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冒険に必要なもの

2018/12/12

リメイク



ありがとうございました。

山場を書くのも平坦な道を書くのも楽しいです。

でもいつもこれでいいのかという自問自答を繰り返します。

本当に楽しんでもらえるのか。理解できる文が書けているか。

いつも悩みます。

それでも書き続けるのは読んでくれる人がいるからです。

よろしければお付き合いお願いします。

 三世は剣を持ち両手を振り上げた。

 基本的な構えの一つ、上段の構えである。

 正面をしっかりと見据え、腕に力を入れ――。

 そのまま思いっきり、剣を虚空に振り下ろした。

 文字通りの全力、渾身の一振り。

 そしてそれを――。


「止めておけ」

 マリウスは三世を見てそう呟きストップをかけた。


「正直、今のままでは剣を使うのは絶対に無理だ」

「ですよね。自分でもそう思います」

 マリウスの忠告に三世はこくんと頷いた。

 正直わかってた。

 自分には、才能がない。




 三世は鉄級冒険者ということでマリウスに武器のアドバイスを貰うとした。

 そして剣を試すこととなったのだが、少し触れただけでこれは無理だなと悟った。

 柄を持った瞬間に手首に大きな違和感を覚える。

 技量や才能以前に、単純に剣の重さに体が負けていた。


 これでも剣の中では片手でも持てる軽い物の為、これ以上軽い剣となると短剣相当になる。

 そうなると、今度は接近する必要が出てくる為、初心者には無理である。


「――これしかないか」

 マリウスはそう呟き、槍を家から持ってきて三世に渡した。

 樫で出来た長い棒の先端に小さな刃がついていた。


「とりあえず両手で腰をいれて突く。それだけだ」

 三世はマリウスの言葉に頷き、構えてみる。

 その恰好は恐ろしいまでに不格好である。

 慣れてないのもあるが、へっぴり腰なのも理由の一つである。

 気分はさながら、一揆をおこす農民である。

 

「最初はそれでいい。格好つけず、弱くても、まずは一撃。遠くからあてることだけを考えろ」

 剣のように振るわけではないから味方を阻害せず同士討ちの可能性も少ない。

 槍という武装は初心者に勧めやすい武装である。


「出来たら弓を使いたいんだが……練習時間が足りなくて実戦では不安が残る」

 マリウスはそう呟いた。

「では私は槍を練習しつつ将来的には弓が使えればいいのですか」

「そうだな。だがそれだと皮に穴が開くから素材としては使い物にならなくなるぞ」

 そう言われて、三世は倒した後の事まで考えていない事に気が付いた。

 メインは革の職人志望である三世は、革の調達方法を重視するのは当たり前の話だった。


「あー。参考までに、師匠はどうしてますか?」

「ん。普段は弓で皮素材のときは手斧で頭落としてるな」

 それはマリウスの筋力と体格だからこその方法だった。


「……私も何か考えておかないといけませんね」

「まあお前ならなんとかなるだろ。それよりは、今は目の前の槍の練習だ」

「はい!」

 三世は頷き、マリウスの指導通り体を動かし続けた。


 最初三世は約束の冒険に間に合わせる為、一週間でそれっぽい装備を作り揃えようと考えマリウスに頼んだ。

「というわけで一週間ほどのちに冒険者としての出番がありますので、それまでになんとか全身形にしたいのですが」

 そして師匠は首を傾げ一言呟いた。


「なぜ自分で全部作ろうとしてるんだ」


 そう言われ、気が付いた。

 別に買えば良かったんだと。

 どうやら頭の中に農業系アイドル的発想のごとく、作る事が最も正しいという考えが染み付いていたらしい。


「俺が適当によさげなのを見繕ってやろう。いくらくらい出せる?」

 三世はルゥのほうに目を向け、ルゥは無言で小物入れを三世に手渡した。

「私が金貨五枚、ルゥが金貨十枚ですね」

「……お前らは一体何を買おうと思ってるんだ」

「いえ相場わからないので師匠に全部任せようかと」

「はぁ。じゃあ一人金貨一枚で入門向けの防具そろえてやる」

 マリウスは苦笑いを浮かべ、そう提案した。




 マリウスはその場で男性用女性用の冒険者用軽装を一式ずつ用意した。

 一度も身に着けておらず、サイズも申告してないのにぴったりと体にフィットしたソレはまるであつらえたかのようだった。



 まずは膝下まである長いレザーブーツ。

 自分が作る日常用と違い全体的に革が厚く、先端には金属が埋め込まれていた。


 次にレザーアーマー。

 ただし肩や胴の一部などは金属を使用した部分金属製。

 金属の割には、ほとんど重さを感じなかった。


 そして最後に三世のほうにだけレザーヘルメットがついていた。

 おでこあたりに金属の板が埋められている。

 獣人は帽子をつけると音が拾いにくくなるし、頭蓋骨の方が固いくらいだからヘルメット系はあまり装着しないらしい。

 何より、ルゥ本人も耳が塞がる事を嫌がった。


「あとは長めのレザーマントをいつもつけておけ。生活必需だあれは」

 マリウスの言葉に三世は頷いた。

「これすごいすごい!」

 ルゥが飛び跳ねる。

「どれだけ走っても飛んでも髪に絡まないよこれ!」

 ルゥの髪は足首近くまである。

 身体能力が高いからか器用だからか日常生活はさほど問題にならないが、それでも服にはよく絡まって三世が外していた。

 それが一切ないという事は、マリウスがその問題を理解し解消したという事になる。

 


 ルゥのレザーアーマーは三世と違い完全非金属製で、小さくシンプルにまとまっていた。

 更に髪の上から腰したまである長いコートのような服をその上に羽織っている。

 非常に触り心地のいい綿のような、それでいてツルツルとした材質。

 この上着に、髪が衣服に絡まなくする仕掛けがあるのだろう。

「さすが師匠。おみそれしました」

「うむ」

 マリウスは嬉しそうに頷いた。


「ああ。でもそのコート洗うときは私に任せてね」

 ルカがルゥのコートを指差しながら言った。

「なぜですか?」

「それウールだから縮むのよ上手に洗わないと」

「師匠ウール加工できたのですか」

「布でも皮でも。初歩なら鉄でも出来るぞ」

 まだまだ頂上は遠い。

 三世はそう思い、何故か嬉しくなった。


「とりあえず、当日までに出来るだけ形にするぞ」

 これは衣服の事ではなく、冒険者の技量や戦闘能力という意味である。

 マリウスの言葉に三世とルゥは頷いた。




 そして冒頭の槍の話に戻る。

 確かに、剣を振った時よりはマシである。

 だが、思った以上に難しく、力が槍に伝わらない。

 槍を突くという動作だけなのだが、それすらも満足に出来なかった。

 運動不足を抱えた三十台半ばという現実が重くのしかかっていた。


 ルゥの方もどうやら問題があるらしく、獣人という種族的な性質の為運動神経は非常に良いのだが……代わりに武器選びでは三世以上に苦戦していた。

 移動速度が速すぎて速度に適した武器が少ない。

 そもそも、それ以前にルゥは武器を持つ事自体を嫌がった。

 不器用というわけではないが、どうもうまく使えないらしい。




 そんなこんなで無為に時間だけが過ぎ、今日の訓練は終了した。

 ルゥは武器をぶんぶん振り回しただけで終わり、三世はへっぴり腰のよわよわ突き以上を身につける事は出来なかった。


 訓練が終わった後、三世はある事に気が付いた。

 それはスキルの補正はとても大きいという事だ。

 一日どころか徹夜でぶっ続けで作業を行っても、それが器用にかかわる物だと軽々と成し遂げる事が出来た。


 だが、全身を動かす作業はそんな事がなく、二時間ほどで三世はへばり地に伏した。

 もう起き上がる体力すら残っておらず、首から下は置物と化した。

「うむ。完全に運動不足だな」

「そうですね」

 マリウスの言葉に、三世は寝ころんだ姿勢のまま答える。

「とりあえず毎朝ランニングだけでもしてみたらいい。冒険者は一に逃げ足、二に体力だ」

「了解しました」

 寝ころんだまま返事をする三世に、マリウスは一抹の不安を覚えた。


 起き上がる体力が当分湧いてくる気がしない為、三世は申し訳ない気持ちを膨らましつつ、ルゥに家まで運ぶようお願いした。

 体力に有り余ったルゥは喜んで頷き、三世を担ぎ上げ抱えた。

 お米様だっこで――。


 家に連れ帰ってもらった後は体力回復するまで二人でぐだぐだし、歩けるようになるとマリウス宅に向かい夕飯を御馳走になり、帰ってシャワーを浴びてさっさと寝た。

 今日だけは、何もする気が起きなかった。





 翌朝、襲い掛かる筋肉痛と戦いながら三世は軽く三十分ほどのジョギングで汗を流し、シャワーを浴びてからマリウス宅にルゥと共に向かい朝食を頂く。

 変に遠慮すると怒るルカのおかげか、それともここが恐ろしいほどに居心地が良いおかげか、三世は共に食事を食べる事に違和感を覚えなくなっていた。


 そして朝食を終えるとマリウスの仕事を一時間ほど手伝い、二日目の訓練の時間が始まった。




 二日目は初日の課題と向き合う事を中心に訓練を行った。

 つまり、三世は槍の突きと体力強化。

 ルゥは適した武器を探す事である。


 それでも一日ではそう上手くいかず、三日、四日と同じ事をする日々が続いた。


 四日目の終わり、マリウスは三世に小さく微笑み呟いた。

「ルゥに合う武器。見つかったぞ」

 マリウスが持ってきて見せた物は大盾だった。


 木材を基本にわずかな金属での補強をされた長方形と逆三角形が組み合わさったような長く大きな盾。

 それに革を貼って耐久を更に底上げしていた。


「盾ですか?」

「ああ。本人の希望と体力。出来ることを考えたらこれが一番だ。というよりもこれ以外なかった」

「なるほど」

 ルゥが前に出るのは少々複雑だが、自分より出来る人間を子供だからと奥に引っ込めるのは良くない。

 間違いなく能力は三世よりも数段優れているのだから。

 三世はそう自分に言い聞かせ、納得させることにした。


「今日から練習を模擬戦に変更する。練習用の棒をヤツヒサに。盾をルゥに渡す。それで俺から一本取ってみろ」

 そう言った後マリウスは練習用の棒と盾を持ち、こちらに向いて構えを取った。

 三世とルゥは見つめ合った後、頷きマリウスの方を向いた。




 作戦自体はシンプル、というよりも二人で出来る事は一つしかなかった。

 ルゥが盾で受け止め、その隙を三世が棒で突く。

 渡された武器と覚えた事で言えば、他に何もなかった。

 と言っても、実力差がありすぎてそのたった一つすら、三世達は満足に行えなかった。


 三世が棒を突けば反撃で吹っ飛ばされる。

 ルゥは盾を構えても盾以外の部位を狙われ武器を弾くどころか盾で止める事すら困難だった。


 またうまく盾で攻撃を受けとめても、力を流せずルゥは後ろにふっ飛びその隙に三世が攻撃される。

 最初の模擬戦は、マリウスにボコボコにされて時間切れとなった。


 次の日も同じ訓練をする。

 事前にルゥと相談し、連携の練習をしていた。

 さすがにルゥもあれだけ良いようにされたのは悔しかったらしく、二人で色々試しながら連携を考えた。

 三世がルゥの後ろにつき、ルゥを支えつつチャンスを狙う。

 ついでにルゥが吹っ飛びそうになったら三世が支える。

 そういう作戦だった。


「甘い」


 マリウスは小さく呟き、ルゥの持っていた盾を棒で叩き、破壊した。

 

「今回は答えを言わない。繰り返して覚えろ」

 そう呟きながらマリウスは新しく練習用の木の盾をルゥに渡した。


 マリウスは出来ないことを言う人ではないと三世は知っていた。

 だからその言葉を信じ、三世とルゥはマリウスに何度も挑みかかった。


 マリウスとの模擬戦と基礎トレーニング。

 基礎トレーニングは特に逃げ足を重点的に鍛えた。

 そしてマリウスの店の手伝いをして夕食を頂き、家に帰った。


 今日もまた終わる事には三世は疲れきってしまい、ルゥにいつものお米様だっこで家に連れて帰ってもらう。

 ルゥのほうは体力は全然余裕そうだった。

 ただ、体は二人とも傷だらけである。

「うまくいかない……」

 ルゥがそう呟き、落ち込んでいた。

「一歩ずつがんばっていきましょう」

 体をもぞもぞとさせながら三世はそう呟いた。

 うまくいかなくても諦めない。

 それで駄目でもいじけない。

 ルゥにそんな話をうとうととしつつ、三世は眠りに落ちた。


 気づいたらルゥと一緒のベッドに寝ているが疲れ果てた三世は気が付いていなかった。




 次の日の訓練も成果が出なかった。


 それでも、ルゥはやる気に溢れていた。

 家に帰ってルゥは三世にこう言った。

「いけそうだけど無理」

 そう呟くルゥに三世は首を傾げる。

 どうも言葉にしにくいが攻略法が見つかったらしい。

 何度か三世は質問をしてルゥに思いついた事、気づいた事を尋ねた。

 その結果、言いたい事は理解したし、確かにその方法ならうまくいくかもしれない。

 そんなルゥの提案を中心に、明日は試してみる事に決定した。

 

「がんばるぞー」

 ルゥが拳を振り上げ声を上げた。

 三世は手を上げる元気さえない為、寝たままおーと力ない返事を返した。




 そして次の日。

 残念ながら今日が最後の練習である。

 城下町への移動時間を考えるともう日数の猶予がないからだ。

 せめて一矢報いようと三世は筋肉痛で痛む体に鞭を打つ。


 三世が後ろに立ちルゥを支えつつ盾にする。

 ここまでは今まで通りである。

 違うのは、狙いを付けられないように横軸移動を中心に二人は動き続けていた。

 何度攻撃を受けても、足を止めず、常に移動を続け攻撃を受け続ける。


 そして五分ほどそうして攻撃を受け流していると、チャンスが回ってきた。

 マリウスの盾すら貫く強力な突き攻撃。

 ただし今までと違い、今回は軸をとらえきれずの攻撃である。

「左に!」

 三世は叫んだ。

 それに合わせてルゥは両手に構える盾をわずかに左側面にズラした。


 マリウスの攻撃が当たった瞬間、かこっと軽い音が響きマリウスの棒が左側に流れ、同時にマリウスは体勢を崩した。

 三世はその隙を逃さず、ルゥの後ろから右腕を全力で捻りながら棒をねじ込み突いた。

 今までのへっぴり腰ではなく、しっかりと勢いと威力の乗った突き。

 それをマリウスは、棒を捨てながら強引にジャンプして回避する。

 かなり良い攻撃だと思ったが、残念ながら決定打には至らなかった。


「一本。俺の負けだ」

 だが、そんな三世の考えとは裏腹に、マリウスは静かにそう呟いた。

「でも当てられませんでしたよ」

「武器を捨てさせられた。十分な勝ちだ。今日はしっかり体を休めて明日に備えろ」

 小さく微笑みながらのマリウスの言葉に、ルゥと三世は満面の笑みを浮かべた。


「ありがとうございました!」

 二人は声を揃えながら礼を言った。


「今日は前祝いだ。フィツの所で予約とっている。金はもう払ってるから夕飯は二人で食べろ。店の手伝いは今日はいい。その代わり今日は冒険の準備を二人でしっかりとするんだ」

 そう言いながらマリウスは静かに去っていった。


「えへへ。明日はがんばろうね!」

 ぐっと両手を構えてルゥがやる気に溢れていた。

「そうですね。一緒にがんばりましょう」

 三世がそう答えると、ルゥは更にやる気に溢れたらしく目を輝かせた。


『一緒にがんばれる』

 それがルゥにとって、何よりも嬉しい事だった。


 三世はルゥとフィツ食事亭に向かい、豪勢な食事を食べた。

 フィツは事前にルカから色々と聞いたらしく「ちゃんと帰ってこいよ」と呟きながらデザートにとても大きなホットケーキをルゥと三世に出した。

「わー!」

 他に何も言わず、ルゥはフォークとナイフを両手に持ちながら目を輝かせていた。


「そう言えば……ちょうどいいからキャラメルのレシピの使用料払っておくな」

「別にいつでもいいですのに」

 フィツの言葉に三世はそう返した。

 どうせ銅五十枚だからとそれほど三世は重要視してなかった。


「ほれ。銀貨四十四枚」

 そう言いながら、ジャラっと重たそうな音のする布袋を三世のテーブルに置いた。

「ん。んん?……んんん!!!!????」

 三世は頭が混乱していた。


「何かおかしくないですか?」

「え? 一個売るごとに銅貨五十枚だから合ってるぞ」

「んー。え、ええー」

 三世は頭が混乱しながら受け取った。

 何故かわからないが、妙に罪悪感を覚えていた。


「結構売れてるし口コミの評判もいい。またいいのあったら教えてくれよ」

 フィツは嬉しそうに三世にそう伝えた。

「は、はい。何か出来ましたら是非」

 次はもっとしっかり話してレシピを渡そう。

 そう三世は心に誓いながら頷いた。


「あとこのキャラメル路上販売とかしていいか?」

「ああどうぞどうぞ。温度に気をつけて食中毒に用心してくれるなら好きにしてください」

「おう。それは約束する」

 フィツは楽しそうにそう話した。

 ルゥは大きなホットケーキに目を丸くさせながら大きく切り分けて口に入れ続けていた。






 次の日に三世はルゥを連れ馬車に乗り込んだ

 今回はメープルさんではなく、普通の馬車の為城下町まで非常に時間がかかる。

 その為、約束の日である明日の為に前日入りする必要があった。


 城下町に到着した三世が目にしたのは、こちらを待っていたコルネだった。

 コルネはルゥと手を繋ぎながら三世を宿泊宿に案内した。

 部屋割りは一人部屋一つ。

 コルネがルゥと一緒に寝たいと言い、ルゥもそれに了承した為ルゥは別宿となった。


 久々の一人部屋で、一人寝である。

 三世はゆっくりと羽を伸ばし、普段はしないごろごろ寝転がりながらの食事を摂った。

 ルゥが見ているため普段はそれなりに正しい真っ当な生活を心掛けていたが、実際はそういった事に頓着しない性格である。

 食事は菓子パン。寝るのは椅子。

 掃除は精々半年に一度。

 そんな生活をしていた事さえあったくらいだ。


 ゴロゴロと怠惰な上げ膳据え膳の快適な食事を終えた三世は、明日の為に就寝の準備を終えさっさと目を閉じた。

 何故かわからないが、三世は無性に部屋が広く感じられた。




 そして、とうとう約束の日が訪れた。

 ルゥと共にギルドの前に行くと、田中と田所は既に三世達を待っていた。


 田所は金属中心の装備。

 重装甲の鎧というわけではないが、それでもほぼ完全な金属鎧。

 重厚そうな金属の光沢がかなりの威圧感を醸し出していた。

 武器は剣を腰に、背中に弓を装備していた。


 田中は顔以外全てを覆い隠せるようなローブを纏っていた。

 そして胸には黄色のペンダント。

 見える範囲ではそれしかわからない。

 物語やゲームなどの典型的な魔法使いのような見た目だった。

 

 二人はやる気に満ちていて、それでいて楽しそうに口角を上げていた。

 一言で言うと()()()()した顔をしているのだ。

 そして自分も二人と同じような表情をしている事に、三世は気が付いた。




極力エグいところや欝になりやすいシーンは書かないようにしています。

何故なら私の好きな作品を書く人がそんな感じだからです。

それでも私が思う以上に、キャラクターは勝手に動きます(ました)。

時に残酷に時に予想以上にかっこよく。

そんな感じですので読んでいただけたら幸いです。


それでは再度。ありがとうございました。

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