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水の中の私  作者: リリィ
2/8

カオリ

私はね。


誰がどんな人生を歩むか大体わかるの。

こいつは平凡な幸せを感じながら死ぬだろうとか、

あいつは夢に破れ、孤独に死んでいくだろうとか。


私は・・・どうだろう?

世間の流れをわかってるつもりだけど、

自分のことになるとわからなくなる。


自分が何を考えているのかわからない。

自分と会話するって何?


心の中の私は私に嘘をつく。

大体わかるの。

なんだろう・・・もどかしい気持ちが体中を駆け巡る感じ。


でもね、だからってそのもどかしさが何なのかわからない。

正体不明のもどかしさ。

私はいつもそれに駆られて生きている。


私は誰?

何がしたいの?

どこに向かってる?

ゴールはあるの?

最初の壁にぶつかって・・・・それで終わりじゃないよね?

悲しい。


ただね。

自分の気持ちがわかる瞬間がある。

無意識に、直感的に、これしたい、あれしたい、って感じた時。

だから、

お腹がすいて、ご飯を食べてるときはすごく幸せ。

眠たくなって、寝ているときはすごく幸せ。



そんな世間一般的に考えれば当たり前のことが幸せなの。

だって、私が何をしたいのかわかる瞬間だから。


そんなことでしか幸せを感じられない私は惨めだよね。

でも、それが私の人生なんだと思う。

これからも、そんな平凡な幸せを噛みしめて生きていくのだろう。


じゃあ、スバルとセックスすることは幸せ?

スバルのことは好き?


平凡な暮らしに恋人は当たり前。

スバルとの交際なんてこんな単純な考え。

でも、それは自分に嘘をついていたんだって・・・

今になって気づいた。


私は私を許さない。


それがトントン拍子で進んで行って。

何時の間にか妊娠して。


私は誰?

誰のために生きているの?


少なくとも今の私に幸せを感じられない。


何かがしたい。

でも、その何かは何?

私は誰?私は誰?私の子供?


誰??????????????



笑顔のスバル。

スバルはその事実に喜んでいた。


大学生活が終われば結婚しよう・・・か。

つまり、私は子育てをするために大学を辞めればいいんだね。


そっか。

わかったよ。

それが私の幸せでしょ?


抑圧された心の奥底の正体不明のもどかしさは、

言葉にならない声を出し、叫び、足掻いていた。


私は私の言葉を聞きたいの。

だから、落ち着いて、話して?

お願い。


私は誰?

何がしたいの?

どこに向かっているの?






カオリは落胆する気持ちを抱え、授業に出る。

そして、唯一の幸せを感じられるご飯を食べ、トイレへ向かう。

その個室には、ある手紙が置いてある。

カオリはそれを無意識に手に取り、読む。




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