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小学校の行進すら中世の軍事行進より上だったりする

2018/12/14

リメイク


 依頼の取り合いにて賑やかなギルド内、我先にという冒険者達を気にもせず、三世と田中、田所、ルゥの四人はテーブルに座り談笑七割作戦三割の気軽な話合いをしていた。

「急がなくて大丈夫ですか?」

 ここでゆっくりして良いのかという三世の言葉に田中は反応し、微笑みながら頷いた。

「今回は取り合いになる類でもないです。狩猟の入門用クエストみたいな感じですので需要、供給共に十分あります。代わりにそこまで利益率は良くありませんが」

 それよりお互いの能力や連携をすべきだという田中の言葉に全員は頷いた。




 まず田所。

 特に成長はしていないが装備はしっかり整えた。

 金属中心の鎧に両手剣と弓。

 弓は練習不足だから出来るだけ使いたくない代わりに、訓練所に行って習った為剣の扱いの方は問題ないそうだ。


 次に田中。

 装備はローブと布の服の為攻撃はほぼ素通し。

 その上魔法は狙いにくいし高火力過ぎて素材が何一つ残らないから緊急用となる。

 なので役割としては知識関係を中心に切り札的な扱いを考えているそうだ。

 代わりに知識方面はしっかりと蓄えてきている。

 野生動物の生態は当然として、サバイバル知識から冒険者の常識まで大体の知識は網羅したそうだ。


 次に三世。

 マリウスの訓練により最低限の動きは出来るようになったが、本当に最低限である。

 基本槍で突くしか出来ない。


 最後にルゥ。

 攻撃に難ありだが装備と種族差を考えたら金属鎧の田所以上に耐久に優れるし、嗅覚、聴覚等にも種族的に優れている為この中でも最も役に立つと思われる。





「まずは並びを決める」

 田中がそう話を切り出した。

「まずは最前列に田所。金属鎧もだが剣の射程を考えたらここしかない」

「うぃっす」

 田所は頷いた。


「次に三世さんとルゥちゃん。三世さんは連携の要ですので攻撃よりもルゥちゃんへの指示とサイン中継お願いします。攻撃は最悪相手が動けなくなったときだけ突くでも十分です」

「了解しました」

「代わりにルゥちゃんへの指揮もお願いします。私の指示よりたぶんそっちのほうが早いので。内容は相手を確認して問題ないなら盾もって前進。田所を庇う。後ろから来た場合は私を庇う。あたりですかね」

「わかりました」

 三世の田中への返事を聞き、ルゥは微笑み頷いた。

「ヤツヒサの言うこと聞くだけならいつもと一緒だね」

 その言葉に田中と三世は頷いた。


「最後に最後衛の私。基本の指示出しが仕事ですが緊急時は惜しまずに魔法を使います。その場合は素材は残りませんが……命には代えられません」

 田中の言葉に全員が頷いた。


「最後にハンドサインを決めましょう。田所は前衛だから少しで良いけど……三世さんにはかなりの数を覚えてもらう予定です。大丈夫ですか?」

「たぶん大丈夫です」

「じゃあ決めて確認出来たら準備を開始して行きましょう。見習いな上に初戦闘なのでうまくいかないのは当たり前です。出来ることをしていきましょう」

 誰もが自分達を弱いと思っていた。

 実際に戦闘慣れ、性能で考えたら確かにこの四人は非常に弱いだろう。

 だからこそ連携を密に取りあいハンドサインまで決めた。

 ちなみに、冒険者でここまで連携を取り合う者はほとんどいない。

 特に下位冒険者であるなら、スタンドプレーが基本である。

 だがそんな事、彼らは知るわけがなかった。

 



 馬車に乗り四人は、今まで行った事がない草原の奥まで移動した。

 この辺りは人の生息地から離れている為野生動物が多く、食料や素材の確保が容易である。

 その分戦闘の必要も出て来るので、今まではここまで来ないようにしていた。


「目標を確認します。今回の依頼は増加する野生動物の間引き、及びそれらの素材確保となります。ですので、最悪でも間引きした証拠がいくつか必要になってきます」

 この辺りはまだ弱い野生動物しかいない。

 しかし、ソレを放置して数が増えすぎるとスタンピートの恐れも出て来るし、何よりその弱い野生動物を餌として強大なモンスターが来る恐れが出て来る。

 それを避けるための依頼である。


「一番弱い兎なら五羽。ただ兎は肉も出回ってますし皮も微妙と効率が悪いので出来るだけ避けたいですね」

 田中がしかめっつらでそう答えた。

 その顔から利益率は宜しくないと理解出来る。


「まあ出会って倒せる範囲の敵を倒していきましょうか。初回の冒険ですし利益よりも経験を重視しましょう」

 その言葉に全員が頷き、草原を進み始めた。




 人が手入れしていない草原の為、進むのは少々手間だった。

 特にあちこちに木々の聳え立つ森林混じりの草原である。

 伸びた草やぬかるんだ地面に足を取られないように、四人はそっとゆっくり足を進める。

 田所を先頭に、真ん中は三世で左側を索敵、そして後ろの田中が後方と右を索敵していく。

 ルゥは聴力と嗅覚を生かして全方位の索敵要員である。


 そこから数分ほど進んだ辺りで、田所が正面を向いたままこちらに手の平を向けてくる。

 これは停止のサインだった。


 そのまま後方にいる田中に同じサインをして全員で状況確認を行う。

 三世はルゥを見て、ルゥは耳をぴくぴくさせながら正面右側を指差した。

 三世と田中はその方向を凝視する。

 良く見ると草むらに隠れる形で白い輪郭が見えた。

 おそらく兎だろう。


 三世は後ろを向き、田中はそれに合わせてサインを出した。

 手を上に向けながら指でピストルのマークを作る田中。

 それは『突撃指令』のサインである。

 三世は田所の背中を触り、突撃指令の合図を出す。

 田所はサムズアップで了解を示し、弓を構えた。


 突撃指令は敵戦力が低い事を想定し、時間効率を優先して速攻で片を付ける合図だった。

 計画はシンプル。

 田所の弓で奇襲。

 そのまま機動力の高いルゥのダッシュにて盾でのバッシュでひきつける。

 のちに隙を見て三世が槍で突く。その間に田所が剣を準備し、田中が周囲警戒を続行し続ける。

 という内容である。


 田所の弓はギリギリと音を立て引き絞られる。

 三世が田所の弓に注目する。

 矢が放たれた瞬間――三世はルゥに攻めるよう合図を出す。

 ルゥは矢を追うように駆けだした。


 シュッ……ビス。


 ルゥが気合を入れて盾を構えたのは良いが、その場に動く生物は存在していなかった。

 そこにいたのは矢が綺麗に刺さり動かなくなった兎の成れの果てのみである。

「るー。……心臓動いてないね」

 ちょっとしょんぼりしながらルゥが呟いた。

 活躍できなかったから悲しくなったようだ。


「周囲警戒」

 田中が短く発する。

 そのまま隊列を崩し田中以外の三人で周囲を広めに警戒する。

 その間に田中がナイフで兎の何かを切り取った。

「警戒終了。休め」

 兎の傍に集まって緊張し張り詰めていた気持ちを緩めた。




「どうですか?」

 田中が聞いてくる質問に三世が答える。

「うん。悪くないと思います。たぶんこのままで問題ないでしょう」

 そう三世が答えると、田所は少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「テンポよく命令聞けなくてすいません」

 そんな田所に三世は首を横に振った。

「いえ。十分出来ていると思いますよ」

 そんな三世の言葉に、少しだけほっとしたような表情を田所は見せた。

 背後からのサインがほとんどのため、確かに田所の反応は少し遅れている。

 それでも、ほとんど問題ないレベルだろう。


「おそらく、他の冒険者の方々はもっと上手に連携を取っているでしょう。今のうちに練習のつもりで色々試しつつ連携を密にしていきましょう」

「はい!」

 三世の言葉を田中と田所は同時に小さい声で返事をし、強く頷いた。


 三世は倒した兎を見た。

 ――ん?…んん?

 獣医とか職業とか動物好きとかそんな事関係ないほどに、その兎は色々とおかしかった。


 まず、良く見ると非常に大きい。

 普通の兎より二回り――いやもっと大きいだろう。

 小型の犬くらいの大きさである。


 更におでこの部分に先端のない角のようなものが付いていた。

「兎なのに角が生えてて大きいのですがこれが普通ですか?」

 三世の質問に田中は頷いた。

「はい。最初はびっくりしました。実はこれがこの世界での普通でして……いつも見かける村周辺や町で飼ってる兎は変異種になります」

「へー。そうなんですね」

「おそらくですが、昔の転生者の人が苦労して改良して私達の元の世界の動物に近づけたのでしょう。危険を減らして食料を安定供給させるために。ちなみに狩った証拠はこうして角を切り取ります」

 田中は手にもってる角を見せて、その後に三世作の革製小物入れに入れた。


「食料も毛皮も二束三文となります。解体したい気持ちもありますが……血の臭いを残すのが少々怖いので今回は解体せずこのままにして次に行きます」

 全員が頷くのを確認してから田中が指令を出した。


「作戦準備」

 全員が最初の隊列に並んだ。

「開始」

 そのまま出来るだけ音を立てず、行進を開始した。




 そこから同じような行動を繰り返した。

 その間の成果は……一羽の兎を狩り、鹿一頭に逃げられるというあまり芳しくないものだった。

 鹿は相性が悪いらしい。

 機動力と聴覚に優れ、接近に対して恐ろしい速度で脱走するため、今このPTでは安定して狩猟する手段がない。

 能力的にはいけそうではあるのだが……今の連携だと少々不安である。

 なので今後鹿は初手の矢を外した場合は放置する方向性に決定した。


「兎二羽だけですか……。なかなかうまくいきませんね」

 三世はそう呟いた。

 何回か生き物の気配自体はあったのだが、逃げられるかこちらが確認する前にいなくなっていた。

「ペース的にはまだ大丈夫です。むしろそろそろ兎より大型が増えてくるので注意を怠らないようにしてください」

 田中の呟きに全員は首を縦に動かした。


 ここからは少々作戦を変更する。

 まず、敵戦力が向上する可能性が高い為リスクの高い突撃指令はこれ以降封印する。

 そしてそのサインをそのまま牽制に変更する。

 弓で撃ち、ルゥを前衛に回す。そしてそのまま連携を維持。相手が離脱か接近するまで弓と三世がその辺で拾った石での投石で戦うというものである。


「作戦準備。……開始」

 休憩を止め、また行進を開始した。




 行進を続けているとルゥが三世に合図を出してきた。

 なにやらルゥの様子が緊張したような恐れているような雰囲気だった。


 即座に三世は前方後方に同時に停止のサインと状況確認のサインを出す。

 ルゥはぴこぴこと耳を動かしている。


 田中が合図を出した。

 その合図を三世は田所に回し、全員で反転し後ろを向く。

 三世はルゥに指示を出し、ルゥはその指示に従い田中の前に出て盾でカバーリングを開始した瞬間――草むらから何かが現れた。


 出てきたのはイノシシだった。


 三世の胸の位置くらいにある瞳の位置。

 人くらいは軽く貫通できそうな鋭く長い角。

 そしてなにより非常に重量感ある巨体。

 見た目はイノシシだがその大きさはイノシシというよりは遥かに大きすぎた。

 バッファローとかその辺りのサイズに加えての丸い体格による広い横幅。

 そんなイノシシは圧倒的な存在感を醸し出しながらこちらを睨みつけていた。


 田中から隊列変更のサインが出て、田中を後ろに下げて田所が前に行く。その間をルゥが守る。

 しかしイノシシは悠長に待ってくれなかった。

 こちらが隊列を変更している最中に、そのまま猛烈な勢いで突進をしてきた。


 三世は投石を試みる。が、頭に当たっても傷一つつかず怯みもしなかった。

 三世は田中と田所二人に『右に離脱』という合図を出し、同時にルゥに別のサインを出す。


 ルゥには適当な指示、サインであってもかなりの意図が伝わる。

 それはほとんどテレパシーに近い。

 おそらく首輪の影響だろう。

 ルゥに出したサインは『後方に引きながら耐えろ』

 見習い冒険者程度の経験では間違いなく耐えられないだろう。

 特に体が大きくなってまだ時間がたってないルゥは体の使い方が圧倒的に下手である。


 それでも、三世はルゥを信じていた。

 獣人という身体能力で盾はマリウス製。

 そして手に装備しているガントレットはあらゆる意味で特別製である。


 ドギャ。


 車が衝突したような激しい音と同時にルゥは大きくふっ飛んだ。

 盾の隙間からルゥはサムズアップをして見せ。

 無事のサインである。

 どうやら自分から後方に飛び衝撃を殺したらしい。


 その間に三世は腰を落として、槍を強く突いた。

 刺さった感触と痛みからであろうイノシシの甲高い奇声が三世の不快感を増大させる。


 追撃とばかりに田所が両手で剣を握りしめ、全力で振り下ろした。

 ざくっと心地良い音と共に血が飛び散る。

 本来なら首を落とす事を狙った一撃だったが、イノシシは身をよじって回避していた。

 田所の剣は前足をかすめたに過ぎなかった。


「右に移動!」

 田中が叫ぶ。


 三世と田所が右に跳ぶように移動した。

 それをイノシシが回り込み、再度突進するようなそぶりを見せる。

「ルゥ」

 三世の呟きに反応し、ルゥは突進してくるイノシシの頭を側面から、盾で殴打した。


 大きな鈍い打撃音と共に、イノシシは足を止めよろよろとしていた。

 もしかしたら今までで一番大きなダメージを与えたかもしれない。

「三世、右に二歩、田所そのまま攻撃!」

 田中の指示に反応し三世は指示通り移動する。

 同士討ちの可能性を避ける為だろう。


 三世が横に二歩ステップをしたのを見て田所が剣を振りぬく。

 ギンッと固い音がした後、牙が一本折れた。

 イノシシの口元から血が噴出す。

 田中が三世に合図を出しながらを別の指示を発する。

「左後方移動!」

 三世は左に移動しながら、田中の合図をルゥに伝える。

「ルゥ。盾!」

 それだけでルゥには伝わる。

 最後の力を振り絞ってか、イノシシががむしゃらな突進をしてくる。

 その位置はさきほど三世がいた位置である。

 しかし、田中の指示により三世は既に移動を終え、代わりにルゥが待機して盾を構えている。

 更にその後ろに三人。

 それでもイノシシは行動を止めずに全力の突進をしてきた。


「ルゥ。左!」

 三世の叫びにルゥが盾を左に僅かに傾ける。

 角の無い位置の頭と盾が接触し――そのままイノシシは滑るように盾から流され、バランスを崩して転倒した。

「田所」

 田中が一言発する。

 それは何の指令でもない。

 もう作戦も必要なかった。


 田所はイノシシの頭に剣をつき立てた。

 イノシシは何の反応も見せず、悲鳴すら上げずに絶命した。


「……心臓止まった。もう大丈夫だよ」

 ルゥがそう一言発し戦闘は終了した。


「周囲警戒」

 田中の言葉に三人は周囲警戒を開始する。


 そして警戒が終わり全員でイノシシ付近に集まり休んだ。

「お疲れ様でした。さてここで問題が一つ。イノシシをどうしましょうか?」

 田中が笑顔で尋ねてきた。

 その顔は困ったというよりは嬉しい悲鳴に近いように思えた。


「どうとは?」

 三世が尋ねる。

「イノシシの牙はそこそこで売れるので確保。狩猟の証拠にもなりますし。肉なんですがどうしましょうか?」

「放置ではないのか?」

 田所が聞いてくる。

「イノシシの肉はそれなりに良い値段で売れます。まあ今回は高価な部位だけしか持って帰れませんがそれでも銀貨二十枚くらいにはなりますね」

「ふむ。銀貨二十枚と解体により血で獣をおびき寄せる危険ですか。……どうしましょうか?」

 三世が回りに意見を聞くが田中が笑顔で指を刺した。

 指を刺した方向にはよだれをたらしながらイノシシを見つめるルゥだった。


「すいません。私買い取りますので持ち帰りでお願いします」

 そんな三世の言葉に田中は首を横に振った。


「冒険成功祝いに皆で狩った肉を食べるって良くないですか?」

 田中が微笑んでいる理由が何となく理解できた。

 自分で狩った肉を食べる。

 それは確かに、冒険の浪漫とも言えるだろう。


 理解した田所と三世は笑顔で頷きあった。

 ルゥはよだれを垂らしているままだった。

 そのまま田中が器用にナイフでイノシシを切り分け、二キロほどの肉を丁寧に金属製の箱に入れる。

「その箱は?」

 三世が尋ねる。

「ああ。ただの箱です。ただし周囲に保冷材を詰めて更に本体もギリギリの時間まで冷やしてあります。まあ保冷バッグほど保ちませんが……それでも帰るくらいまでは鮮度を維持できるでしょう」

「なるほど。全部準備させてすいません」

「いえいえ。戦闘全部任せてますから大丈夫ですよ」

 田中がそう答えると、田所は金属鎧の胸の部分をコンと叩いた。


「おう。戦闘関係は俺に任せてくれ。ただし撤退の合図は頼むな。俺は考えん」

 田所の言葉に二人が笑った。




 それなりに成果を得られ、これで帰っても依頼達成となる。

 しかし、時間も体力もまだまだ余裕ある。

 そう三人で相談した結果、もう少し深くまで進む事にした。


 撤退は時間の経過、または誰か一人でも疲労感を覚えた場合、それか集中力の維持が困難になった場合に決めた。


 そして行進中に同じようにルゥが三世に合図して止まる。

 全員で構えていると前からイノシシが出てきた。

 ただし先ほどのよりは少々小さい。

 倒すのは難しくないだろう。

 どうしようかと考え、三世は田中のほうを向いた後ルゥの顔を見て――察した。


「撤退! 撤退!」

 三世は声を張り上げた。

 二度撤退を繰り返し叫ぶ。

 これは事前に決めたサインである。

 内容は『危機的状況である為速やかに撤退すべき』である。


 ルゥが盾をかまえながら全員で走るように撤退を開始した。

 幸か不幸か、イノシシは追ってこなかった。




「状況報告」

 田中の声に三世がさきほどの答え合わせも兼ねて答える。

「子持ちのイノシシが別にいた可能性大。近場に他数匹群れていた可能性が高かったです」

 三世の言葉にルゥがぶんぶんと何度も頷く。

 ルゥはあの瞬間顔が青くなって何を言おうか悩んだ。

 何を言えば良いかわからずルゥはパニックになっていた。


 だが、それが正解だった。

 ルゥに『触れて診た』三世がルゥが恐怖状態にかかったのを確認してから。撤退の指示を出した。

「なるほどわかりました。ルゥちゃん、三世さん、本当に助かりました。二匹で来られたらたぶん勝てませんし、三匹以上との戦闘ならほぼ死にます」

 イノシシは基本単独行動な為少々油断していた部分もあった。

 もしルゥの発見が遅れ戦闘が開始された場合絶体絶命の危機に陥っていただろう。


「確かに、育児中などを理由に複数体群れることが稀にあると見たことあります。今回は運がなかった……いえ、生存出来て運が良かったと思い帰りましょうか」

 緊張した後安堵したからか、全員思ったよりも疲労が溜まっていた。

 特に索敵の要であるルゥの疲労は誰が見てもわかるほどだ。

 田中の提案に、全員賛成を示す為に頷いた。


 一同は反転し、行きと同じ隊列を組んでから帰り道を進み始めた。

 行きと全く同じ道を。


ありがとうございました。

現代知識のチートって面白いですが実際の知識で考えたら非常に難しいんですよね。

例えば定番のマヨネーズですが

史実だとマヨネーズが流行るまで百年ほど時間がかかりました。

貴族が慣れてない上に高価な卵をソースに使う発想が無かったからです。

それでも一部の料理人が必死に説得し長い時間残してPRし続けたため今のマヨネーズがあります。

でも私はあまりマヨネーズが好きではありません。ケチャップがすきです。


では再度ありがとうございました。

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