前説.魔界
最近更新しようにも、文学賞用作品の締め切りに追われていたので、連載作品を書く暇がありませんでしたが、少し余裕が出来ましたので、少しだけ更新です。
時を同じくして魔界。天界とは異なり界層はない。あるものは唯一つ。フォーリンエンジェルスたち、通称サタンによる暗黒による力の世界。その筆頭である魔界において絶対的支配力を発揮する女魔王、ルシファー。天界と異なるのはルシファーを筆頭にした隊が成されている。ルシファーに次ぐ魔界の力の王、ベルゼブル。悪徳の無価値なる王、ベアリル。破壊の王であり、かつて天界大天使ガブリエルに追放された好色王、アスモデウス。魔界における金鉱採掘士の名を持ち、万魔殿たる宮殿を建立した貪欲の王、マモン。強靭な肉体を持ち、魔獣を従える驕りの王、レヴィアタン。レヴィアタンが海の王であるのに対し、陸の魔獣を従える獣の王、。ビヒモス。
魔界はルシファーを魔王とした六の王による支配に成立する。目下に平伏すは、レヴィアタン、ビヒモスは魔獣。二獣王以外は堕天使ならびに魔女、魔術師によって天界とは別の階級支配が存在している。
「ルシファー様」
宮殿最上部。魔界が暗黒に包まれているという中で、最上部は光が満ちていた。故に最上部を訪れることが出来るものは王の名を持つ魔界の王たちのみ。
「何?」
煌々と輝く女王の間。ベルゼブルは目を細める。美しい片顔と醜き片顔の王。ルシファーは静かに跪くベルゼブルを見る。
「地上界を回遊する魔女隊より報告です。地上界において、不穏なる動きを確認。また地上界より遣魔使の要請を仮受諾とのことです」
言葉は静かに、思慮深さと疑念、憂国の至情が表情には現れている。堕ちたとは言え、その放つ威厳には王という輝きは失われていない。
「進言するは、全ての拒否。並びに不穏なる事態の破滅。我らが魔女、魔術士隊に地上界の不穏分子の駆逐を」
跪き、頭を下げる。王が女王に伏す。魔界にしかない、その違和と調和。ベルゼブルだからこそ、魔界と言う無限なる獄に沸く強大無比なる重責を負う王の賢者。その姿がルシファーの前にある。
「不要だ」
だが、ルシファーは全てを却下に落とす。ベルゼブルが顔を上げ、言葉を待つ。
「何故に、そう申されるのです?」
「我ら魔が地を落とすは容易い。だが、天が居る。天は我らを治める。故に地は魔を滅す。ならばどうだ? 託を得る機を待て」
冷たい目。片目には光を。片目には闇を持つルシファー。ルシファーの言葉にベルゼブルは不服げではあるが、力量の差を知るも王。潔く引いた。
「……天よ。懐かしき場だ」
光に満ちる宮殿最上部に鎮座すルシファーの目は、思い人を想うかのように魔の力を光の下に封じ込めた優しさを見せていた。
FCEとかユースウォーカーズとか更新を楽しみにして頂いている方には申し訳ありませんが、今月末までは、やはり前書きに書いたとおりに余裕があるとは言え、厳しい状況はあまり変わりありませんので、更新はお待ち下さい。九月頭には更新します。
続編のストックが切れてしまっているので、ちょっと遅くなりますが、ご了承下さいませ。 ともみつ