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森に住むものたち  作者: 伊吹 千伊
第1章 叉僂(さる)さんの悩み事
6/6

第4幕 ~おはようございます、お目覚めはいかがですか?

これからどんどんとキャラクターが出できまーす。

「わー!(まぶ)しいな~!

それにしても、綺麗(きれい)夕日(ゆうひ)ね…。」

猿渡(さるわたり) 黎子(れいこ)は、呑気(のんき)(つぶや)いていた。

夕日(ゆうひ)()かけていると()うことは、もう()しで人間(ひと)身体(からだ)になってしまう。

自分(じぶん)姿(すがた)(いま)動物(どうぶつ)としての姿(すがた)だから、人間(ひと)になる(まえ)に、(いえ)(かえ)って、(ふく)()ないと大変(たいはん)なことになる。


(もう(すこ)しで(いえ)には()きそうだ……。

ふぅ…もう少し夕日を(なが)めたかったな…。

いつものことだけど、残念(ざんねん)だわ…。

みんなは、大丈夫(だいじょうぶ)かな?)


そんなことを黎子(れいこ)(おも)(ふけ)っていると、(いえ)敷地外(しきちがい)(もん)(まえ)で、黎子(れいこ)

(はは)邇子(にこ)がいつものように、夕日(ゆうひ)(のぼ)るギリギリに(かえ)ってくる(むすめ)黎子(れいこ)(まに)っていた。

「ただいま~!お(かあ)さんー!」

「おかえりなさい、黎子(れいこ)

今日(きょう)見廻(みまわ)りご苦労様(くろうさま)。」


今日(きょう)(もり)はなんとも()かったよ~。」


「そう…。とりあえず、黎子(れいこ)(いそ)いで着替(きが)えなさいー。

ほら、すぐそこにある、衣裳部屋(いしょうべや)()ってらっしゃい!」


「はーい!」

そうして、黎子(れいこ)(すす)(ある)き、(はは)邇子(にこ)(ある)きながら、一緒(いっしょ)衣裳部屋(いしょうべや)()かった。



(なんとか……今日(きょう)も…()()った…………。

毎度(まいど)のことながら、こうも毎度毎度(まいど)ギリギリに(かえ)ってくるのは、お(とう)さんもお(かあ)さんも黎嗣兄様(れいじにいさま)黎駕兄様(れいがにさま)もいつものことだから、見逃(みのが)してもらえているけど、半分(はんぶん)(あきら)めもあるのかな。)


黎子(れいこ)は、衣裳部屋(いしょうべや)へ入り、着替(きが)えた。

夕日が登ったので、黎子(れいこ)人間(ひと)姿(すがた)になった。




「そういえばお(かあ)さんー!今日(きょう)は、お(とう)さんは、仕事(しごと)(かえ)ってくるのは(はや)いの?」


「お(とう)さんは、うーんと…今日(きょう)は、(すこ)(おそ)くなるとは()いたわよ?」


「そっか~ふーん……それなら今日(きょう)は、お(とう)さんの稽古(けいこ)()()わなくて()みそうね~!」


「ふふふ……そんなこと()っていると、お(とう)さんがどこからか(きゅう)にフラりと(あらわ)れそうね。あの(ひと)はフラりと(あらわ)れるから……。」


()めてよ~お(かあ)さんっ!

そんなことを(はな)していたらお(とう)さんが本当(ほんとう)(あらわ)れそうになるじゃないっ…。」


「そうね……。

そういえば今日(きょう)(あさ)にね。あの(ひと)ったらね、(わたし)朝食(ちょうしょく)()ってくる(とき)に、気配(けはい)(ころ)して、(うし)ろから「うわー!」って、(おどろ)かせたりするのよ…。あの(ひと)はね、いたずら()きなところがあるから、本当(ほんとう)(むかし)から(こま)った(ひと)よね…。」


「お(かあ)さんは反応(はんのう)面白(おもしろ)いからね~!

(とう)さんもつい、いたずらしたくなっちゃうんだろうね

あははははっ~!お(かあ)さん~そりゃ、お(とう)さんは武道(ぶどう)達人(マスター)で、最強(さいきょう)術者(じゅつしゃ)でもあるんだから、あのお(とう)さんだから、つい術者(じゅつしゃ)(くせ)()ちゃうのかもね~。

(わたし)もお(とう)さんの気持(きも)ちに共感出来(きょうかんでき)るなぁ~!」



「ほう…それで黎子(れいこ)は、(なに)共感(きょうかん)したんだい?」


「ああ、それはね……おと……っ!!」


「ひゃお、お(とう)さん!?」


「きゃ!…って……あら、おかえりなさい、翔一郎(しょういちろう)さん。」


「ただいま…。

(かえ)ってきて早々(そうそう)、(おどろ)かれるなんて、どうした二人(ふたり)とも?」



「あぁ……お父さんっ…おかえり~!」



「はい、ただいま(かえ)りました。

さて、黎子(れいこ)(わたし)今帰(いまかえ)ってきたからには、(わたし)稽古(けいこ)からは()げれないよ?

さあ、私の稽古(けいこ)から()げたいなら、(わたし)に、一本(いっぽん)でも(じゅつ)()てたら、今日(きょう)稽古(けいこ)()わりにするからね?」


「あの……(わたし)、そもそも、お(とう)さんに(じゅつ)()ったことなんか、(いま)まで(かぞ)える程度(ていど)しかないよ……?

まあ、今日(きょう)こそはお(とう)さんに()つけどね~!」


「いつも()っていますが、翔一郎(しょういちろう)さん、程々(ほどほど)にお(ねが)いしますよ?

手当(てあて)てをするのは、(わたし)なのですから。その(こと)(わす)れないように。

黎子(れいこ)、あとは、頑張(がんば)りなさ~い。」


「はい…………。」


こうして、今日(きょう)黎子(れいこ)(ちち)翔一郎(しょういちろう)は、(むすめ)黎子(れいこ)()()がらなくなるまで、みっちりと“(じゅつ)”の稽古(けいこ)をしたのでした。


(じゅつ)稽古(けいこ)には毎回毎回(まいかいまいかい)、お(とう)さんが()るときだけしか(むかし)からしていないから、

(べつ)()ではなかった、が…………。


「はぁはぁ……っ、はぁはあ……。

(とう)さん…………そういえば……今日(きょう)は…黎嗣兄様(れいじにいさま)と…黎駕兄様(れいがにいさま)は…稽古(けいこ)()ないのですね……。」


「あぁ、あの子達(こたち)は、今日(きょう)は、(わたし)(あさ)にみっちりと稽古(けいこ)をしたから、きっと今頃(いまごろ)(よこ)になっているんだろう。」


兄様(おにさま)たち、お(いた)わしい……。」


大丈夫(だいじょうぶ)だ、あいつらは()ぬことはない。

()いか。

この稽古(けいこ)普通(ふつう)稽古(けいこ)とは(わけ)(ちが)う。

肉体(からだ)精神(こころ)同時(どうじ)(きた)えなければならないから、負担(ふたん)()かる。

しかし、この稽古(けいこ)術者自身(じゅつしゃじしん)(きた)える意味(いみ)があるからこそ、

こうして、(わたし)(みずから)ら、術者(じゅつしゃ)として、この(じゅつ)心得(こころえ)をお前達(おまえたち)手解(てほど)きしているのだ。

前達(おまえたち)にとってはただの苦痛(いたみ)でしかないとは(おも)うが、これもお(まえ)たちのこれからの未来(みらい)(ため)には必要(ひつよう)(じゅつ)なのだ。」


「それは、(わたし)も…兄様(おにさま)たちも……重々承知(じゅうじゅうしょうち)しているよ…。

(すこ)しでも、お(とう)さんに()()き、()()すために…日々(ひび)、稽古(けいこ)(いど)んでいますから…。それに、(わたし)(たの)しいから。

大丈夫(だいじょうぶ)よ、お(とう)さん。ふふふ…。」


「そうか、ありがとうな。黎子(れいこ)

それでは、黎子(れいこ)よ。

休憩時間(きゅうけいじかん)…いや、()そべっている時間(じかん)(おわ)わらせるためにも、もう一回(いっかい)しようか?」


「…………はい…、お父さん。もう一回、お願いします!」



こうして、黎子(れいこ)は、今日(きょう)気力体力(きりょくたいりょく)限界(げんかい)(たっ)して、(たお)れたのでした。


次回の、

“森に住むものたちは”、、、

『第5幕 ~黎嗣(れいじ)黎駕(れいが)~』です。

次回作もどうぞ、お楽しみに~!!!

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