召喚魔法(ノロイ)
「ようこそいらっしゃいました。勇者様」
そんなありきたりな言葉とともに僕はこの世界に呼び出された。
話を聞き、いろいろなところは割愛して簡単に説明すると国に魔物が跋扈するようになり、いくつもの領地が失われ、このままでは滅ぶのも時間の問題となった矢先に打開策の一つとして古代の召喚魔法を使い、神の加護を持った人間を異界より呼び込もうとなったらしい。
あっ、ここでいう異界ていうのは平行世界や未来、過去、地獄や天国も含んだ三千世界の考え方でよろしくお願いします。ちなみに僕は平行世界の科学文明万歳の異界から来ました。
そうして、何度かのトライアンドエラーを繰り返して召喚された僕。
ここまで頑張ってきたのだから僕も力になりたいと考えるわけだけど。それで、すぐさまに返事するわけにはいかなかった。
いや、別に家族が~とか、今までの人生をどうしてくれるんだ~とか、戦ったことがない~とか、そういうテンプレ的なことではない。いや、気にはしているんだけどね?
そう、僕が言いたいことは、何で・・・・・・
「なんで、首から上しかないの?」
「あ~、えーっと・・・・・・その、簡単に言いますと力が足りなかったといいますか・・・・・・」
要約すると召喚陣が印刷機。そして印刷機を動かすための力が尽きてしまったので僕の召喚は首だけになってしまったとか。首なしデュラハンではなく、首だけデュラハンだ。
こうして華々しい異世界デビューとはいかず、まずは僕の体を揃える旅が今から始まる。
この国の助けになるにはもう少し時間がかかりそうだ。
この世界の魔法はすべての呪文や魔方陣を完成させなくても一応は発動してくれます。
ちなみに今回の魔方陣では空気が召喚されるのにはじまり、葉っぱ一枚、カエル、ジャガイモ、チワワ、トカゲ、禍々しい像、バイオリンを経て”僕”の頭部のみが召喚されました。
捕捉しますと”僕”が頭部だけなのは、例えるのならダウンロードを中止して中途半端なデータの状態になってしまようなものです。
その他、人体に不都合なことは神様の加護で乗り切っています。
ではでは、このような稚文を読んでいただきありがとうございます。