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その大群とは仲良く喧嘩出来そうにない

 

 それは三世にとっての地獄のような時間だった。

 恩師であるマリウスの突然の変異。

 それを笑うというのは、師の恩に反する行為と言っても良い。

 だが、大きな体格で、しかも普段は大人しく変わったことをしないマリウスの耳に、ぽんと猫耳が生えている。

 笑ってはいけない。

 しかし――その破壊力は尋常ではなかった。


 その上、ドロシーが真横で、全力で腹を抱えて笑っている。

 つられそうになるのを我慢し、三世は笑うのを必死に堪えた。

 ――失礼だから笑ってはならない。笑ってはいけないんだ……。

 その思いで下を向きながら、頰の引きつりに耐え、笑いを堪える。

 だが、プルプルと肩を震わせている為周りから笑うのを我慢していることはバレバレだった。


 シャルトも同じように、下を向いて震えていた。

 自分の主が笑うのを堪えているのだから笑うわけにはいけない。

 しかも、相手は主の目上なのだ。

 無礼を働こうものなら、主である三世の格すら落とす。

 その思いで、シャルトは三世と同じように仲良くぷるぷるしていた。


 ルゥは特に笑うこともなく、興味深そうに口を半開きにさせたまま、マリウスの頭をじーっと見つめていた。

 またその様子が妙にシュールで笑いを誘う。

 箸が転ぶだけでも笑いそうな、限界ギリギリの状態の三世とシャルトに、ルゥの仕草はかなり危険だった。

 ドロシーが何も気にせず笑っていることが、心底羨ましかった……。


 ――とにかく、時間を稼がないといけません。

 笑いのピークが過ぎるまで耐えたら大丈夫と考え、三世は下を向いて、ただ時が過ごすのを待った。


 三世は頭の中を空っぽにし、平常心を取り戻す努力を始めた。

 普段なら動物の事を考えたら良いのだが、今はそれが悪手となる。

 動物から連想が始まり、猫耳マリウスという恐ろしい単語が頭にちらつくからだ。


 考えないようにすればするほど、猫耳マリウスが頭をよぎり、ちっとも冷静になれない三世に、誰かがとんとんと肩を叩いた。

 三世がその方向を向くと、マリウスが顔を近づけて三世の方を見ていた。

「ヤツヒサ。これはどんな動物だ?」

 そう言いながら、マリウスは頭を下げて自分の耳を指差した。

 まじめな顔なのが非常にずるいと思いつつ、三世は震えながら答える。

「猫科……の動物で……一般的なっ……立ち耳……ふぅー。たぶんですが……シャルトと同じ種族と予想できます」

 シャルトはびくっと反応し、さっき以上に肩を震わせ出した。

「そうか。ちなみに鳴き声はどんなのだ?」

「ぐっ!」

 突然の質問に三世は軽く噴出ふきだした。

 それを抑え込み、とにかく無の境地を目指すような心境になり、マリウスの質問に答える。

 この状況で頭の中を空にして無の境地に行きつけたら、悟りが開けそうだと三世は思った。

「にゃー。だと思います……」

 それだけ言って三世はさっとマリウスから目をそらした。

 マリウスはもう一度、三世の肩を叩く。

 それに反応し、三世はマリウスに顔を向ける。

 そして、マリウスは低音を響かせるように呟いた。

「にゃー」

 三世とシャルトの我慢しないといけないという決意は、ぽっきりと折れた。


 十五分ほど地面に跪きながら笑い続け、何とか冷静になったところで、自分の耳も猫耳になっていることに三世はようやく気付いた。




 まず、全員が猫耳になっている。

 マリウスショックが大きすぎて気づかなかったが、ドロシーにも、更にルゥの耳も猫耳になっていた。

 次に、これは幻覚などではなく実際の変化だ。

 元に戻そうとドロシーが色々魔術で行ってみたが、無理だった。

 状態を戻すことに失敗しただけでなく、別の獣人や人に変化させることすら無理で、この階層では猫耳に固定されるらしい。

 触ると感覚もあるが、聞こえる音は普通の耳の位置から聞こえる為、機能が完全に変化したわけではないらしい。

 だから聞こえる音域や音量も、三世は人間のままだった。


 最後に、ドロシーもマリウスも三世の治療の対象にならなかった。

 つまり、猫耳は生えているが獣人ではないらしい。


「ヤツヒサ。何か思い当たることはあるかにゃー?」

 猫耳マリウスの質問に、三世は肩を震わせながら答える。

「師匠。それ止めてください。本当にダメです……それで思いあたることとはどういうことでしょうか?」

 どうやらマリウスは割と猫耳が気に入ったらしい。

「ああ。この耳に固定化した意味や目的だ。または事前の資料で何か情報は無いか?」

 三世は首を横に振った。

「いえ。資料にも耳が生えたというのはありませんでした。そして、目的ですが……推測程度で確証が無いですが……」

「推測でも良いから聴かせて欲しい」

 真剣な様子に戻ったマリウスに、三世は頷いた。

 まじめな表情もそれはそれで辛い為、三世は上を向いて顔を見ないようにしながら答えた。

「私のいた世界では、猫と言えば対になる動物がいます。おそらく、それがらみでしょう」

「その動物の名前は?」

「……鼠です」

 三世とマリウスがまじめな話をしている中、ルゥ、シャルト、ドロシーは耳を中心に、三人でじゃれ合っていた。

 そのきゃぴきゃぴした雰囲気におっさんが割り込む勇気はなく、二人のおっさんは話を続けることにした。


「私のいた世界では猫がネズミを捕るというのが世界共通、暗黙の了解みたいなものでした。なので、鼠がらみの何かがあると思います」

 三世は二十一階であるこの階層の周囲を見回した。

 石造りのダンジョンだが、天井に丸みがあり薄暗い。

 どことなく下水や地下のような雰囲気になっている。

 ぽたっぽたっと水滴が天井から滴り、衛生的にあまりよろしくない場所のように作られていた。

 ただ、下水の匂いがあるわけでもなく、また水溜まりも発生していないため、衛生が悪いわけではなく、悪いような雰囲気になっているだけのようだ。

「ふむ。とりあえず進むしかないか」

 マリウスの言葉に三世は頷いた。

 女性陣がきゃっきゃと猫らしくじゃれているのを止めるまで待ち、全員で集中してダンジョンアタックを再開した。


「一つだけよかったのは、この階層の情報が売れると言うことです。あまり高く無いとは思いますが」

 強制的に耳を変化させるというダンジョンの情報はまだ出ていなかった。

 その上、三世のスキルにより、『耳は変化したが獣人にはなっていない』という情報も付与されるため、その情報は多少の値段で買い取ってもらえるだろう。

「ヤツヒサさんにおんぶにだっこも良くないから、出来たら他に収入が欲しいにゃー」

 ドロシーが楽しそうにそう言った。

 マリウスと違い、可愛いので違和感は全くなかった。


「んー。ねぇねぇヤツヒサ。この地面の。何かな?」

 ルゥがそう言いながら、指を地面に差して尋ねてきた。

「わかりません。気にはなるのですが」

 そう、三世は地面に真っすぐ伸びている白い三本の線を見ながら答えた。

 病院の案内のようなその線が何を示しているのか、三世には予想も付かなかった。


 マッピングをしながら先に進むと、分かれ道があった。

 まっすぐな道の右手の壁に穴が出来ていて、その穴の方には線が書かれていない。

 三本のまっすぐな線は正しい道、または枝分かれしていない中央の道という意味だろうか。

「どちらに行きますか?」

 三世が全員にそう尋ねると、マリウスはまっすぐの道を示した。

「とりあえず、この線の通りに進んでみよう」

 マリウスの言葉に女性陣三人は頷き、三本線の示す通りに進んだ。


 そこから十分、三本線の道は緩やかなカーブを描きながらも、大体まっすぐの道のままだった。

 途中で何度か分かれ道はあったが、道があることだけをマップに記して、更に先に進んだ。

 そのまま更に歩いていると、前方のルゥが手を横に動かしストップの合図を出した。

 一同は止まり、ルゥの方を見る。

「何か凄い音がしてる。ドドドとかゴゴゴとか」

 ルゥの言葉に三世は水を想像した。

 確かに天井は丸みをおびていて、地下水道みたいな道の為、ここに水が通ってもおかしくないだろう。

 だが、三世達の前に出てきたのはその想像の遥か斜め上だった。


 地響きにも似た轟音が三世にも聞こえるほどになり、その正体が正面から現れた。

 それは鼠だった。

 とても大きいとか、そういうことは無く、大きさも普通の鼠よりも少しだけ大きいくらいだ。

 ハムスター二匹分程度、若干肥えたネズミという印象だ。

 異常なのはその数だ。

 地面から天井まで、道の先が見えないほどぎっしりと道は鼠で埋まっていた。

 その様子はネズミの津波と呼んでも良いかもしれない。

「撤退!」

 三世が短く叫ぶと、隊列も気にせず全員で後ろに逃げた。


 逃げても逃げても追ってくる鼠の集団。

 何とか撒けないものかと考えるがうまくいかず、むしろ鼠達の速度が上がっているから逃げるどころかこのままだとネズミの波に飲まれかねない。

 フルアーマーでも無い限りは、あの中に入ったら生き残るのは難しいだろう。


 そんな状況で必死に逃げて、ふと気づいたら鼠はいなくなっていた。

「……ああ。そういうことか……」

 マリウスがそう呟いた。

 三世もマリウスが何に気づいたか理解した

「そうですね。あの三本線。ネズミの通り道のサインのようです」

 三世の言葉に、マリウスも頷いた。

 三本線の入った道しか鼠は通らず、脇道には見向きもしなかった。


 ――窮鼠じゃなくても、あの数なら猫でも気にせず噛みそうですね。

 そんなどうでも良いことを考え、その猫が今の自分だと気づき、三世は苦笑した。


 今度は細い方、線の無い通路を中心に探索した。

 線の無い通路は短く、大体五十メートルほどで端に到着する。

 鼠から逃げる為の脇道なのだろう。

 その脇道をいくつも探り、マップに記していく。


 四つ目の脇道を探っている時――カチッとスイッチを入るような音がした。

「……何か……踏んだ……」

 ルゥが下を指差しながら、悲しそうに呟いた。

 ルゥの足元には、四角いボタンのような物が置いてあった。

 次の瞬間――通路の正面が開き、鼠の集団が現れ追ってきた。

「撤退!」

 三世の叫び声に合わせ、急いで走って別の脇道の中に入った。



「ごめんなさい……」

 安全が確認された瞬間、ルゥがしょんぼりしながらそう呟いた。

 それに三世は優しく頭を撫でる。

「良いんですよ。薄暗くて見えにくいし、仕方が無いです。次は気を付けましょう」

 ルゥは小さく、こくんと頷いた。

「……ヤツヒサ。ただの好奇心だが、ちょっと良いか?」

 マリウスの言葉に三世はルゥの頭を撫でるのを止めてマリウスに向き合う。

「はい。なんでしょうか?」

「いやな。罠があって、踏んで、鼠が現れただろ?」

 三世は頷いた。

 それを聞いてルゥが少しだけ表情を落とした。

「それで鼠が襲ってきた。なら、鼠が去った今、あの罠の先は何があると思う?」

 マリウスに言われると、三世も確かにソレが気になった。

 ついでに、ドロシーが目を輝かせながら耳をピコピコと動かしている。

 好奇心の塊とも言うドロシーがこうなったら、選択肢は一つしか残されない。

「それなら、見てみましょうか」

 三世の言葉に、マリウスとドロシーは頷いた。


 鼠と鉢合わせにならないように慎重に移動し、さっきの脇道に入り、二度目の罠に気を付けながら、奥に進む。

 行き止まりの壁だった場所の先を越え、更にその奥に進むと、そこには宝箱があった。

「……ルゥ。お手柄だな」

 マリウスがそう言うと、ルゥは少しだけ嬉しそうに微笑んだ。


「ヤツヒサさん。それって何の意味があるの?」

 三世が槍を使ってチクチクと宝箱を突いた後に、槍で離れた場所から宝箱を開けようとするのを見て、ドロシーが尋ねた。

「罠対策と、あと、宝箱に擬態する魔物対策ですね」

「宝箱に擬態。恐ろしい発想ね本当に……」

 そうドロシーが呟いた。


「んー。そろそろ開きそうですね。ルゥ。中の物がわかります?」

 嗅覚か聴覚を頼りにするルゥに三世は尋ね、ルゥは首を横に振る。

「んーん。紙とか布みたいな匂いの付きやすい物ではないっぽい。槍の当たった音的に大きいものっぽいけど……」

「なら、後は開けてからのお楽しみですね!」

 三世は槍に力を入れ、蓋に先を引っ掛けて宝箱を開けた。


 そこに入っていたのは二本の牙だった。

 非常に大きな牙で、三世の腕くらいの大きさがあった。

「ほぅ。これは……」

 マリウスが傍により、そっとその牙を持ち上げ調べた。

「間違いない。ドラゴンの牙だ。もちろん魔物のだ」

 ややこしいことに、この世界にはドラゴンと言えば三種類の存在が該当する。

 まず、ドラゴニュートという亜人。自称ドラゴンである。

 次に、リザードマンという亜人。彼らも自称ドラゴンである。

 最後に、四足のドラゴニュートによくにた魔物。これが素材で言う、一般的なドラゴンである。


 大きな翼を持つ硬い鱗に覆われ、空を飛び火を吐く。

 一個大隊が一匹相手に全滅したことすらある強大な敵。

 過去では数が多かったらしいが、今ではほとんど姿を現さず、瘴気の濃い場所で偶に姿を現すだけとなった。


 当然のごとく素材は貴重で、そして強力である。

「……牙一本で金貨二百枚はくだらないな。売るか?」

 マリウスがそう尋ねると、三世は苦笑した。

「師匠。思ってもみないことを言わないでください」

 三世の返事に、マリウスはにっこりと微笑んだ。


「エンチャントの材料にもなるし、加工するだけで武器にもなる。もったいないが矢じりにしたら相当強力な矢となる。帰ったら何を作るか考えるぞ」

 マリウスは嬉しそうに三世にそう言った。

「はいはい。そういう次の話は帰ってからにしてちょうだい。続き行くわよ?」

 ドロシーが手をパンパンと鳴らして男二人に注意した。

 二人は我に返り、探索を続行した。

 宝箱の奥は行き止まりだった為、一同は来た道を戻り探索を続行した。



 鼠に何度も追いかけられながらも、一同は必死に探索を続ける。

 余裕をもって探索出来ないもどかしさといつ襲われるかというプレッシャー。

 ダンジョン製作者の性格の悪さがにじみ出ていた。

 そんな中、ここにきて一つ大きな問題が生じた。

 一言で言えば――迷子である。


 逃げ回りながらマッピングをすることは困難で、気づいたら自分の位置がどこなのかわからなくなっていた。

「……申し訳ありません」

 落ち込んだ様子で謝罪する三世に、マリウスとドロシーが首を振る。

「気にするな。誰でも同じようになる」

「そうそう。それに、とりあえず三本線を逆走していけば元の位置には着くでしょ」

 二人の言葉と同時に、ルゥとシャルトは三世の頭をよしよしと慰めるように撫でた。

 嬉しくないことはないが、それはそれで三世は悲しい気持ちになった。


 とりあえず元の位置に戻ろうと、白い三本線の道をさっきまでと逆に歩いている時、とても嫌な音が聞こえた。


 カチッ。

 という、本日二度目の不安な音だ。

「……だーれだ?」

 ドロシーの言葉に、マリウスがそっと手を挙げた。

「すまん。油断した」

 マリウスの足元に、四角いスイッチが置かれていた。


「仕方無いですよ。早く脇道に逃げましょう」

 三世がそう言いながら、正面の奥に見える抜け穴を指差した。

 脇道の傍で良かった。

 そう、三世が思っているとルゥがストップをかけた。

「ちょっと待った! そっちの方から変な音がしてる。鼠が来るような地響きに似てるけど……もっと強そうな音がする……」

 ルゥがそう言って全員を止まらせた。

「んー。なら、走って元の道を戻る?結構遠いけど」

 ドロシーの言葉に、他の誰でもなく、真っ先にシャルトが頷いた。

「走りましょう。出来るだけ速く」

 そう言って全員を来た道の方向に走らせた。

「シャルト。何を見ました?」

 三世の質問に、シャルトが難しい顔で答えた。

「すぐにわかると思いますが、アレです。お約束って奴です」

「お約束とは?」

「『えーが』でしたっけ。アレで、迷宮内の罠でお約束があるじゃないですか」

 そうシャルトが言っても、三世には良くわからなかった。


 だが、現物を見て、シャルトの言いたいことは理解出来た。

「ああ。お約束ですね」

 三世の言葉の後、一同は力の限りを振り絞って走った。


 轟音と同時にこちらに転がってきたのは、大きさが通路ギリギリの丸い岩だった。


 ドロシーがシャルトに速度アップの魔術をかけ、三世はシャルトと手をつないで走る。

 三世の自力だと岩に追いつかれるからだ。

 それでも、大岩との距離はジリジリと詰まってきている。

「皆様。良いニュースと悪いニュースがございます」

 シャルトが冷静な口調でそう告げた。

「良いニュースは!?」

 ドロシーの叫び声に、シャルトが答える。

「通路先に横道がありました。この速度なら二十秒くらい後で着きます」

「そりゃ良いニュースだ。悪いニュースは?」

 マリウスの言葉に、シャルトが申し訳なさそうに呟いた。

「この速度だと、二十秒後くらいに、正面側から鼠と接触します」

「そりゃ悪いニュースだ。急げ!」

 マリウスが短く叫び、シャルトはルゥと手を繋ぎ、ルゥは三世を抱きかかえた。

 まさかのお姫様抱っこ状態だ。

 することがあるとは思わなかったが、されることになるとは思ってもみなかった。

 ドロシーもマリウスと手を繋ぎ、速度アップの魔術を自分にかける。

 今出来ること全てを使った全力の逃走だった。


 なんとか間に合い、全員が横道に入った後に鳴り響いたのは肉と骨のつぶれる音だった。

 大岩は後ろから来ていて、鼠の大群は正面から来ている。

 それは当たり前の結果だった。


「うぅ……。えぐいよぅ……」

 ルゥがしょんぼりした顔でそうぼやいた。


 その後、鼠の残骸を見ないように先に進み、まっすぐ歩き大岩が止まった場所の横手に、シャルトは階段を見つけた。

 大岩の罠で道を開けるのが正規のルートだったらしい。

「探索します?」

 三世はそう尋ねるが、首を縦に振る人はいなかった。

 鼠がもう出ないとも限らないし、これ以上何かあるとも思えなかったからだ。


 上の階層に登ると、猫耳は消えた。

 それ以降の階層は特に変わったものはなく、サクサクと二十五階まで攻略して、そのままダンジョンを脱出した。



ありがとうございました。

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