前説.天界
報告です。
少々厄介なウィルスにやられていたため、現在はHDDの入れ替え作業を残すところになり、もうしばらく作業がかかりますので、予定していた三世界戦争の更新は21日あたりを目処に変更します。
バックアップを取る間がなかったので、新たに執筆も、仕事の執筆に差し支えてしまうので、しばらくお待ち下さい。
代わりに新小説を連載します。ラノベ系ですが、仕事の執筆用PCに入れていたものがあったので、加筆して連載すると共に、solaも少し更新します。
予定日は17日にしますので、連載が滞ってご迷惑をお掛けしますが、ご理解をよろしくお願いします。
ちなみにsolaは18日か19日です。17日は新小説のみとなります。
さらにですが、新たに仕事が入りまして、そちらを優先させねばならないため、今後の更新順序に若干の偏りがあるかもしれませんことを、先にお詫びいたします。
天上天下には、三つの世界が対を成す。欠ければ失い、出れば失う。均衡ゆえの安寧。人は天を犯さず、天は魔を犯さず、魔は地を侵さず。共存ではない共生。干渉のない存在。ただあり続け、時に祈り、時に憎み、時に悲しみ、時に歓喜する。それは全てが祈り。人は天と魔へ祈り、天は魔と地へ祈り、魔は天と人へ祈る。願いが善悪の何ものであろうとも。
―――潰えた均衡は破壊を呼んだ。
破壊は再生への初階。芽生えることすらなかった世界への干渉。天は神と使いにより、魔は王と従えにより、人は長と利器により、その均衡を打ち破る。神聖、邪悪、欲望。三世界にある分裂を結ぶものとして。
―――天は、人と魔を調停せしめるべきであり、侵しむる者あらば、無垢なる力を用いて浄化せよ。
―――魔は、天と人を服従せしめるべきであり、侵しむる者あらば、暗黒より力を用いて屈服せよ。
―――地は、天と魔を治むる器であるべきであり、侵しむ者あらば、制圧なる力を用いて統治せよ。
三世界に掲げられし力。破られし均衡の先にある世界を手にすべく、三世界は戦を争うに仕えるべく一時の安寧の中にある。
「神様? 神様ぁ? どこですの?」
天界は七つの層に分断される。その最上界の空間に浮かぶ島、アポロス。幾つものミルキーウェイという羽で作られた道が最上界第七天、アラボトに降り立つ。そこに居るものたちは皆純白無垢のつばさを携えている。だが、アラボトに居るものたちは地上界の女性を象る女天ばかり。一重の真白のローブを身体に巻き、それぞれが課せられし責務に勤しむ。
アラボトの界下にある第六天、ゼブル。アラボトとはまた異なる大天子と呼ばれる天界階級第三位に付随する天使が三世界の秩序、地上界の星々の管理、運行、また天界での神よりの御言葉の伝達、天界全ての天使の教育、守護天使の管轄と多岐に渡る重要を司り、中級一位から下級三位までの天使はゼブルの大天子の下に存在する。
ゼブルの界下第五天、マティ。六天までとは異なり、マティはかつて地上を殺戮に貶めた天使たちの幽閉の為の天界における闇を司る、永久の牢。天使が堕ちる時、マティに集う闇を背負い魔界へと天使は落ちていく、その場。
マティの界下第四天、マコノム。地上の祖となれしアダムとイブの犯した禁忌、知恵の木が根を張り、天使楽隊が音色を奏でる安らぎの界。エデンと呼ばれる広大にして地上界の源の園がどこまでも鎮座する安寧の地。
マコノムの界下第三天、シェハキム。マコノム同様に緑豊かに恵みの地として香り高い風の吹きぬける神の休息の地として機能している。だが、マコノムと絶対的相違が存在し、シェハキムは神直轄の生命の木が芽生えている。安息の北の一方で、南方の地はマティを越すつ暗黒の焔の地と化し、天界天使の断罪使による罪天使への残虐で無慈悲な処刑の地でもある。
シェハキムの界下第二天、ラキア。魔へ堕ちる堕天使の収容界。神の怒りに触れたものの辿る天界獄地。全ては神により鉄槌を下され、ラキアは天界においての流刑地を果たす。魔界よりの魔族はこの界を通し、天界との交信を持つ。
ラキアの界下、地上界と魔界に最も近い第一天、シャマイン。天使たちによる地上界への天から降り注ぐ全てのものを管轄し、魔界へ追放するものたちの一時の監獄も果たす。
七界層からなる天界。そこには界に準ず天使が存在する。アポロスにて神の元へ使える上級一位セラフィム、上級二位ケルビム、上級三位オファニムの唯一天使に続き、中級一位ドミニオンズ、中級二位ヴァーチューズ、中級三位パワーズ、下級一位プリンシパリティーズ、下級二位アークエンジェルス、下級三位エンジェルスにより成立する天界。
その天界を収める神たるものを捜索する天使でアポロスは慌ただしさを見せていた。