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水中
事後、カオリは不安な表情。
「また、もどかしい気持ちになったよ。」
「新しい自分に困惑しているだけだよ。」
「スバルと付き合ってた頃と同じ。」
「・・・。」
「もっと悲しみたい。悲しむ私は私に気持ちを伝えてくれたから。」
「それじゃあ僕を利用して。僕は君の一部だから。」
「私を叩いて。殴って。蹴り飛ばして。」
2人は立ち上がり、フトシはカオリをビンタする。
「もっと。もっと!」
そして、殴る、蹴る、蹴る、蹴る。
「もっと!・・・もっと!」
倒れる血まみれのカオリ。
「どんな気持ち?」
「・・・全然違うよ。」
「何が?」
「全然足りない。」
フトシはカオリの首を絞める。
「どう?」
苦しい。意識が遠のく。
懐かしい気持ち。
私は私の母の一部。
この世に生まれ、生きている。
1人で。
「君は私の一部でしかないよ。」
「え?」
「やめて。」
フトシは首を離す。
「私を水に沈めて。あの子のように。」
「何かわかったの?」
「まだわからない。」
「そっか。」
2人は風呂場に行く。
そして、フトシはカオリの頭を沈める。
何度も沈める。
「聞こえる。聞こえるよ!もっと聞かせて!」