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6 許さないんだから!

お読みいただきありがとうございます。

闘います。

ブクマ嬉しいです!大感謝♪

…大丈夫じゃなかった。


セブランはステップを間違え、カーリン様の足を踏み、他の人とぶつかって2人で盛大に転んだ。


それでも嬉しそうに笑うカーリン様を見てたら2人の幸せが確かなものだと分かった。


無事に恩返しが済んだので、まずはお礼に伯爵と、それからセブランの知り合いを優先しながら踊る。みんな自分が上手くなったような気がする、と喜んでくれた。


体を動かすのって気持ち良い!




10曲くらい踊って飲み物を飲みながら休憩しているとドーベルマンぽい騎士風の人からダンスを申し込まれた。


身のこなしからかなり強いと分かる。

そして警戒しているのも感じた。


どうしよう?


「たくさん踊りましたから疲れてしまいました。」


と言う理由で断ったけど却下された。


「ろくに汗もかかず、呼吸も乱れてはいないではありませんか。私では不足ですか?」


騎士でイケメンで強いから自信があるんだな。どう断ろうかと悩んでいると脇からプラチナブロンドの王子系イケメン登場。雪豹…


「振られちゃったね、ベルンハルド。

彼が嫌ならぼくと踊ってもらえませんか?」


お気楽王子と呼ぼう。


にこにこしながらボクの手を取り、強引にホールへ連れていかれた。意外だ。

エーランド先生に迫る巧みなステップに驚かされた。上手い人と踊るのってやっぱり気持ち良い。


曲が終わって戻るとベルンハルドがさらに険しいオーラを纏っていた。


「お前は何者だ!?」

「!?」


低い声でそう言いながら突然殴りかかられ、反射的に避ける。次々と繰り出される拳を避けて往なして躱す。訳も分からず攻撃されるのってムカつく!!


バックステップで騎士を避けると、ぶつかってもいないのに後ろにいた人が驚いて転び、テーブルに倒れ込んで丸テーブルをひっくり返した。


跳ね上がる食器、飛び散る料理、空飛ぶ赤ワイン…


ばしゃっ…!!




「あぁーーーーーーーーーーっ!!」


お母さんの大切な思い出のドレスに赤ワイン!!


「ひ、ひどい……」


ボクが何をしたって言うんだ。勝手に疑って言いがかりをつけて有無を言わさず殴りかかって…


「うえぇぇぇぇんっ!!」


大きな涙をぼろぼろ零しながら号泣してしまった。だってドレスが…赤ワインてシミになるんじゃなかったっけ?


「許さないっ!!」


床にぺたんと座り込んだ状態から一瞬だけ床に両手をつき、跳躍して騎士に飛びかかる。殺気を隠しもしない瞳は見る者を金縛りにする、はず。


顔面に拳を叩き込んだのに首をひねって避けられてしまった。即座に親指を伸ばし口角に引っ掛けに行く。

頬が裂けスプラッタになるはずなのにまたしても躱される。すれ違い様に膝蹴りを入れるも不発。

着地して方向を変え足払いをかけると一瞬の隙が生まれ、捻りを加えた手刀を繰り出すと漸く腕の皮一枚を切り裂いた。


強い。


睨み合い、隙を伺うボクに騎士が言った。


「何だその強さは!? 身のこなしに隙がなさすぎる。

何の目的で潜り込んだのか、尻尾を現せ!!」


手刀で薙ぎ払われ、紙一重で躱して懐に潜り込み顎に掌底を打ち込もうとしたのに捕まりそうになって後方に飛んで距離を取る。


そこに追撃をかけられた。


「だいたいその動かない耳は何だ!!」




手の届かない距離にいたのに空を切った拳の風圧で付け耳が吹き飛ばされた。がっちり固定していたはずだが、さすがにこれだけ動けばピンが緩んでしまうようだ。


会場中が息を飲む。




ぽとんっ…




硬い床の上にフェイクファーの猫耳はかすかな音を立てて転がった。


バレた。




…もう良い。もうどうでも良い。






「人間なんだから尻尾なんて出せないもん!!」


ぐいっと髪を上げ、耳をさらけ出す。




「何にも悪い事してないのに〜〜〜〜!!」


強さで敵わず、付け耳を取られ、正体をバラされてまたしても泣き出してしまった。




「えぇーーーーーーーーーっ!?」




1番大きな声で驚いてるのはセブランだな。涙が止まらずえぐえぐと泣いていると、周りから人間?人間?と囁きが聞こえてくる。


呆気にとられた顔の騎士。


そこへエーランド先生がやって来た。


「人間、だったのですか?」


「…っぐ、ひぐっ…そ、です。でもエーランド先生、が、人間は捕まえて閉じ込めるって、言うから…、秘密にしよう、って…」


「それは!…怖がらせて申し訳ない。でも獣人は多かれ少なかれそう言う欲望を持っているのです。これは本能で…仕方がないんです。」


「ボクは、ぐすっ自由でい、たいんです…。恩返しを、して、好きな仕事に、ついて、好きな服を着て、楽しく暮らしたいだけなんです。」


そう言ったら近づいて来たお気楽王子が言った。


「あなたには申し訳ない事をしたね。僕が必ず守ってあげる。自由である事がチハヤの願いなんだね?」


自然な動作で抱き上げられ子供抱きされたので、見下ろす形で頷いた。


そして、お気楽王子に促されてベルンハルドが謝ってくれた。


人間を攻撃して泣かせた事で非難の目で見られている。勝てなくて悔しいけど、社会的制裁は受けたようだから許す事にした。


お母さんには謝ってもらうけど!

最後に許しちゃってる…

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