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翌日。
カオリはトイレへ向かう。
カオリは案の上、思った通り新しい手紙がある。
『君は正しい方向に歩み始めた。
今までと違う道に戸惑いもあるかもしれないけれど、
大丈夫。
君を正しい方へ導くよ。
君の一部より。』
カオリはその手紙の返事を書き始める。
フトシはその様子を隣室から伺う。
カオリは書き終えると、その手紙を便座に置き、トイレを後にする。
フトシはその手紙を読む。
『はじめまして。私の一部さん。
私を導いてくれるなら、私は次に何をすればいい?
まだ、私の歩むべき道は閉ざされたまま。
私より。』
カオリはトイレを去ると、フトシはその個室へ入る。
中の手紙を読んでいると、後ろからカオリが来る。
「はじめまして。」
「・・・初めまして。」
「私の一部さん?」
「・・・うん。」
「次はどうすればいい?」
「何に悩んでるの?」
「私ね、あの人の赤ちゃん、妊娠しちゃったの。」
「その子は君の一部で在ってはいけない。と、思う。だから・・・」
「殺せばいい?」
「うん。」
「どうすればいいかな?手術のお金、ないよ。」
「一緒に考えよ。」
2人はパソコンの画面に向かう。そして、冷水で流産することを知る。
風呂に水を溜め、大量の氷を入れる。
2人は裸になり、氷風呂に入る。
「これを我慢すれば、君は正しい方向に向かうよ。」
「・・・。」
「僕は君の一部だから、信じて。大丈夫。安心して。」
「・・・君は誰?君はなんで私の一部なの?」
「君が僕を引き付けた。無意識の君が。それが本当の君だよ。」
「うん。」
震えるカオリ。
抱きしめるフトシ。
長い時が経つ。
カオリの股から血が流れる。
唖然とするカオリ。
水没する我が子に懐かしさを覚える。悲しい気持ち。
涙が出る。
フトシはカオリを抱きしめる。
「私ね、たぶん今うれしい気持ちだと思う。だって、自分の気持ちを知れた気がしたから。涙が教えてくれるの。だから、うれしいの。」
「一歩、踏み出したんだね。」
「うん。」
「僕は君の一部だから。怖がらずに無意識をさらけ出して。」
「悲しいってどういうことなの?」
「愛しいってことだよ。正しい道を歩む自分が。」
「そっか。じゃあ私は君が愛しいってことなんだね。」
フトシはカオリをキスする。
「そうだよ。」
2人は風呂を後にし、ベッドでセックスする。