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adventure & daily life  作者: ケー
3/10

亜人

――――


この世界には多様な生物が暮らしており、文化を持つものと持たないものがいる。

中でも文化的な生活を送る生物を「人間」と呼ぶ。


人間は種族ではなく、あくまで生物上の呼び名である。

自らの種族以外の人間を、俗に「亜人」と呼称し、差別化を図っている。

現在確認されている亜人は8種といわれているが、まだ確認されていない種が存在するという。


――――


酔っ払いの夜は去り、働き者の朝が来る。

ある冒険者は町を離れ、まだ見ぬ世界へと足を勇む。

町人たちは代わり映えのない平和を過ごすために、ある者は農作業、ある者は風呂敷を広げ、またある者は工房へと篭もりに行く。


「・・・頭痛ぇ」


「調子に乗って飲みすぎだぞ」


「しかし昨夜は久しぶりに騒いだぜ!」


「アドベル、お前はこの後どうするんだ?

 俺たちはギルドに行って仕事を斡旋してもらうつもりだが」


「キリー・・・今日は休ませてくれないか?」


「アホレイ、ダメに決まってるだろう」


「そうだな・・・。

 昨日の仮調査であの額ってことなら、本調査でも期待はできないな。

 そうなると働くしかねぇよなー・・・」


「なんなら俺たちと仕事しないか?

 普段なら3人でやってるんだが、今日はアルドのやつが酔いつぶれてるし」


「キリーさん、俺も休ませてくれませんかねぇ?」


「ダメだ」


「そうか、それならお願いしよう。

 この町のギルドにはまだ顔を出してないんだ。紹介してくれ」


「いいぜ、決まりだな」


「Zzz・・・・・Zzz・・・・・」





――――


人間は、種族によって祖先が異なる。

猿をルーツとするヒト。狼をルーツとするドッグス。

猫をルーツとするキャッツ。リザードをルーツとするドラグナー。

鯨をルーツとするマーマン。

また、祖先が定かになっていない種も多数存在する。

それぞれの種が、大戦争以降に平和協定を結び、共通言語を定め意思疎通を可能とした。


――――



「さて、アルドのやつは宿に置いてきたし、ギルドに向かうとするか」


「お前らは普段どんな仕事を請けてるんだ?」


「たいていは農作業の手伝いだな。

 モンスターの討伐がある日はそっちを優先してる」


「へぇ、腕には自信があるってことか」


「まぁな。 といっても、町付近の小さいダンジョンのおこぼれだよ」


「俺は大物狙いだけどな!」


「お前はいつも口だけだろうが・・・。

 大物なんざ狙うだけ無駄だ。

 上級冒険者か兵士にまかせとけばいいんだよ」


「かーっ、ロマンのねぇやつ!」


「ロマンでメシが食えるかよ」


「確かに、大型となるとそれだけリスクは高くなる。

 入念な計画とそれなりの実力者でないと命を落とすだけだしな。

 俺も一人旅してる身だからな。なるべく危険な相手は避けてるよ」


「さすがわかってるな。 中型をたった一人で屠るだけある」



三人が歩きながら話していると、目の前に大きな建物が現れた。

入り口は巨大なロッジ型テントのようだが、奥の作りは石造りでしっかりしている。

周りの建物と比較しても、十数倍はあろうかという大きさであった。


「おはようございます」


「おはよう、レシーナさん」


「おっすレシーナちゃん! 相変わらず美人だね!」


「やだわレイさん、口説いてるつもり?

 アルドさんがいないけど・・・そちらの方は?」


「昨日町についたばかりの冒険者でね。

 【ヒト】のアドベルだ。 よろしく」


「【ガイアー】のレシーナです。

 強そうな方ですわね♪」


「おいおいレシーナちゃん、俺だって強いんだぜ~・・・?」


「ほら、くだらないこと言ってないでさっさと来い」



「よお、お前たちか! 一人足りないが・・・そっちは新顔か?」


「おはようございますディンゴさん。

 アルドは酔いつぶれてましてね。

 彼にギルドメンバーの承認をお願いします」


「がっははははは!! 全くだらしがないのう!

 お前たち三馬鹿はいつも成長しとらんな!!」


「ディンゴさん、俺とアルドを一緒にしないでくれよ!」


「特に成長しとらんのはお前だろうが!!

 ・・・新入り、『冒険者証明書』は持っているか?」


「ああ、コレだろう?」


「うむ、【ヒト】のアドベルか。

 よし、書類を作成してくる。しばしまっとれ!

 おーい事務員!! 新入りの登録をしとくれ!!

 ワシは細かいことはわからん!!」


「もうディンゴさん!! いい加減書類くらい作れるようにしてください!」


「ハハハ、豪快なじいさんだな!」


「ああ、けど気の良い人だよ。

 この町の古株で、当時ギルド立ち上げに携わった一人なんだ」




――――


数ある種族の中、特に詳細が不明とされている種族が存在する。

自然をルーツとするガイアー。

偉大なる者をルーツとするエルフ。

モンスターをルーツとするゴーグ。

彼らの多くは謎に包まれており、またその歴史も明らかになっていない。


――――


ギルドの中は存外広く、朝から多くの人で賑わっていた。

多く目にする種族はヒト、ドッグス、キャッツ、ゴーグ。

ガイアーも目にするが、ほとんどがゴーレムタイプである。


「よう、待たせたな」


「なに、そうでもないさ。

 こっちも依頼を請けたばかりだ」


「依頼は付近のダンジョンに生息するモンスターの討伐だ。

 モンスターから取れる素材が目的らしい」


「上等だろう。荷物はなるべく少なくしていくか。

 どうせモンスターの死骸を運ぶことになるだろうし」


「さぁて、気合入れていくとしますか!」


「「応っ!」」


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