーケルはテーブルの上に五種類のビンをおいた。

「まずはエキストラライト」

 先ほどみた色の薄いメープルシロップに見えた。

「次にライト」

 さきほどよりもほんの少し濃くなったが、まだ色が薄かった。

「そしてミディアム」

 三世がいつも買って使っているやつだった。

「次にアンバー」

 深い琥珀色でウィスキーのような色だ。

「最後にダーク」

 しょうゆのようなコーラのような……そんな色をしていた。


「説明は最初から後になるほど濃くなります」

「なるほど。どのような味なのでしょうか?」

 三世はダークが気になった。

 普段から利用しているミディアムですら相当濃厚で甘い。

 それより更に芳醇で濃厚なのだとしたら是非とも味わってみたかった。

「味見します?」

 アーケルはティースプーンをこちらに渡してダークのビンを開けた。

 三世はそれに頷き、ダークのビンの中にスプーンを入れて掬った。

 鼻元に持っていかなくてもわかる濃厚な香り。

 素晴らしいという言葉以外出てこなかった。

 そして意気揚々と口元に入れた瞬間顔が強張った。

 苦いわけではないが、とにかく濃い。

 濃すぎて味覚というよりは刺激に近いくらいだ。

 渋いようなキツいようなそんな味だった。


「というわけでそのまま食すには向きませんね」

 アーケルは笑いながら水をグラスに注ぎ手渡した。

 この結果はわかっていたらしい。

 三世は水を受け取り一気に飲む。

 後味がしつこくて飲んだ水すらメープルの風味が残っているような錯覚を覚えた。


「ミディアムしか店においてない理由わかりました」

「ええ。ダークは肉や魚料理に使うとおいしいらしいです。私は食べたことないですが」

「私はこの町にきた初日に食べましたね」

「なにそれ羨ましい」

 三世はさきほどのダークの仕返しとばかりにこそっと自慢した。




「さてここからは魔法とかの話も入って稀人の世界の常識とか通用しなくなります。大丈夫ですか?」

 外に出て一気に気温が下がったからかアーケルは元気になって話し出し、三世はそれにこくんと頷いた。


 今いる場所はあの城っぽい建物の更に奥を進んだ先である。

 異常なほど寒い。

 しかしそれより驚くべきことがある。

 見える範囲全てにカエデの木が生い茂っている。

 四桁くらいはあるのではないだろうか、そのくらいサトウカエデの木が群生していた。


「これどこまでカエデの木が植えられているのですか?」

「今はこの山全部ですね。近い将来隣の山にも植える予定ですが」

 思った以上に大事業らしい。

「それで魔法とかはどういうものでしょうか?」

 三世がそう尋ねた。

 ある意味一番知りたかったことだった。


「色々必要ですが……最低限必要なのはこれですね」

 アーケルは足元を指差した。

 氷が張ってある下に魔方陣のようなものが描かれていた。

「それは何でしょうか?」

「私魔法の才能ないのでよくわかりませんが常に周囲を冬にするそうです」

「凄い魔法ですね。範囲は?」

「これが四方にあります。その中ですね」

「なるほど。これは気軽に出来るのですか?」

「いえいえ。頼むのにも結構なお金かかりますし今も定期診断で半年に一回それなりの金額取られていますね」

 アーケルがそう呟き渋い顔をした。


「出来たら自分でしたいのですが魔法の才能全く無かったから。それだけが悔しくて悔しくて」

 三世が安易に自分がやってみますとは言えなかった。

 なんとなく自分も魔法の才能はないだろうと予想していた。

 基本的に三世という存在は、不器用という言葉が似あうような人生を送ってきた。

 そして、才能という物にはことごとく嫌われていたからだ。


「話を戻しましょう。他にも木の成長速度を上げる魔法もありますね。ここもそれで育てましたし」

 本来数十年かかるカエデの木の成長がわずか一年程度になったのだから驚異的だ。

「それも高いのでしょうか?」

「これは国にしてもらいました。新しい村のモデルケースとしてそういう計画だったのです。なので、本来ならばいくらになるかもわかりません」

 自分用のカエデの木を持つのはまだまだ先になりそうだと三世は理解した。


「さて最後はカエデの木の種類なのですが、これは稀人の世界とはかけ離れています」

「ほう」

 三世はアーケルの話に注意深く耳を傾けた。

「まずサトウカエデの木という原種を持ってきた稀人様がいました。その人がメープルシロップの分け方なども含めて今のスタイルを全て確立しました」

「あの分け方はこちらの世界の分け方でしたか」

「ええ。風味の強さと透過率でわけるそうです」


「その後にこちらでのスキル持ちの人が改良を繰り返します。これで常に質の高いメープルしか出ないものが出来ました」

「凄まじいですね」

「ええ。ここまでなら文句なしだったのですがこの後ですね……わずか1年のうちで2ヶ月程度しか取れないサトウカエデの木を改良し、年中取れるようにしてしまいました」

「良いことではないのですか?」

「ええ。良いことですが、メープルシロップの分け方覚えていますね? あれはカエデの木の採取時期によって決まるものなので、年中取れるようにしたらミディアム以外取れなくなりました」

「なるほど。それは困りますね」

「ええ。なのでその後に改良を加えて、年中同じ品質の同じものが取れるカエデの木になりました」

「ふむ。どういうことでしょうか?」

「つまり、あちらにある木はダークしか出ません」


 三世が指を刺した方角の木を見る。その周囲一帯が少し深い色をしたカエデの木が埋まっていた。

「ああ。そういうことでしたか。本来時期によって違うものが取れるカエデの木を統一して代わりに木の種類を増やしたのですね」

「そうです。といってもほとんどがミディアムで次にメープルウォーターにもなるエキストラライトで、残りは需要の問題でほんのわずかですが」

 なるほどと一言呟き三世は回りの木を見る。

 全ての木に青いチューブ状の何かが刺さっていてその先は工場に繋がっていたり金属の大きな入れ物に繋がっていた。

「知りたいことはあらかた知れました。ありがとうございました」

「いえいえ。ホットケーキのお礼ですよ。あれ? 全部話したらもう来てもらえないような」

 アーケルがそう呟いた後、あわあわと露骨なまでに慌てだした。

「また何か作りに来ますよ」

 そんな三世の言葉に、アーケルは安堵の溜息を洩らした。


「是非お願いします。代わりに新しい情報や新商品をこちらも準備しておきましょう」

 二人は強く握手した。


 帰り道に二人は武装した集団に出会った。

 三人組で全員剣や棍棒を所持した冒険者とも盗賊とも違う不思議な集団。

 三人組はこちらに会釈をしたので三世も会釈を返した。

「アーケルさん。今の方達は?」

「ああ。従業員で腕の立つ方に見回りをお願いしてるんですよ」

「泥棒が出るのですか?」

「普段はそんなことないのですがついこの前カエデの木が荒らされまして。野生動物は普通この気温なので入ってこないので人が嫌がらせでもしたのでしょうかね……この村にそんな人はいないのですが」

 そう言いながらアーケルは少し悩むそぶりを見せた。


「まあ見回りを始めたからか二日ほどたっても被害が無いので野生動物が潜り込んだだけかもしれませんが」

 そう言ってアーケルは話を区切った。




 そうしてアーケルと別れ三世は帰路に着いた。

 ゆったりとした時間の中で一人考え事をしながらゆったり帰る。

 手にはお土産として渡されたエキストラライトのメープルとメープルウォーターを持っていた。

 是非また来て欲しいというサインだろう。


 三世はその事を笑ったが、きっと同じ立場だったなら自分でも同じことをするだろうと考えた。

 それがなおの事面白く、三世は歩きながら小さく噴き出し笑った。

 ――絶対また行って何か作ってあげましょう。

 そう思える程度には、同士だと三世は思っていた。


 三世はカエデの木を今度どうすべきか考えた。

 とりあえず問題は気温と成長である。

 この世界だと、どちらも魔法で解決しているから出来るならそれが早いだろう。

 なので……次は魔法について調べてみよう。

 そうして、三世は次の目標を見定めた。


 日の明かりが落ちだしたので、三世は少し急いだ。

 先に自宅に戻ってルゥに夕食の準備をしておいてあげたいからだ。

 今日の夕食は何を作ろうか。

 三世はレパートリーが少ない為いつも献立に苦戦していた。

 なんとかごまかしてきたが……似たようなメニューのループになってしまいそろそろ限界を迎えつつあった。

「献立だけでも誰か考えてくれないものでしょうかね……」


 そんな子供を持つ母親の苦労を順調に知っていく三世だった。


ありがとうございました。

メープルの記述ですがわざと間違えたり隠したりしてる部分があります。

これは異世界だから情報が錯誤しているというのと

雰囲気設定などの為です。

例えば今メープルは4種に分けられます5種ではございません。


なので嘘が混ざったりしていますので安易に信じないようお願いいたします。

まあ現実に限りなく近づけていますが。

実際は四十年ほどは待たないとメープルは取れませんし1年で取れるのもわずかです。

そしてメープルウォーターなるものは実際にあります。

イメージとは違い低カロリーで健康にもいいということで

ちょくちょく取り上げられていたりします。

何の話してるんでしょうね(´・ω・`)


では再度ありがとうございました。

とうとう評価200ptを超えました。ブクマとあわせての評価ですが。

皆様の様々な形の応援を励みにこれからも続けさせていただきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 器用のパラメータが非常に高いのに「不器用」とは・・・ 器用のパラメータは特定分野にしか適用されないとか、そういう器用な反映の仕方があるってことかな? 変なのぉ・・・
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