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嵐の前兆の終わり

今現在、日間ファンタジー異世界転生/転移ランキング24位です。

突然の高評価に驚きを隠せません。

今まで一日二千アクセス。多い時で五千アクセスでにやにやしながら喜んでいたのですが、

昨日のアクセス36000。

嬉しいですがつたない文章ですのでがっかりされていないかが怖いです。


少しでも多くの人に楽しんでもらえるように何とかがんばっていきますので、どうかお楽しみ下さい。

つまんなかったらごめんね(´・ω・`)


追記。デイリー十六位まで上がっていました。何事でしょうこれ。びっくりです。

 

 調査から戻ってきたユウは、直に三世の所に行き、説明を始めた。

 残りの三人はそのまま仕事に直行した。難しい話をしたくないという理由もあるが、一番の理由は数日とは言え仕事を休んでいたからその心配だった。

 料理関係はルゥが抜けても基本的に回っていた。多少は味が落ちたが許容範囲と言って良いだろう。

 シャルトの仕事は清掃などの裏方だからそこまで問題にはならなかった。ただ、シャルトの抜けた後をカバーするのに四人の人員が必要だったが。

 競馬関係は客足がかなり遠のいた。実況解説を行う人がいないから地味になり、端的に言えば飽きが来ていた。ユラは慌てて実況に戻った。

 ユウがいないから解説がいない。だから解説も自分で行うことにした。


 普段物腰の柔らかい大人しそうな女性に見えるユラが、てんぱりながら一人二役の実況解説をするという不思議な光景は大道芸みたいで面白いと別の意味で評判になり客足も戻った。


「違和感の正体がわかりました。ラーライル王国内で大量の行方不明者が出て、その対応として移動規制や情報統制が行われています」

 三世はユウの言葉を聞いて、違和感の正体に納得出来た。というよりも言われるまで何故気づかなかったのかというほど、簡単な答えが転がっていた。

 牧場の客層を見たら一目瞭然だった。


 確かに牧場の拡張も進み、規模は膨れ上がるように広がっている。それに客の伸びも比例して上がっている。だけど、増えている客は冒険者のような風貌の男ばかり。

 家族客はむしろ減っていた。宿泊施設も安い宿はいつもいっぱいだが、高級宿泊施設は空室が目立ってきた。

 つまり移動規制で一般客が減ってきて、近いうちにいなくなるということだ。

 客足が減らないところを見ると、冒険者達には規制の話は来てないらしい。


 三世はユウに更に詳しい情報を求めた。だが、その前にと、ユウは調べ方と自分の秘密を三世に告白した。

 騎士団のテントの盗聴。その為の獣人道具と仮称した特殊な道具。他にも色々と不思議な物が作れるということを三世に話す。

 聞いた三世は盗聴のことだけを軽く叱った。悪いことだが、違和感と不快感が酷かったのでユウの無理にでも調べた気持ちが三世には良くわかったからだ。

 道具について三世は何も言わないし、隠したことを叱るつもりもなかった。秘密の持つのは当たり前だ。無条件で自分を信じきれと言えるほど三世は傲慢ではない。

 むしろ、それを今話してくれたことが嬉しかった。


「それよりもむしろその獣人道具について色々と詳しく教えて欲しいですね。何か良い発想が生まれるかもしれません」

 叱るよりも、職人として、エンチャント武具を作る者としての好奇心の方が勝ったらしい。三世はマリウスと一緒にユウの知識を教えてもらうようにユウに頼んだ。

 既に秘密は一切無いユウは、知っている知識を全て提供すると約束した。これは、一種の信頼の証明でもある。

 ユラと共にこの人に仕えて生きてゆきたい。そう考えられる程度には、ユウは三世を気に入っていた。


「話がずれましたが、行方不明についてもっと詳しい情報はありますか?」

 その問いに、ユウは頷いた。

「むしろここからが本題ですね。行方不明者のうち大半は既に死体として発見されました。そしてそのうちの何割かは死体のまま動き、元いた村を襲ったそうです」

 ユウは淡々とまとめた情報を三世に説明しだした。


 最初カエデの村から離れたとある村で行方不明者が出た。探しても見つからず、探した人も行方不明になり、気づいたら一週間で百人以上の行方不明者が出た。その村は二百人程度だったらしく、半数がいなくなったと考えたら大事だろう。

 そして一週間の間はどれだけ気をつけても人が消えたのに、次の週からは誰一人いなくならなかった。ただしこれで終わりではなかった。

 更に一週間ほど経過した辺りで十数体の行方不明者が見つかった。ただし、歩く死体として。のろのろと歩き、手当たり次第に人を襲う化物になっていた。


 被害があったのはこの村だけでは無かった。歩く死体が出だした位の時に近隣の町で行方不明者が大量に出た。そして、同じように一週間ほどで人が消えるのはぱたっと止まり、時間差で歩く死体となり襲ってくる。これが合計で四件の住宅地で繰り返された。


 移動を繰り返している上に犯人が見つかってないことから、犯行は少人数以下と見られている。

 騎士団も珍しく軍と完全協力して臨んでいるが、未だに犯人が見つかる目処すら立っていない状態だった。


 犯人の狙いはわからない。が、移動していく方向を見てみるとそのまま王都、つまり三世の行く城下町の方向と直線で繋がっていた。近いうちに城下町が狙われると考えるのが妥当だろう。

 だから既に城下町では市民の過度な外出を制限するように呼びかけていた。近隣の被害の出そうな村や町にも既に通告が住んでいる。それに加えて村や町に防衛の人手を置くようにもしていた。

 被害の方角から見ると、カエデの村は首都の奥。だから先に首都が狙われる可能性の方が高いと判断されて避難や通告が遅れているらしい。それでもカエデの村にも近いうちに外出禁止等の連絡が来るそうだ。


「後は、騎士団が歩く死体の襲撃を撃退していき、殲滅している時、色んな場所で眠るように倒れている行方不明者を発見しました。ほとんどの人が死体としてですが、数人だけは生き残った人もいるそうです。最終的には約四百人ほど行方不明になり、生死合わせて約三百人見つかりました。それは歩く死体も含めての数です」


「事件の酷さも考えさせられるが、それよりその獣人道具が凄いですね。この道具は絶対に周囲には隠しましょう」

 まだ防諜という考えの薄いこの時代に持ってはいけないバランスブレイカーだと理解し、ユウに自粛するように求めた。ユウもそれに頷く。

 ただ、これはルゥのような聴力が無いとここまで出来ないとユウは三世に説明する。同じ獣人でも、ユウの聴覚範囲と聞き取る力ではここまでクリアに音が拾えない。


「他に情報はありますか?」

 三世の問いにユウは考え込む仕草をし、その後自信無さそうに話し始めた。

「確証や証拠は無いそうですが、今回の事件の犯人を騎士団の方々はアンデッド族だと想定して動いているみたいです」

 ユウのその発言はあまり好ましい考えでは無いという態度が出ていた。


 三世は以前職業訓練所学んだことを思い返した。

 アンデッド族。

 亜人の一種であり、そして例外でもある種族だ。亜人ではあるが、特別な生まれ方をする為、多くの人に嫌悪されている。

 アンデッドは卵や子供では基本的に数を増やさない。それまで死体だった物が突然変異して誕生する。

 見た目も特に決まりは無く、ガスのような気体からガイコツのような姿と酷く冒涜的な方向に幅広い。

 しかも亡骸から変異するが亡骸の記憶などは一切受け継がれない。完全な別人として誕生する。

 だからこそ、既に死んでいるという意味で死の民という侮言が付けられている。

 お前らは死んだ後の存在だ。生きているわけではない。そういう意味で付けられていた。


 もしかしたら本当に生きていない可能性もある。彼らアンデッド族に寿命という概念は存在しない。無限の寿命を持っている者を生きていると言えるだろうか。

 寿命が無く理解出来ない生命だからこそ、気味悪がられ人達から恐れ嫌悪されている。

 だがユウはその考えがあまり好きでは無いという印象を持っているように三世は見えた。

 人の社会の中で生きる獣人だからこそ、悪いことは外部の人と考える発想が気に入らないのだろう。

 特に、アンデッド族は嫌悪される種族の割に問題はほとんど起こなさない種族でもある。

 アンデッド族は基本的に無害である。だからこそ、死体から生まれるという種族でも嫌悪で済んでいるのだろう。


 しかし、現実問題で考えるとアンデッド族を疑うのは理に適っている。死体を操り人を襲われるなど冒涜的で酷い技術や魔法はラーライルどころか他の人類を含めても存在しない。

「騎士団の中では『死者を操る邪法は無い。きっと死の民の奴らだ』という考えが主流になっています。証拠も無いのに」

 人間の社会の中で生きる獣人だからこそ、悪いことを外部のせいにする考えがユウには気に入らなかった。

 だがユウも理解はしている。一番怪しいのはアンデッド族であると言うことを否定出来ない。

 一方三世はもう一つの可能性も考えていた。死体が歩くというのはとても冒涜的なことだが、その考えは現代に居た人なら誰でも知っている。

 ゾンビという言葉はそれほどメジャーな言葉になっている。だからこそ、転移者が関わる可能性を三世は考えた。


 どっちにしても、今は情報が不足しているからこれ以上考えても無駄だった。


「一応この村に被害が出る可能性は低いらしいです。被害にあった方向は首都を挟む反対側。もし狙いがあるなら首都を狙うのが普通です」

 だからこそ、騎士団も軍もこの村への対応は後回しにしていた。

 三世達が今回で特にすることは無い。強いて言えば何かあった時に牧場を休業する準備くらいだろう。だが、三世もユウもそう考えてはいなかった。


 ずっと不愉快な気持ちが体を漂う。不快感と言う名の違和感は、むしろ確信へと変貌した。それはこの村がかならず巻き込まれるという確信だった。

 ユウは戦場の人が消えていく雰囲気に似ていると思った。それは不愉快な気持ちは喪失感だとようやく理解出来た。知っている人がいなくなるかもしれないという気持ちがユウを苛立たせていた。

「そうですね。確かにユウの言う通り、この村の被害は無いでしょう。では、もし被害に遭うとしたら、どう対処したら良いでしょうか?」

 もし、と言葉につけているが、言っている三世もユウも確実に被害が出ると考えていた。その考えが外れても笑い話になるだけだ。

「そうですね。とりあえず村全員での脱走を想定しましょう。村で構えて待つよりも早々に逃げた方が被害が減ると思います。そして、そのために必要な物を考えましょう」

 ユウの考えに三世も同意する。もし村に被害が出るようなら、とっとと逃げて他の村や町、または騎士団や軍と合流すれば良い。最悪でも、住民だけは犠牲にしない方向で考えたかった。建物は無くなっても作り直せるが、人は亡くなったらもう会えない。




「まさかここに来てこれの出番になるとは思いませんでした」

 三世は書類を一束用意した。それは牧場の経営や推進の際の企画の一つ。そして没になった企画でもあった。

 その名も『特別保存食販売企画』。美味しくない保存食を少しでも美味しくする。

 冒険者と騎士団が客に多いからこそ、長期の冒険の際に必要な保存食を牧場で売ろうと計画した。だが、この企画は没になった。

 そもそも、カエデの村に観光に来るような冒険者や騎士団の人が、すぐにしんどい長期の冒険を考えている訳が無い。

 むしろ長期の冒険の疲れやストレスを解消するような人が多い中で保存食を見せて現実に戻しても誰も得しないだろう。

 そんな理由でこの企画はお流れとなった。ちなみにこの企画の案を出したのはコルネだ。どうしても美味しい保存食が欲しかった。特にメープル味の乾パンが欲しかったらしい。


 書類の中でも簡単な保存食を幾つかピックアップし、必要数を計算していくユウ。

「そうですね。これらに加えて水を村人の人数分。いえ、念のため人数の倍位用意すべきですね」

 ユウの言葉に三世は頷いた。幸い、保存食だろうと水だろうと引いてくれそうな動物は二桁単位でいる。

 多少荷物が増えても後で足りないという事態を避ける方が大切だろう。


 三世は今回の脱走の計画に牧場で得た儲けを全てつぎ込んだ。原価だけとは言え、保存食と水を村人分用意するというのはそれほど大事だった。

 しかし、それでも予算は全然足りない。まだまだ工夫がいるようだ。村が成長し、人が増えたことが仇となっていた。


 また、大勢の避難が本番で成功するとも二人は考えられない。

 相談して、少しでも脱走の企画を練りこむ。思いつく限りの逃げ方を二人は話し合った。

 その上で、三世とユウは村長を巻き込むことにした。避難訓練という形で練習してもらったり予算内でやりくりする方法など。

 こういう細かい運営を村長は繰り返してきたからそのノウハウを借りたかった。


「ところで、アンデッド族って人間達に紛れ込んでたらすぐにわかりませんか?骨とかの見た目らしいですし。それならすぐに犯人が見つかると思うのですが」

 三世の質問にユウは否定した。

「いえ。アンデッド族と言っても本当に色んな見た目の人がいます。もちろん人間と同じ見た目の人もいますよ」

「なるほど。ですがそれならアンデッド族って見分ける方法あるんですか?」

 三世の新しい質問に、ユウは答えにくそうに答える。

「そうですね。共通点では無いですが、同じような趣味というか思想になりやすいですね」

「思想ですか?」

「……何といえば良いのか。一人の人をとても愛する人になるそうです。その人の事だけを考えて生きていくような……」

 ユウは言い辛そうに遠回りの表現をした。分かりやすく言うとアンデッド族は愛が重いのだ。重すぎて性格が歪み病むほど酷い。種族単位で偏愛主義である。

「うん?良く分かりませんね。他に違いって無いのですか?」

「そうですね。まず血が黒いです。だからかわかりませんが黒い服を好んで着ている人が多いです。あと、病気のように痩せている外見が基本みたいですね。例外も多いですが七割がたそういう見た目をしたがるそうです」


 そう聞いた三世は、ふと数日前に会ったアルノという少女を想像した。黒を好む病的な見た目。確かに一致している。

 ただ、この牧場に危険思想や他人を傷つける目的で入ろうとする輩にはエルフの実が反応するようになっている。

 その日の反応は無かったから、彼女が誰かを傷つけているということは無いと思う。

 そう三世は思おうとするが、どうしても彼女が無関係とは思えなかった。


ありがとうございました。


本当に色々驚いています。何を言えば良いのかわからない位は驚いております。


昔から応援してくれた方ありがとうございます。期待に答えられていますでしょうか?


新しく来てくださった方もありがとうございます。楽しんでもらえているでしょうか?


言いたいことは沢山ありますがなかなか言葉になりません。

なので読んで下さる方の為に作品にて気持ちを込めたいと思います。



では再度ありがとうございました。

これからも続けていきますので長いお付き合いを考慮していただけたら幸いかと存じまする(`・ω・´)

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