トラブルはどこから来るかわからない
2018/12/07
リメイク
ありがとうございました。
気づいたら評価も100ptを超えました。
皆様の応援に涙が出ます。
牛歩のような速度ですが楽しんでいただけたら幸いです。
ではありがとうございました。
2018/12/07
完結後見てみますと、評価17,554pt……。
人生何が起こるかわかりませんねぇ。
翌日も、その翌日も三世は耐毒グローブの製作に励んだが、全くうまくいかず失敗した革切れだけが量産されていった。
一つ目は偶然の産物だったらしい。
「すいません師匠。貴重な革をこんなに無駄にして」
三世はマリウスに心のそこから謝罪した。
さすがに三日続けての全失敗は心に堪える。
「え?あの革安いぞ?」
「え?」
「ルカ」
マリウスは台所で食器を洗っているルカを呼ぶ。
ちなみにルゥは朝晩の食器洗いを自分から手伝うようになっていた。
「はいはい。赤牛皮でしょ?」
「赤い牛なんですか?」
三世はルカに尋ねた。
「いや。事故とか寿命とかで死んだ品質の低い牛の皮。ただ質が悪い。そんな粗悪な皮に色が真っ赤になって材質が固くなるなめし液を使うの」
「ふむふむ」
「このなめし液につけると、大きさが広がり、その後叩けば作業も終わり。作業時間も超短くすぐに完成する。だからべらぼうに安い」
「どのくらいですか?」
「一メートル四方の革十枚で銅貨二、三枚程度だな。というか、売る人もほとんどいない。むしろ、うちでも山ほど余ってるから使ってくれた方がありがたいくらいよ」
ルカはにこやかな顔でそう言った。
「具体的に言えばあと千枚は余ってる。お父さんが何も考えずに作った在庫が……」
ルカそう冷たい目でマリウスを見て、マリウスはそっと目を反らした。
「十年たつのに全く材質が落ちないのは凄い。問題は最底辺な材質なことだ。着心地最悪で加工も手間で時間もかかる」
マリウスが困った顔をしていた。
「それ練習用にもらうこととかできます?」
「いくらでももってってくれ」
親子の声が見事にハモった瞬間である。
三世は家での空いた時間に、赤い革をいじりだした。
対毒グローブ用の液体を塗らなかったらただの革製品として扱ってよいらしい。
ただ、とにかく固く使いにくい。
マントなどの外套には固くて使えず、ブーツを作ってみたが布ごしでもわかる程の不快感ある履き心地だった為断念せざるを得ない。
使い道が上手く見つからず、今最も適切な使い方はルゥが噛むおもちゃにするくらいだろう。
ただし、それすらも微妙そうな顔をしていた。
色々試しながら考えた結果、カバンや小物入れなどにすることにした。
肌に直接あたる部分を普通の紐や革にして本体を赤牛革にする。
量産すればコストを抑えられるし、何より加工しづらいこの革は練習としてはちょうどよかった。
そうして試行錯誤を繰り返し程よい大きさのカバンを試作していると、ルゥが何か思いついたように話しかけてきた。
「ねぇねぇ。デザイン適当でいいから、揺れても中が安全なようにして、沢山入るようにできない?」
「んー。ルゥ。もう少し詳しく教えていただけますか?」
三世の質問に頷き、ルゥは事情を説明し始めた。
ルゥはルカのお手伝いをしている時用のカバンが欲しかった。
ルゥは身体能力が高く、また真面目に働く事から主婦の方々に好評らしく、ルゥを指名するリピーターも多いそうだ。
だからこそ、自分用の仕事カバンが必要だとルゥは考えたらしい。
「別に師匠にお金払って頼んでもいいですよ?」
ちゃんとした物をあげたい三世はそう尋ねるが、ルゥは首を横に振った。
「ヤツヒサのがいいし色々試すんだからいいでしょ?」
「そうですね。私が作ってルゥが喜ぶならがんばりましょう」
そんな三世の言葉に、ルゥはやったーと飛び跳ねた。
「それで、どういった物が欲しいですか?」
「るー……。じゃあ。卵を沢山運べるの!」
「卵……ですか……」
三世は眉をひそめて腕を組んだ。
仕事の中で良く困るのが、卵の運搬である。
割れやすく、沢山運ぶ必要がある為手作業で運ぶ割合が多いからだ。
だからこそ、たまごを運ぶのに清潔な状態でかつ割れにくい上、沢山運べる何かをルゥは求めていた。
「るー?難しいよね?ごめんね?」
ルゥの申し訳なさそうな顔に三世はにっこりと微笑み言葉を返した。
「たぶん余裕ですね」
日本に生まれた人なら、ほぼ全ての人が知っているだろう。
卵を運ぶ最適な存在を――。
三世はまずマリウスのところに行き尋ねる。
質問内容は、清潔な状態を長い時間維持するにはどうしたらいいである。
その時のマリウスの答えは三つだった。
まず高価な薬を使う。これは予算的に却下である。
次は洗いやすくする。カバンという性質でこまめに洗うのは難しい為これも却下だ。
そして最後。安い溶液を塗ってたまに外で干す。
これなら、なんとかなるだろう。
「何か面白いことを考えてるな。ここでやってみろ」
そんな質問を投げてきた三世にマリウスはそう言って、ルゥと共にワクワクした顔でこちらに注目していた。
「さてでは工作の時間です。まずはこの固くて使いにくい赤い革を切り抜きます。タマゴが収まる以上の大きさに」
三世は卵の大きさより二回り以上大きく革切り、縫って組み合わせていく。
その穴を八個で四列ほど。
「そしてこの後その穴に切り抜いた革の中に小さくこんな形に加工して縫いつけてくぼみの中を八角錐形にしていく」
「ほー」
マリウスが感心したように見つめた。
見たことない作業をしてるのもだが、固く使いにくい赤い革をうまく利用して加工できているという理由もあった。
「これをカバンの底につけます。念のため既に綿をいれておきましたが出来たら綿無しでやれたらもっといいですね。次にさきほど加工したものの穴を倍にしたものを用意します。そして半分は上側に八角錐形を半分は下側に八角錐形をつけていきます」
こうすることで卵を上に重ねても交互になり割れにくくなる。
「これを更にもう1個。最後に上用のを作って完成。これなら卵を32個を縦三列で一度に運べます。念のため肩にかける紐も丈夫にしておきました」
妙に固い革だからこそ出来るゴリ押し。
それに日本の誇るタマゴパックの技術を加え、ルゥに持たせる卵専用カバンの完成である。
「るー! 凄い凄い!」
ぴょんこぴょんこと飛び跳ねて喜ぶルゥ。
「明日から使うね!」
ルゥはそのカバンを、とても嬉しそうに受け取った。
「卵専用のカバンか。思いつきもしなかったな」
「そうなんですか。だったらこれ売れませんかね」
「わからん。一応余分に作っておけ」
「わかりました」
マリウスの声に頷き、三世は五つほど余分に作っていく。
八角錐形にするのは思った以上に糸を使用し手間となる為、良い練習になった。
次の日の昼、さっそく三世の元に注文が届いた。
朝、養鶏場に手伝いに行ったルゥが使ってるのを見て他のお手伝いの主婦や農家が注目したらしい。
「師匠。どうしましょうか?」
弟子が勝手に売ることは許されないだろうと思い尋ねてみた。
「売っても良いし売らなくても良い。好きにしろ。ただし無償で配るのは許さない」
「師匠ならいくらで売りますか?」
「……俺に聞くな」
店の事はルカが受け持っているという事を思い出した三世は、急いでルカを探し値段設定を任せることにした。
相談の結果、とりあえず強気で銀貨五枚にして様子をみることにした。
ちなみに原価はほぼ0に等しい為売れてしまえばぼろ儲けとなる。
そして初日、さっそく最初の五つがあっという間に売れ切った。
次の日、追加注文が入った。今度は倍の十個注文である。
赤い革での加工は簡単ではなく、体力を消費する上に結構な時間がかかる。
一人でこなせる仕事量ではないと思った三世は、師匠であるマリウスに頼み、報酬を払う形で手伝ってもらった。
二人で十を作り上げ、次の注文もまた来るであろうと予想し念のため二十個のカバンをマリウスと共に協力し保管しておいた。
残念ながら、翌日の注文は予想の更に倍の四十個だった。
「おいどういうことだ!なんでこんなに売れる!」
マリウスが怒鳴りながら手を進める。
「知りません。ルカさん何かわかりませんか!」
「今まで卵って布袋で集めてたのよ。衛生管理が出来てない上に割れやすい。だから二割、三割は割れること想定して考えてる養鶏場がほとんどよ。そしたら割れる数が劇的に減った上に衛生管理もし易く持ち運べるカバン。それをカエデの町の全員が欲しがっていてね、今はなぜか他の村や町に情報が飛び火して色んな場所から注文が入るようになっちゃったのよね」
――oh……。
「他の町は独自に研究してそういったものあるところもあったけど、ウチと同じで布袋で運んでいた養鶏場は皆ウチに注文しているわ。ちなみに一番大きな町である城下町にも飛び火してるからまだまだ注文くるわよ」
「これ以上……増えるのですか……」
そんな三世の呟きにルカは苦笑いを浮かべた。
「安心しなさい。すぐにまがい物が作られてうちの需要減るから。悲しいけど」
著作権などない世界である為、仕方ない事なのだろう。
と言っても、著作権があったら卵パック製法を真似ている三世も怪しいが。
「でも、これは保たないです! 師匠、何か手を」
少なくても今日から四日くらいは、練習も修行も出来そうにない。
マリウスの店としての本来の業務に追加された卵用カバンの注文で皆てんてこ舞いしていた。
手伝う義理のないルゥでさえ、革の運搬にカバンの運搬、片付けに加えてマリウスや三世への軽食の準備と大忙しである。
「るー。目がまわるー」
オタオタと慌てながら走り続けるルゥ。
「値段上げるわ。倍の銀貨十枚。最悪全く売れなくなるけどこのままだと対処しきれず評判自体が無くなりかねない」
ルカの提案に頷く二人。
倍になると告げたらもう少し受注が減るだろう。
そして簡単な作りだ。
偽物が出回るのにもそんなにかからないはずである。
二人は時間のある限り作り続けた。
ルゥはつかれきったのかルカのベットで寝たそうだ。
「すいません師匠。今日は泊まります」
三世は作業しながら話しかける。
自宅よりもマリウスの作業場のほうがスペース的にも作業的にも楽だからだ。
「そうしろ」
マリウスはそう答えながら、三世の倍の速度で作業を行い続けていた。
「これが終わったら結構な額の金銭が手に入る。何か使い道、考えておけよ」
マリウスが言った。
七割は師匠に渡すとしても、かなりの金額が入るだろう。
「そうですね。とりあえず教育用の本くらいはルゥ用に買おうかと」
「そうだな。俺もルカに服でも買ってやるか。革以外のな」
「革は駄目なんです?」
何と答えるかわかりきっているが、三世はあえて尋ねた。
「革は買うより、俺が作ったほうが質が良い」
師匠がきりっとした顔でそう呟く。
その様子に、我慢しきれず二人で笑いあった。
ただし手は一切止めずに……。
時刻は深夜5時。
もう朝という時間帯である。
二人が作り上げたカバンは、注文分四十と念のための六十、合計百個。
二人共体力的にも精神的にも限界を通り越していた。
三世とマリウスは無言で寝袋を用意し、その場で寝だした。
もう二人共、寝床にいく体力がなかった。
寝袋に伝わる冷たい石の地面の感覚すら、三世には気持ちが良かった。
数時間後の朝。
睡眠不足の職人二人の耳に届いたのは、百個の追加注文である。
値段を倍にすると言っても、その数は変わらなかった。
つまり――追加の四十を作らないといけないという事だ。
二人はその日、文字通り必死に、作れるだけカバンを作った。
もう何個作ったのか数えてない。
部屋が在庫のカバン塗れになっている。
売れ残れば良いな……。
そんな事を考えながら、三世とマリウスは明け方仮眠を取った。
次の注文は二百個だった。
「おい注文全然減らないぞ!」
マリウスが理不尽に怒鳴りだした。
「なんかさー。このカバン真似してもうまくいかないとかで真似するとこ少ないみたい」
ルカはそう答えた。
毎日毎日カバンを作り続ける三世とマリウス。
スキルのおかげか、ゲシュタルト崩壊しそうな領域の作業でも、手は変わらず動いてくれた。
マリウスはそれに加えて本来の店の仕事もこなしている。
体力の限界まで付き合わせて本当に申し訳なかった。
毎日カバンを作り続ける三世もしんどいが、ルゥも決して楽な生活ではなかった。
山ほどの雑用をこなす為に、この数日は休む事なく走りっぱなしである。
だがそれ以上に大変なのは十四歳のルカだった。
近所の手伝いも休む事なく、卵カバンの販売から注文まで全て一人でこなしているからだ。
しかし、修羅場なんて言葉すら合わないような地獄にいるはずルカには一切疲れは見えない。
むしろ生き生きとしていた。
「これだけ稼げたら笑いが……ふふふふふ」
そんな事を嬉しそうに呟いていた。
「ちょっと出てくる」
マリウスが注文分の作成を終え、更に追加で二百を作り終わった後早足で出かける準備を始めた。
「注文二百五十を超えたら断れ。うちの名前に傷がついてもかまわん。ヤツヒサはその五十分を明日中に作れ」
「師匠はどこに?」
「ちょっと作り方広めてくる」
マリウスはカバンを持って飛び出した。
次の日の注文は三百だったが約束通り五十断った。
その段階でもう二百五十の在庫は出来たため、明日のために作り続ける。気づいたら三世は一人で六十個を作れるようになっていた。
と言っても、マリウスは余裕を持って二百個を作っていたが。
――やはり、まだ師匠の領域はほど遠いですねぇ。
三世はそう思った。
その翌日。マリウスは帰ってこなかった。
そして恐怖の注文が届いた――。
注文の数は三十個。
つまり、流れは途切れたのだ。
波は乗り切った。
師匠が成し遂げてくれたのだと……三世は確信していた。
その翌日マリウスが帰ってきた。
次からの注文は二桁前半を超えることは無かった。
「終わったな」
「はい」
マリウスは城下町等周囲の町村にある工房に押し入り、作り方を無償で提供していった。
出来ないと言ったら、出来るまで無理やり丁寧に教えていった。
その結果、大手で安く仕事をする店が増え、マリウスの店に依頼する者は極端に減ったのだ。
「人付き合いが苦手な師匠ががんばりましたね」
「元々の知り合いのとこしかいってないがな」
それでもマリウスにとっては非常に勇気のいる行動だったと思われる。
しかしこのまま放置すれば、色々な意味で潰れかねない。
そうマリウスは判断した。
店なら作り直せば良いが弟子が潰れるのは認められない、その一心でマリウスは外部の工房、製造所に足を運び続けた。
そして、その意味は確かにあった。
苦労し、慌て、店がピンチになったが、その成果はあった。
卵専用カバンの売り上げ、しめて金貨六十七枚と銀貨七十五枚。
しかも、まだ定期的に売れている。
はっきり言ってボロ儲けである。
「一つわかった事がある。お前は反復作業に入ったら異常な速度で作れるようになるということだ」
「師匠のほうが早いじゃないですか」
「経験が違う。少なくとも、お前の速度は一月すら経っていない見習いの速度ではない」
すいすいっと手を動かしながら革を加工する三世。
もはや使いにくい赤い革でも他の革と同じよう、問題無くこなせるようになっていた。
「経験は裏切らない。そういうことですね」
「そうだな」
そう言って二人は頷いた。
最後の問題が残っていた。
それは報酬の分け方である。
マリウスは発案者である三世にほぼ全額渡そうとし、三世は師匠であり実際の半数以上を担当し店の持ち主であるマリウスにほぼ全額渡そうとした。
お互い譲り合う、と言えば聞こえは良いが、ほとんど押し付け合いに近く、ルカが二人の頭を叩くまでその論争は終わらなかった。
二人の意見は平行線で終わりが見えなかった為、ルカは勝手に割り振る事にした。
仕事量とかけた時間、そして発案者などを考慮し。
マリウスとルカに合わせて金貨45枚。
三世に金貨15枚。
残りをルゥの元に、そしてルゥには特別ボーナスとしてフィツ亭の食事食べ放題。
そうルカが尋ねると、三世もマリウスも頷いて了承した。
というか二人とも適切な分配などわからないからルカに任せきっていた。
「るー! いっぱい食べていいの? いいの!?」
特別ボーナスがもらえると聞いたルゥはるーるーと歌いながら上機嫌になった。
その歌誰に習ったんだろうか、三世は首を傾げた。
「これで奴隷生活から開放されますが、どうします?」
三世はルゥにそう尋ねた。
そう――これでルゥが奴隷とて売られた値段、金貨五枚をルゥは稼ぎ終わったのだ。
ルゥが三世に金貨五枚を渡したら、その瞬間からルゥは自由の身になる。
だからこそ、三世はルゥにどうしたいか尋ねた。
「る? よくわからない」
「嫌だった奴隷の身分を辞めて自由になれますよ?」
「るー? よくわからないからどうでもいい。奴隷止めてほしいなら止めるよ?」
ルゥは奴隷という身分を今はあまり嫌がっていない。
それなら無理強いしても良い結果にならないだろう。
そう三世は考えた。
「なら、ルゥが奴隷止めたくなったら教えて下さい。その時考えましょう」
「るー。でも奴隷やめたら首輪外さないといけないでしょ?」
「そうですね」
「それはやだな。この首輪たまにヤツヒサのこと教えてくれるから」
「そうなんですか?」
「うん。何かして欲しいことあるときとかたまに教えてくれるよ」
奴隷の首輪は思ったより高性能で不思議な力があるらしい。
「まあ今はそのままでも良いでしょう。とりあえず、明日からは勉強を始めましょう」
まだ本も買ってないが三世は早いうちに色々学んで欲しいと思った。
その結果、奴隷という存在を理解しやめたいと思ってくれるだろう。
そう考えた。
「る! がんばる!」
ルゥはなぜかやる気に満ち溢れていた。
食事亭でのルゥの食事量はそこまですさまじいものではなかった。
あくまで、最初に比べてだが。
ルゥは五人前くらいを一人でぺろりと平らげ、そのまま疲れたからか満腹だからか店の中で丸くなって寝始めた。
それを三世は抱え、家に連れて帰る。
ルゥは思った以上に成長していた。
それこそ、三世が抱きかかえるにしんどいと思う程度には。
家に着いた三世は、ルゥを大きい方のベットに転がせ寝かせた。
既に小さいベッドで寝かせられる大きさでは無くなっていたからだ。
代わりに小さいベッドに自分が入る。
ルゥの足がはみ出る小さいベッドでも三世だとちょうどいい大きさだった。
体格は逆転された。
次は立場が逆転されそうだ。
そんな事を考えながら三世は苦笑いを浮かべた。
――金貨十五枚……どうしましょうかねぇ。
思いがけない臨時収入に三世は頭を悩ませた。
と言っても、ルゥの教科書くらいしか欲しいものは思いつかない。
三世はまた明日考える事にして、ベッドの中で意識を闇に落とした。
今は何よりも、数日ぶりにゆっくりと眠りたかった。
寝入った三世とルゥは、面白いことに同じ格好で眠りについていた。
お読み下さりありがとうございます。
これで10万文字を超えたと思います。
長い長いものを読んで下さりありがとうございます。
文章力が低く躓くような気持ちですが
それでも乗り越え少しでも楽しめる作品にしたいと思います。
では再度ありがとうございました。