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adventure & daily life  作者: ケー
5/10

モンスター

――――


この世界には文化的な生物とそうでない生物が存在する。

中でも、文化的でない生物を一般的に「動物」や「植物」と呼称する。

だが、動植物の中でも基本的にダンジョンにしか生息しない生物を「モンスター」と呼ぶ。

モンスターの種類は非常に多義にわたり、一般的な動物には無い不可思議な特性を備える。


――――



「だから、馬を、借りれば、良かったんだ・・・!!」


「ほらほらキビキビ動けよ。

 言いだしっぺはお前だろうが」


「じゃんけんに負けたのも、な」


大量の荷物を載せた荷車が、町から少し離れた道を進んでいた。

荷車を引くのは、顔を引きつらせ汗だくなレイであった。

荷車に乗っているのは大量の物資。

これからダンジョンへと向かう三人が買い込んだものであった。


「こんな調子じゃ日が暮れるぞ~?」


「だったら、お前らも、手伝えぇぇ~!!」


「そこはほら、情けはヒトの為ならずって言うだろう?」


「お前、意味を知ってて、わざと、間違えてるだろ・・・・・!!」



まもなくして、3人はダンジョンまでたどり着いた。

ダンジョンには発光する植物が自生することがあり、その光を糧に他の植物が生長することもある。

また鉱石にも発光するものが存在し、日常生活でも盛んに使用されている。

このダンジョンの入り口付近にはそれらしきものは無く、3人は用意した松明を灯すことにした。


「少し奥までいけば、発光石があるはずだ。

 ただし量はそれほどない。 道中は松明を道しるべに使ってくれ」


「了解」


「・・・! おい、早速いたぞ」


薄暗くひんやりとした空間を、レイが指を刺す。

松明の明かりでちらりと光る光源は、薄い土気色の毛玉であった。


「ラービットだ。 こちらに気づいてるな」


「焦る必要はない。 松明を壁にかけて照明にしろ。

 暗闇で囲まれることを避けるんだ」


「ちっ、あの豚ウサギめ。 余裕綽々でこっちの様子を伺ってやがる」


3人は壁に松明を掛けていき、足元を照らすように照明を作っていった。

だんだん奥まで見渡せるようになっていき、数匹のラービットが3人を伺っていることがわかった。


「・・・やっぱり一匹じゃねぇな。 こんな事だろうと思ったぜ」


「敵意があるな。 あっちから来るぞ!」


「おっしゃあ! かかってこいウサギども!!」


犬ほどの巨体を持つウサギたちが駆ける。

闘争心をむき出しにした牙を見せつけ、3匹が先頭にいるレイの喉笛を食い破らんとする。

レイはすらりと身をかわし、3匹のうち1匹をソードで浅く切る。

奥から2匹が後続するが、アドベルが1匹を蹴りつける。

もう1匹を剣でなぎ払うが、距離を置かれ避けられた。

レイにかわされた2匹はすかさずキリーを襲う。

短剣を巧みに操り、ラービットの動作に合わせカウンターで切り裂く。

傷は深くなく、ダメージを追った2匹はすぐに起き上がり警戒した。


「相変わらず獰猛なウサギだな!」


「キリー、大丈夫か!?」


「ああ、無問題だ! アドベルもやるじゃないか!」


「5匹か、なんの問題もねぇ! 切り刻んでやるさ!!」


「意気込んでるとこ悪いが、なるべく良い状態で倒してくれよ?」


再びウサギたちが3人を襲う。

レイとキリーが近くにより、3匹を相手取る。

アドベルには後続の2匹がにらみをきかせていた。


「アドベル、そっちは任せたぞ!」


「ああ、任された!」


3匹がそれぞれ別方向から飛びかかる。

キリーは1匹に狙いをさだめ、動作を観察し牙を避ける。

短剣を横手に持ち、ウサギの首を目掛けて腕を振る。

ザグンと言う音と共に、ウサギの首は空へ舞った。


レイは左のウサギを盾でいなし、前方のウサギへ剣を振りかぶる。

ギギッと悲鳴を漏らしたラービットは、前から腹部にかけ大きな傷を受け飛ばされた。

いなされたウサギがレイの足を狙う。無駄だと言わんばかりに跳躍し、そのままウサギに剣を突きつけた。

すぐさま剣を引き抜き、ダメ押しにと傷を負ったウサギの首を跳ね飛ばした。


アドベルは2匹のウサギとにらみ合う。

チャキッと音と立てたが否や、2匹のウサギが同時に跳ねる。

殺意の牙とダメ押しの鋭い爪を振りかざし、侵入者を切り裂かんとする。

その動きを待っていたかのように、剣を両手に持ち替え、2匹の動きを見据える。


「うおおおおおおおお!!!」


ズ、ズン。

一振りで二つの首が飛び、鮮血が美しく散った。

アドベルは剣を振り、血をぬぐう。戦闘が終了した合図であった。


「ひゅー、やるぅ!」


「そっちこそ、無傷とは流石だな。

 キリーに至っては短剣で首を跳ねるとはな」


「なに、本職には及ばないさ。

 それより、他のモンスターがやってくる前に素材を回収するぞ。

 今回は毛皮と牙だが、肉は食料として売れるからな」


「一体どれくらい狩る必要があるんだ?」


「少なくともラービット10匹。シザーモンキー5匹。リトルリザード8匹だ」


「うそだろおい、サル5匹にトカゲは8匹かよ・・・・・」


「本当はアルドがいればもっと早く片付くんだが・・・。

 ある程度狩ったらダンジョンと外を行き来して、少しずつ終わらせていくぞ」






――――


モンスターはダンジョンを住処とするが、時に外へ現れることもある。

畑や外生物の生態系を荒らすため、度々ギルドから討伐依頼が出されている。


モンスターが繁殖を行うことは確認されているが、ダンジョンからモンスターが狩りつくされることは無い。

一説では別世界から召喚されていると言われているが定かではない。


――――

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