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4 舞踏会へ行っくよー!

お読み下さりありがとうございます。

ブクマとっても嬉しいです。

お楽しみ下さい!

いよいよ今日が舞踏会本番です!


草むしりすると爪が痛むので窓ふきをした。梯子をかけて高い所の窓を磨くのは楽しいけど、お母さんが驚いてひっくり返ったので止めさせられた。


朝食の時にその話をしたらお父さんに笑われた。





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ドレスOK、髪型OK、アクセサリーOK、靴OK、ネイルOK、メイクOK。


完璧な猫耳美少女の完成!!


土曜日で仕事が休みだからお父さんにもお披露目。褒めちぎられて気分が良い。お母さんが得意げなのも照れちゃう。


タキシードを着たセブランは髪を整えられてもっさりした印象はどこへやら。なかなかの爽やか青年だ。いつもこうしてれば良いのに…


セブランもボクを見て赤くなっている。近づいて上目遣いに見上げれば見るからにおろおろしている。エスコートしなきゃダメでしょ!


にっこり笑って手甲のようなサテンの指なしグローブをつけた右手を差し出す。

はっとして手を取り、セブランが言った。


「パートナーになっていただけますか?」

「喜んで。」


このやりとりが無いと始まらないよね。セブランに手を取られたまま優雅にお辞儀をして家の人達にご挨拶して馬車に乗る。夢みたい!!


そして夢は続き、舞踏会会場へ着く。エスコートされて馬車を降り、案内されて両開きのドアを開けてもらって入ると左右に大きな弧を描いた階段の踊り場になっていて、赤い絨毯が敷き詰められている。踊り場はバルコニーのようになっているから位の高い人はここから顔を見せて手を振って帰る、なんてこともありそうだ。ボクには関係ないけど。


エスコートされながら階段を下りて行くとどよめきが聞こえて来た。集まる視線を感じて会場を見渡し、にっこりと微笑んで頷く。個人と面と向かったときはちゃんと頭を下げるけど今はこれで良い。注目に馴れていないらしいセブランがガチガチに緊張して足下が覚束ないよ。大丈夫かな?


エスコートに従い壁際に進むと、声をかけられた。


「よう、セブラン!こんな可憐なパートナーをどこで見つけて来たんだ?紹介してくれよ!」


「あ、あぁ、こちらチハヤ、遠い国から行儀見習いに来たんだ。チハヤ、こちらは私の上司でアルトゥル = セイデリア子爵。」


すらっとして茶色の垂れ耳、ふさふさの尻尾。ゴールデン・レトリーバーかな?かなりのイケメンだ。


「初めまして、チハヤと申します。爵位のない国で育ちましたので失礼がありましたらご寛容のほど、よろしくお願いいたします。」


日本に関して嘘つかなくて良いや。


「爵位のない国!?そんな国があるのですか?それは本当に遠い所からいらっしゃったのですね。」


「はい。こんな田舎者がこのようなパーティーにお伺いして失礼になるのではないかと心配しておりますが、セブラン様がこれも勉強だとおっしゃって下さいまして…」


セブランをうっとりと見上げて仲良しアピール。

上司をがっつり味方に付けた上で、いじわる伯爵に興味を持ってもらわないとね。


その後も数人職場の人や学生時代の友人を紹介され挨拶をした。


そしていよいよ目的の人物が来た。艶やかな銀髪に丸い耳、背はかなり高くワイルド系イケメンだ。

…熊?


きれいな女性をエスコートしているその人の後ろに、何の獣人か分からないけど背の高い人がエスコートしている女の人はやっぱり銀髪に丸い耳の背の高い人で……


………熊?


顔立ちは可愛らしい感じで大人しそうな印象。でもかなり背が高い。セブランのウサギ耳をまっすぐ立てて同じくらいじゃないのか?


「セブラン様、あの方が…?」


想い人かと聞こうと顔を見れば一目瞭然。頬を染めてせてだらしなく口を開いてデレデレと見惚れている。こら!ボクをエスコートしてるのにそこまで見惚れちゃダメだろ!!


「おい、セブラン、パートナー以外に見惚れるなんて失礼だぞ。」


アルトゥルさんが注意してくれた。

そう言えばアルトゥルさんのパートナーさんはどこにいるんだろう?


「あぁ、私は出会いを求めて来ているから1人なんだ。だからチハヤに見惚れても誰にも叱られないよ。」


この人もタラシか?と思ったけどこんな場所では口説くのがマナーなんだろう。あんまりいやらしい感じしないし。


うふふあははと社交辞令で時は過ぎ、主催者の開始の挨拶で音楽が流れダンスが始まる。

伯爵がゆっくりとこちらへ近づいて来た。


「これはこれはパーティー嫌いのクロンクビスト子爵じゃないか。ここにいると言う事はパートナーが見つかったのかい?」


控えめに目立たぬようにセブランの陰に隠れていたボクはしどろもどろのセブランの注意を引くため、腕を絡めて顔を上げた。


「セブラン様、紹介していただけますか?」


「あ、あぁ、こちらはウーログ = ヴァクトマイステル伯爵。チハヤ、ご挨拶を。」


「初めまして、ウーログ伯爵様。私遠い国から行儀見習いに参りましてセブラン様のお屋敷でお世話になっておりますチハヤと申します。こちらの国の作法を勉強中ですので失礼がありましたら何なりとお教え下さい。」


ふわりと笑ってドレスを摘み、優雅にお辞儀をして顔を上げれば上品そうな顔の中にワイルドに光る野獣の瞳。


ん?ボクの目的ってセブランが立派なパートナーを見つけられると見せつけるんだったよね?

なんとなくノリで愛想を振りまいてるけど羨ましがらせる必要はなかったな。ま、いっか。


「よろしく、チハヤ。こんな可憐な女性がこの世に存在したなんて神に感謝したい位だ。こちらは私の妹のカーリン。仲良くしてやってくれるかい?」


紹介されておずおずと進み出て握手をしてくれた。めっちゃ癒し系。

背は高いけどセブランの耳の先まではないな。ヒールを履いて185cmくらいか。セブランが173cmくらいだから7cm差?カーリンさんはセブランの事どう思ってるんだろう?


「チハヤ様、どうぞ仲良くして下さい。」

「初めまして、カーリン様。田舎者ですがどうか仲良くしてください。」


この人は本当に優しい目をしていて、いじめられたらじっと我慢しちゃう人だ。守ってあげたくなる!

伯爵もこの人の前では良い兄ちゃんなんだろうな。


ボクたちの挨拶が終わると他の人達が連れ去るように伯爵を連れて行った。

第一関門突破!ふぅ、やれやれ。

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