大会本番-前編
正々堂々、試合開始
言ってみたかっただけとです。
ミニイベントの一つなのに、以外と感想の多かったゴーレムイベント。
これはまたどこかで別の形で出せと言うことなのだろうか。
あ、ここまで見てくださってありがとうございます。
長い付き合い、ありがとうございます。
皆様のおかげで、これだけ長い作品を書くことが出来ています。
それでも、まだ終わりは遠いです。
よろしければ最後まで、お付き合い下されば幸いです。
王城の前。大きな広場がその大会の場所として用意された。
大勢の観客、賑やかな声。ゴーレムが何なのか良くわからないが、とりあえずというノリで実に来た人達だった。
何故かガニアの王夫婦もイベントの来賓席に待機していて、それが尚、このイベントの重要性を物語っている。
観客達はそう考えた。
広場の中央。そこに三十メートル四方の試合会場が用意されていて、その中で魔導ゴーレムのデモンストレーションが行われる。
白く、大きな巨体。選手用に用意されたゴーレムの三倍ほど。大人よりも大きな白いゴーレムが、その中で自由に動き回る。
誰でも簡単に操れて、人の様に動く。それは観客の好奇心を刺激し、テンションを高めるに十分な効果があった。
その後に、開会式の挨拶や両王の挨拶などの式典が行われる。
だが、この時間に三世達は開会式にいない。
もっと言えば、選手は一人も開会式に参加出来ない。
この時間は、選手にとっても最も大切な時間。試合前に唯一、ゴーレムを操作出来るわずかな一時間だからだ。
ぴょこっぴょこっ。
そんな擬音が聞こえてきそうな程、軽快に歩くクマのぬいぐるみっぽいゴーレム。
のっそのっそ。
千歳飴の様な棒を持って、摺り足気味に移動する小さな白騎士のゴーレム。
考えただけで思い通りに動くゴーレムは、思った以上に面白く、大きな物体を操作する快感に加え、その動きの可愛さは、確かに理想的な玩具と言えた。
試合前という事を忘れ、操作出来る者は、ただ全力で楽しんでいた。
今この場にいるのは、魔力を送る役の三世。それに操縦者、ルゥ、シャルト、ソフィ、クレア、コルネの五人だ。
本来の魔導ゴーレムなら、魔力を電池の様な物で、切れたら全く動けなくなる。生命線と言っても良い位重要なものだ。
だけど、今大会は、魔導ゴーレム用の供給魔力が会場周囲に撒かれており、自動で魔力が補給される。
つまり、今の三世の役はただの飾りである。
そんなわけで、することの無い三世は、ルゥに演技指導をしていた。
「もう少し、重たそうに歩いて下さい。力強く、自分の体を鉄の巨人とイメージしながら」
三世の言葉に、ルゥは頷き、太陽戦士シロダインを大地に立たせ、進ませる。しかし、なかなかイメージどおりには行かなかった。
そう、イメージは巨大ロボでも、中身はただの砂。その上、怪我対策もあるのでびっくりするほどぷにぷにである。
しようと思えばぷにぷにを利用してジャンプも出来そうだ。だけど、それはシロダインのイメージに合わない。
だから三世はルゥにそれらしい移動の仕方を教えていた。
ルゥも、真剣な眼差しでそれを聞き、少しでも理想に近づけようとする。
そう、太陽戦士に命を吹き込む様に……。
人方の三人は、純粋に楽しんでいた。操作に問題が無いから後は好みの問題になる。
だが、馬の二人はそうは行かない。
特に、馬男爵を操るソフィは、思い通りに全く行かず、苦戦していた。
馬男爵は、生まれたての子鹿の様にぷるぷるすることしか出来なかった。
何故ここまで差が出たかというと、それは操作方法に原因があった。
頭で考えことをそのまま再現出来るという、シンプルながら最高のインターフェース。
だが、逆に言えば脳内で考えたことしか操作に使えないということだ。
二足方向なら、普段歩く時の事を想像したら良い。
それはとても容易く、直感で楽しむことが出来る。
しかし、人型以外だとそうはいかない。脳内で考えても、自分が四つんばいで歩く姿しか想像出来ない。
それだと、構造が違いすぎ、歩行のイメージをうまく構築出来なかった。
コルネはそれでも、問題が無い。
今は苦戦しているが、馬に乗りなれているし、極度の馬好きだ。
毎日の様に馬に触れているコルネは、目を閉じても馬の姿から筋肉の付き方まで、脳内で補完出来る。
しかも、メープルちゃんのモデルは元愛馬のカエデさんだ。コルネに扱えないわけが無かった。
少しずつ、歩かせながら、感覚を確かめるコルネを見て、ソフィは更に追い詰められる。
何とか、手探りで操作を試すが、一向に歩けず、こける回数が増えるだけだった。
自分の力では、上達する方法が思いつかなかった。
これが、誘拐事件前のソフィなら、ただおろおろするだけか、必死に自分の力だけで何とかしようとしただろう。
自分には才能がある。それを知っているからこそ、人に頼るという発想が抜けていたからだ。
「ヤツヒサさん。……どうしたら良いか教えて?」
ソフィは素直に人に頼った。それは、あの事件で出来ないことは誰かに頼っても良いということを学んだからだった。
ただしその選択は、ソフィを悪い道に引き込むものだった。
「わかりました。とりあえず、すいません。コルネさん、ちょっと手伝って下さい」
三世は少し考え、まずはコルネを呼んだ。
コルネはメープルちゃんを横に歩かせながらこちらに来た。
それを見て、ソフィは自分の不出来に落ち込んだ。
「何々?困りごと?」
コルネの質問に三世は頷いた。
「はい。ソフィ王女が操作に困っていまして。たぶん私でも教えられますが、やはり実際に操作したコルネさんの方が適任かと思いまして」
「なるほどね。つまり、私とヤツヒサさん、二人で教えれば良いのね」
三世は頷いた。
「クレア王女の足を引っ張りたくないから……私に操作を教えて下さい……」
ぺこりと頭を下げるソフィに、コルネと三世は不思議そうな顔をした。
「ん?操作は教えなくても勝手に出来る様になるよ。教えるのはもっと大切なこと」
コルネのその言葉に、三世もうんうんと頷いていた。
「え?……何を教えてくれるの?」
不安げに尋ねるソフィに、二人は声を揃えて言った。
「馬の素晴らしさ」
この二人はどういう人種かを、ソフィは知らなかった。
関節の動きを完全にシミュレート出来、肌を見たら筋肉の付き方が理解出来る。
筋繊維の方向までイメージ出来て、その躍動すら理解出来る。
それは、自分が馬になってもどう動いたら良いかわかるということだ。
この二人は、馬好きの中でも、特に頭の悪い方の馬好きだった。
そして、ソフィはもう一つ知らなかったことがある。
もう一人、頭の悪い馬好きがいるということだ。
時間差で応援も兼ねて合流した獣人夫婦のユウとユラ。妻の方のユラは、三世とコルネの同志でもあった。
「ユラさん。今ソフィ王女に馬の素晴らしさを紹介しているところです。一緒にどうですか?」
三世のその言葉に、ユラはねっちりした笑顔を浮かべ、ソフィの傍に来た。
「こんにちはソフィ王女。馬の後ろ足付け根あたりが好きなユラです。あなたは、どこが好きかしら」
三世が鬣と言い、コルネが首と言い、お互いが余すところ無く魅力を紹介しだした。
ユウは、巻き込まれないうちに、馬狂い三人と被害者から離れた。
一時間、余すところなくみっちりと馬の魅力を語られたソフィ。
その片手間に、ちょこちょこと練習し、想像以上に馬を操作出来るようになった。
そして、こんなことにもソフィは才能を発揮してしまった。
ただ操作できたらよかったのだが、それ以上の深淵を見てしまい、目を閉じたら走る馬が延々と見える様になった。耳には三人の呪詛の様な馬を褒める言葉が残っている。
ソフィはこの時初めて、才能よりも恐ろしい、執念よりも深いドロドロした何かがあると理解した。
三人は、ソフィに言いたいことが全て言えて満足そうだった。
そして、大会が始まった。
ティールがギリギリで合流し、大会のルールの説明を始めた。
大会はトーナメント形式で、決勝戦以外は個人戦。決勝だけは五対五の団体戦になる。
個人戦は勝ち抜きルールで、最後の一人が負けたら終わり。
負けは行動不能になるか、試合会場を試合中に出ると負けになる。
試合ごとに、出場する順番を決め、お互いのチームは審判に提出する。
初戦の出場順は、クレア、ソフィ、シャルト、ルゥ、コルネとなった。
クレアとソフィは、王族であり子供だ。
普段こうやって騒ぐ様に遊ぶことの無い二人には、是非とも楽しんで欲しい。
それがティールのチームで一番重要なことだった。もちろん、三世達も異論は無い。
後は適当だが、コルネだけは最後にした。
皆なんとなく理解していたからだ。
ゴーレム操作は子供向けに考えられていて、大人と子供でも対等になるよう、設定されている。
それでも、コルネという操縦者に加えて、あの三世の拘り抜いた馬型のゴーレム。
これは本当に駄目な奴だと、何となく察していた。
大勢の観客に見られながら、騒がれながらの初戦が始まった。
初戦はラーライル王国医療団と魔法士ギルドの対戦だった。
医療団の方は、十字のマークの入った可愛いぬいぐるみ風のゴーレム集団で、魔法士ギルドの方はのっぺりした人型だったり妙に凝っている可愛い女の子風だったりと様々だった。
審判の試合開始の合図に、両者が動き出した。
だが、お互いの動きがとにかく悪い。
制限がかかりまくった操作の為、歩くことは出来てもそれ以上の動作が難しい。
頭から足の裏までぷよぷよしたその体は戦うのに適していない。
殴りつけても大した打撃にならず、無理やり移動しようとしたら飛び跳ねそうになる。
結局、トコトコ歩いて押し出すのが一番強い動きらしく、びっくりするほど地味な戦いになっていた。
それでも、こけたり、慌てたりと、コミカルな動きが観客に受け、ショーとしてみたら大成功と呼べる内容ではあった。
試合自体は、医療団が僅差で勝っていた。
試合が進み、第三試合が始まった。三世達の出番だ。
三世達の相手は商人ギルド。相手の方を見てもあまり運動神経は良さそうには見えない。
お互いが、試合会場を挟み、向き合う形で待機する。
何故だろうか。商人ギルドの人達は、始まる前から悲壮感に溢れる顔をしていた。
「あれね。負けたら予算が減らされる可能性あるんだって」
コルネの一言に、三世は「なるほど」と答えた。
ティールと相手の代表が、審判に出場順の書いた紙を渡し、審判がそれを読み出した。
「ティール陣営、第一ゴーレム、くーく。操作者クレア。第二ゴーレム、馬男爵、操縦者ソフィ……」
ゴーレムの名前が出る度に、観客達の笑い声が響く。特に、馬男爵が受けたらしい。
ただし、メープルちゃんの名前が出た瞬間だけ、妙に力強い歓声が届いた。
そちらを見るとおそらく騎士団だろう。鎧を着た集団がいた。
別会場での試合だったらしいが、どうやら既に負けてしまったらしい。
他の陣営は、シンプルに○○ゴーレムなどの名前にしているらしい。
だからこそ、うちの陣営の名前はより笑いを誘った。
対戦相手の商人ギルドも、商人ギルドゴーレム1,2,3,4,5というシンプルな名前になっていた。
「負けても良いから気楽にね?」
コルネは、若干緊張しているクレアにそう呼びかけた。
小さくこくんと頷くクレア。緊張はしているが、それはとても楽しそうな笑顔を浮かべていた。
今日だけは、王族としてで無く、ただの子供として、遊べるからだ。
王族として、こういうイベントに参加すると、大体相手が手を抜くかおべっかを使ってくる。
それ以外にも、王族としてのしがらみが多く、純粋に楽しめない。
だからティールとフィロスは、ミドルネーム、ラストネームを省略して一般人として、二人を参加させた。
責務もしがらみも無くはしゃげる日など、そう無い。
それを知っているクレアだからこそ、今日を全力で楽しもうと考えていた。
皆知らなかった。大人しく、おどおどしているというのも理由の一つだろう。
クレアは王族で、そして王族とは特別な存在だ。
国を、民を守る為に生きてきた血筋、その精神性と肉体は、たとえ末端と言えども普通では無い。
ソフィは、近い年齢で気が合うことから、何となくはわかっていた。
だけど、他の人は、王族と接点の多いコルネすら、良くわかっていなかった。
クレアは、確かに王族だということを。
くーくたんが試合会場に上がる。対戦相手のゴーレムは既に会場に上がりこっちを待っていた。
そのゴーレムは普通の人型のゴーレムだった。ただ、頭にターバンを巻いて、衣装もどことなく商人ぽい。
そして、審判が試合開始を合図した。
試合が始まり、くーくたんは周囲の観客に一生懸命ぱたぱたと両手を振った。
ぴょこぴょこ跳ぶように跳ね、ファンシーな姿を精一杯使い、可愛らしさを表現して観客の注目を集めた。
「戦うのでは無く、ああやって楽しそうに動くというのも良い考えですね。争いの苦手なクレア王女らしいです」
三世の言葉に、他の人は微笑ましい目のまま頷いた。
ソフィだけは、その言葉に二つの疑問を持った。
まず、クレアは争いが嫌いだが、苦手と言っていないこと。
もう一つは、今のあの動きは、ただの余裕の表れでは無いのかということ。
そして、その答えはすぐにわかることになった。
商人ギルド側も、そのコミカルな動きと可愛さに、これには勝てるなと淡い希望を持ち、とことこと歩く、くーくたんを押し出そうと側に寄った。
相手側の情けでもあった。押し出して、出来るだけ相手を傷つけずに勝とう。そんな、優しくて、甘い考えをしていた。
そして、商人ギルドのゴーレムが近づいた瞬間。くーくたんは体全体を使って、右腕を全力で横になぎ払った。
パシン。
乾いた音が響いた。ビンタの様な軽い音の後、商人ギルドのゴーレムは会場の外に吹っ飛ばされていた。
くーくたんは、相手に目もくれず、両手で観客に手を振り、丁寧にお辞儀をして会場を降りた。
呆然としていた観客は、火が付いたように盛大な拍手と歓声を上げた。
「あの?ただ叩いただけであんなに威力出ます?」
三世の呟きに、ティールは首を横に、ぶんぶんと何度も振った。
子供と大人でも楽しめる様に、かなり厳しく力にロックをかけ操作も制限が入っている。
それこそ、子供程度か、それ以下の力しか出ない。
だが、数十キロはある砂の塊のゴーレムを、くーくたんは軽く吹っ飛ばしていた。
三世は、何か寒い感覚を背中に覚えた。
コルネはここでようやく、王族という存在がどういうものか思い出したが、全ては手遅れになっていた。
観客達も盛り上がり、くーくコールが流れる。
そのまま同じ様に、試合会場に上がるくーくたん。
観客に媚を売るように、両手をぶんぶんと一生懸命振り、地面に転がって手足をばたばたさせたりと、アピールに余念が無いくーくたん。
試合が始まり、二体目のゴーレムが近づいて来たところで、くーくたんは両手で相手ゴーレムを抱き抱えた。
そのまま、とことこ歩き、会場の外に、ぽいっと投げた。
以前までの試合が、紙相撲みたいな泥仕合だった為、綺麗な展開に観客達は拍手をして楽しむ。
観客達が盛り上がったのはここまでだった。
続く第三試合、遂にくーくたんの本性が明らかになった。
もう油断しないと考えているのか、安易に近づかず、商人ギルド側のゴーレムはじりじりと横に移動しながら、くーくたんを見据えていた。
そんな相手に、くーくたんは走って接近した。
今までは皆、歩くという動作までしか出来なかった。単純に難しいからだ。練習量が足りず、柔らかい素材に慣れていない為だ。
クレアは、一時間の練習と、無駄に難しい観客にアピールするという動きを繰り返し、動作に慣れていた。
ぷにぷにの足だからこそ、跳ぶ様に、一直線に相手目指して、くーくたんは走った。
そしてそのまま、相手ゴーレムの頭めがけて、ラリアットの要領で、手を横に振り払った。
ぽーんと何かが相手選手の傍にまで飛んでいった。相手選手は足元のソレを確認する。
ソレは自分のゴーレムの頭だった。
「ひぇっ」
相手側から小さな悲鳴が聞こえた。
それだけの事を行っても、くーくたんは変わらずに愛嬌を振りまく。
そして、今までと何も変わらない様に、ゆっくり会場を降りた。
しーんと静まり返る観客達。その可愛い存在が、どの様な物なのか、観客達も理解したらしい。
四試合目、相手ゴーレムの腕を、くーくたんは両手で掴み、引っこ抜いた。
観客から悲鳴が聞こえるか、我関せず。そのままくーくたんは頭を掴んで会場外に投げ込んだ。
最後の第五試合、二試合目と同じく、相手ゴーレムを抱き抱えた。
ああ、優しく投げてるんだな。
そう、観客が思っている中で、くーくたんは万力の力を込めだし、相手ゴーレムの胴を、真っ二つにした。
小さな可愛らしい女の子が、ジャイアントキリングして五タテ。
そんなこと以上に、残虐な試合展開と一方的な殺戮が印象に残り、その光景を観客の目に焼き付けた。
それはある意味、成功とも言えるだろう。
ゴーレムを軍事利用したら、大変なことになる。観客も、三世達も、肌でそれを感じることが出来た。
フィロスだけはとても嬉しそうにしていた。親馬鹿なのか節穴なのかわからない。
「勝ちました」
嬉しそうに、にっこりと戻ってきたクレアに、三世は愛想笑いをすることしか出来なかった。
流石にこれはまずい。そう思った三世は、ティールと相談し、先発をクレアからソフィに変更する。
ソフィなら、まだ操作になれていないし、丁度良い感じに楽しめる試合になるだろう。
その考えすらも、甘い考えだった。
第二試合。相手がどれだけ頑張って、どれだけ色々知恵を絞っても、ソフィ王女は同じ動きのみで、完封しきった。
三世達三人の馬の素晴らしさ洗脳コースは相当に効いたらしく、ソフィは馬男爵を見事に操っていた。
最初に相手の回りをぐるぐる回る。馬ならではの移動力で、相手を翻弄していた。
そして、少しでも隙を見せたら、相手の背中に合わせて、思いっきり後ろ足で蹴り飛ばす。
良くて相手は会場外に吹っ飛び、当たり所が悪いとその場で壊れる。
またも五タテし会場は冷え切った。
ティール陣営を見る観客の目は、あそこにいる奴全員やばい奴という目になっていた。
ベルグが嬉しそうにしていた。
我慢出来なかったのだろう。ベルグとフィロス。両国王はその試合の後に、自分の娘ですと正体をばらした。
観客はドン引き、同時に王族というものが畏怖すべき存在と、観客は正しく理解した。
ソフィとクレアを後ろに回して、ルゥとシャルトを出そうとも考えたが、王二人が娘の試合を楽しみにしている雰囲気を出している。
というより、来賓席でじーっとこっちを見ている。
先発をクレアとソフィ、交互に出し、その全ての試合を五タテし続けた。
殺戮熊と暴れ馬。気付いたらそう呼ばれる様になっていた。
時間が余りすぎたのと、観客が冷え切った為、急遽三位決定戦を行うことになった。
決勝行き決まった上位二チームを除き、それ以外の団体全員参加の個人戦。
流石にアレで予算削減は可哀想と思った王もそれを許可し、ティールは死に物狂いで壊れたゴーレムを修復全て修復した。
壊れたゴーレムの七割が、二人が破壊したものだった。
そして、試合が始まる。また元のわちゃわちゃした紙相撲みたいな試合が始まり、観客も安心して見ることが出来た。
三位になったのは冒険者ギルドだった。ちなみに、クレアが五タテした相手でもあった。
わちゃわちゃした、まったりと楽しめる時間が終わり、空気が重くなる。
残すは最後の試合、決勝のみとなった、
観客も気分を変え、固唾を呑んで見守る。
さっきまでの楽な試合展開は期待出来ない。あらゆる意味で、最後の試合は別格だとわかる。
何故なら、相手も全ての試合を五タテで勝ち抜いた。こっちと並ぶチームだからだ。
こっちにいるのは王女二人。さっきまで殺戮を限りを尽くしていたからだろうか。
雰囲気はこっちが完全にヒール役になっていた。
ただし、かなりの数応援する人もいた。
あの一方的な試合に、恐れながらも、楽しんだ人もいたのだ。それと親馬鹿二人。
しかし、それ以上に相手への応援が多い。王女二人というネームバリューよりも注目を集め、多大な歓声を堂々と受けていた。
それは、文字通り、誰もが知る人物だった。
ありがとうございました。
決勝の相手は、たぶん予想出来ると思います。
まあ遅くても二日以内に更新するのですぐにわかりますが。
本当に、色々な意味で遠くに来れました。
八十万文字。三百万PV。ブクマ約五千八百
本当、感謝しかございません。
色々な理由でなろう小説を書いている人がいると思いますが、私の場合はたった一つです。
「この岸辺露伴が金やちやほやされるためにマンガを描いてると思っていたのかァーッ!!」
なんて、素晴らしい言葉を残しているお方もいますが、私はちやほやされたくて書いています!
誰かに読んで欲しい。出来たら褒めて欲しい。駄目ならどこを直すか教えて欲しい。
ただ、読んで欲しい。それで、読んだ後や、読んでる時に楽しいって思って欲しい。
そんな、強欲な人間が自分です。
だから、誰かが読んでくださる限り、途中で投げることはありませんし、終わりまでしっかり書きます。
一応、最終回も考えていますので、中途半端に終わることはありえません。
なので、最後まで、お付き合いしていただけたら幸いです。
再度、ありがとうございました。
最近全く書いてなかったから少し長めに書いてみました。
読んで下さる皆様には本当に、心から感謝しています。
受け取った気持ち分、更新頻度で返せてたら良いな。そう思います。